表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
通りすがりの陰陽師1  作者: チャーハン・神代
18/104

十八、競馬場

 陰陽神社を訪れてから翌々週、私はあからさまに不機嫌な顔をしていた。その原因は、自分の視線の先を走る十数頭の馬たち。そして、中年男性たちに混ざって歓声を上げている、顔見知りのおかしなテンションに他ならない。


「…で、何で午で調査する場所がココなんですか?」


 千晶は隣にいる恭士に尋ねた。


「そう怖い顔しなや。午言うたら一番集まんのここやろ。」


「だからって自分まで馬券買う必要がどこにあんの!普通にただ楽しんでるじゃん!」


 私は恭士さんに向かって不満をぶつけた。


「やいやい言いなや!それに俺かてそんだけの理由でここに来た訳とちゃ…。!」


 その時、周りの喧騒が一段と激しくなった。よそ見をしている間に決着がついたらしい。


「うおぉぉぉおランアウトォォォォォオ。」


 恭士さんはかけに負けたらしく、競走馬の名前を叫んで膝から崩れ落ちた。それを私が、軽蔑するように見下ろして言った。


「恭士さんの運がrun outしてたんじゃないですか?」


 恭士は一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐ意味が分かったらしく、不気味な笑みを浮かべてゆらりと立ち上がった。


「…お前…上手いこと言うてくれるやんけ。慰めろやすこしは。」


「自業自得ですよ。」


 run out=尽きる。つまり、そういうこと。


「で?ここに来た他の理由は何ですか?」


 私たちは、都内の競馬場に来ていた。勿論、交通費をかけることなく、陰陽神社を経由してだ。

 こんな簡単に移動できるなら、修学旅行でもこれを使いたかったとか思ったが、あえて口には出さないでおこう。


「せや!」


 急にテンションが戻った恭士さん、が話し始めた。


「この前流星群が地球の近く通ったやろ?」


「あぁ。おうし座流星群ですね。私は寝ちゃったから見てませんけど。」


 1ヵ月程前、おうし座流星群が見られると、テレビが言っていたのをうっすらと覚えている。


「その期間中、都内で奇妙な流れ星の目撃情報が多発しててん。何でもその流れ星、地上から上がって、またどこかに飛んでったそうや。」


「地上から?」


 恭士は頷いた。


「ネットじゃ、新型の花火やとかUFOやとか色んな憶測が飛び交っとる。」


「実際その可能性は無いんですか?」


「う〜ん、無いとも言い切れん。けど、思い当たる節があんねん。」


 恭士さんは自分の予測を話し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ