十四、どこでも?鳥居
『あっ…着きましたよ!』
私と小雪は、氏神様のいる神社に辿りついた。
「来いって言われたから来たけど、誰もいないじゃん。どこに…。!?」
2人で鳥居をくぐると、先程見えていた境内の景色とは、明らかに別の神社へ辿り着いた。その先の拝殿内には、何かをゴソゴソと探している恭士さん。
くるっと振り返り、鳥居から頭を出してみると、見えるのは慣れ親しんだ地元の景色。顔を引っ込めて前を見ると、そこはやはり、知らない別の神社だった。
「…頭が追いついて来ないよ、もう。」
くらりと目眩がした。短期間で様々な現象を目にしてきたためか、そろそろ疲れてきた。
「おっ!来たな嬢チャン、こっちや。」
恭士さんはヘラヘラした顔で私を手招きした。小雪に続いて、恐る恐る拝殿の中に入る。部屋の中には、床に積み重なった沢山の書物と一つのちゃぶ台。
神社の中にしては随分と和式の民家感が強く、イメージしていた室内とは、程遠いものだった。
「お邪魔します…って、入っていいの?ていうかここどこ?」
「よく聞いてくれた!」
ドスッという音をたてて、恭士は一段と埃をかぶった古い書物と和紙を、ちゃぶ台の上に置いた。
「ここは、昔の俺らが相談やら修行やらに使うてた場所、陰陽神社や。」
「陰陽神社?」
「せや。この神社は、日本全国の神社と繋がっとる。存在さえ知っとれば、どの神社からも出入りすることができる。」
「でも私は、こんなことできるの知りませんでしたよ。」
「それは俺が回線繋いだからや。」
恭士さん曰く、日本には八百万の神と言うように、実際沢山の神様がいる。その神様たちがそれぞれ繋がりを持っているため、神社で独自のネットワークが出来上がっているらしい。
「まぁ、姿は見たことあらへんけどな。」
そう言って恭士さんは腰を下ろした。
『で、この古い書物は何ですか?』
小雪が鼻をヒクヒクさせながら尋ねた。
「これは、去年京都で見つけた、安倍晴明予言の書や。この陰陽神社のことも、こいつで知った。」
「予言の書?」
「あぁ、こいつには800年前の事件のことから、数年前の大震災まで、ありとあらゆる事象が予言されとる。正し、1000〜900年前の100年間と事件の詳細が書いてあったと思われるページがごっそり抜けてんねん。」
そう言った恭士さんの手元を覗くと、確かに中盤に2箇所破られた跡があった。そして予言は、式神の封印が解けることと、大災厄が来ることが記されて終わっていた。
恭士はパタンと書物を閉じた。
「俺の家は代々、陰陽師の家系でなぁ。800年前にいた12人の陰陽師の話は、ガキの頃じーさんから聞いててん。まぁ、御伽話みたいなもんやと思って、当時は興味あらへんかったけどなぁ。」
恭士は少し目を細め、話を続けた。
「せやけど、俺は去年これらを見つけ、その数ヶ月後、自分の式神と遭遇した。もうこれは…何かあるとしか思えへん。」