十一、ことの顛末
「う〜ん…。」
私は難しい顔をして、ベッドに座って腕組みをしていた。
「つまりだ、あなたは魑魅魍魎と戦う陰陽師で、あの日は観光で京都に来ていたと。」
「ああ。」
「んで、酔い覚ましに散歩してたら、悪霊の気配を感じてあの神社に駆けつけたと。」
「うん。」
「そしたらその悪霊に取り憑かれてるのが、最近探してた式神で、その封印を解いたのが私だったと。」
『はい!』
「その式神の目が蒼く見えた私は、今後来る可能性がある大災厄から世界を守る陰陽師の1人だろうと。」
「せや。」
「…。」
『「…。」』
部屋の中に暫しの沈黙が流れる。
私はもぞもぞと布団の中に入った。
「おやすみなさ〜い。」
「おう。おやすみ〜…って、ちゃうわぼけーっ!何でこの状況でそうなるんや!!!」
陰陽師の男、生三恭士は私が被っていた掛け布団を剥ぎ取った。
私はジト目で恭士を見上げ、仕方なく体を起こし、急に立ち上がって言った。
「だって情報量多すぎるんだもん!何?選ばれし陰陽師って何!?式神って何!?そんなん急に言われて納得いく訳ないでしょーが!」
「そー言う割にはえらい上手く要約できとるやないか。あんまり騒ぐと家族にばれんで?」
恭士にそう言われ、私ははっとして口を塞いだ。
万が一、不審がった誰かが部屋に入って、中に男と人語を喋る兎がいたら色々な意味で事件である。千晶は深呼吸をして、自分を落ち着かせようとした。