表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
通りすがりの陰陽師1  作者: チャーハン・神代
14/104

十四、どこでも?鳥居

『あっ…着きましたよ!』


 私と小雪は、氏神様のいる神社に辿りついた。


「来いって言われたから来たけど、誰もいないじゃん。どこに…。!?」


 2人で鳥居をくぐると、先程見えていた境内の景色とは、明らかに別の神社へ辿り着いた。その先の拝殿内には、何かをゴソゴソと探している恭士さん。

 くるっと振り返り、鳥居から頭を出してみると、見えるのは慣れ親しんだ地元の景色。顔を引っ込めて前を見ると、そこはやはり、知らない別の神社だった。


「…頭が追いついて来ないよ、もう。」


 くらりと目眩がした。短期間で様々な現象を目にしてきたためか、そろそろ疲れてきた。


「おっ!来たな嬢チャン、こっちや。」


 恭士さんはヘラヘラした顔で私を手招きした。小雪に続いて、恐る恐る拝殿の中に入る。部屋の中には、床に積み重なった沢山の書物と一つのちゃぶ台。

 神社の中にしては随分と和式の民家感が強く、イメージしていた室内とは、程遠いものだった。


「お邪魔します…って、入っていいの?ていうかここどこ?」


「よく聞いてくれた!」


 ドスッという音をたてて、恭士は一段と埃をかぶった古い書物と和紙を、ちゃぶ台の上に置いた。


「ここは、昔の俺らが相談やら修行やらに使うてた場所、陰陽神社や。」


「陰陽神社?」


「せや。この神社は、日本全国の神社と繋がっとる。存在さえ知っとれば、どの神社からも出入りすることができる。」


「でも私は、こんなことできるの知りませんでしたよ。」


「それは俺が回線繋いだからや。」


 恭士さん曰く、日本には八百万の神と言うように、実際沢山の神様がいる。その神様たちがそれぞれ繋がりを持っているため、神社で独自のネットワークが出来上がっているらしい。


「まぁ、姿は見たことあらへんけどな。」


 そう言って恭士さんは腰を下ろした。


『で、この古い書物は何ですか?』


 小雪が鼻をヒクヒクさせながら尋ねた。


「これは、去年京都で見つけた、安倍晴明予言の書や。この陰陽神社のことも、こいつで知った。」


「予言の書?」


「あぁ、こいつには800年前の事件のことから、数年前の大震災まで、ありとあらゆる事象が予言されとる。正し、1000〜900年前の100年間と事件の詳細が書いてあったと思われるページがごっそり抜けてんねん。」


 そう言った恭士さんの手元を覗くと、確かに中盤に2箇所破られた跡があった。そして予言は、式神の封印が解けることと、大災厄が来ることが記されて終わっていた。

 恭士はパタンと書物を閉じた。


「俺の家は代々、陰陽師の家系でなぁ。800年前にいた12人の陰陽師の話は、ガキの頃じーさんから聞いててん。まぁ、御伽話みたいなもんやと思って、当時は興味あらへんかったけどなぁ。」


 恭士は少し目を細め、話を続けた。


「せやけど、俺は去年これらを見つけ、その数ヶ月後、自分の式神と遭遇した。もうこれは…何かあるとしか思えへん。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ