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5人目 騎士団長




 ある日、馬に乗った騎士が一人、家を訪ねて来た。


「王子のお言伝ですか?」

「いいや、君に逢いに来たんだ、『ストラベリィの宝』」

 バチっとウインクされる。


「!?」


 『ストラベリィの宝』と呼んだのは王子だが、それが王国の騎士たちの間に広まる事は不思議ではない。


「君だね、王子を虜にしたという子は」

「それは断じて、していない」


 そう、断じて!

 これっぽっちもオレにその気はない!


「だが王子は足繁くここに通ってるとの報告だ」

「確かに何度か来られましたけど、滞在時間は短いですよ」

「忙しい身だからな。それでも少しの時間が出来たら此処に来るのはそういうことだろ?」

「……」


「別に君をとって食うつもりはないんだが。王城の騎士としても、あいつの友人としても、『ストラベリィの宝』が気になって仕方がなくてな」

「ジュリー王子のご友人なんですか」

「そ。あいつとは十年来の仲なんですよ」

「幼馴染ってやつですね」

「そ。だから、第二王子だからと、多くは望まず生きてきたあいつが、はじめて執着をみせた相手を偵察に来ちゃったってわけ」


 照れ臭そうに言ってるが、王子のことを芯から想ってる友人なんだと伝わってきた。


「あー、折角だからお茶でも飲んでいきます?」

「粗茶とやらか?」

「いえ、王子が置いていった高そうな紅茶です。王子はこれが好きだとかで」

「あいつ、入り浸ってるなぁ」

 しみじみと言う。


「因みにオレが此処にきてるのがバレたら、怒られる案件な」

「……承知しました」

 無闇に告げ口するなってことですね。



「いい眼をしている」

「そうですか?自分ではいつも死んだ魚みたいな目してんなって思いますけど」

「それは寝起きすぐの顔だろ」


 ……何故わかる。

 ジト目で見返してやると、彼は空を見上げて豪快に笑う。

 なんだかそこに騎士らしさを感じた。


「あいつが『ストラベリィの宝』と謂うだけあって、確かに魅力的だが、君はそれだけじゃないな」


 え、オレに魅力値以外の良い点はないはずだが。……自分で言ってて泣けてきた。


 もっと詳しく問い詰めようとしたところで、玄関ドアがノックされ、外から声が掛かる。


「閣下」


 その声に彼が顔を顰める。

「おっと、もうバレやがった」

「お迎えですか?」

「これは尾行されてたな」

「尾行……」


 前世でもサスペンスドラマか、現実だと不倫調査かストーカーにしか使われない不穏な言葉だ。


「部下を入れてもいいか?」

「構いませんけど」

「テキトーに模擬戦やらせて抜け出して来たんだがなぁ。お前らオレがいないと何もできないのか?」


 ドアを開けながら彼が外の者に言うと、不満げな声が返ってくる。


「団長がいつも何処へか勝手に抜け出されるからですよ」

「オレがいついなくなっても何とかするのが副団長のお前の仕事だろ」

「今はふらふらする団長を戻すのが、オレの仕事ですよ」


 副団長と呼ばれた者がペコリと自分に向かって会釈する。


「もしかして騎士団長なんですか?」

「そうだよ。そういえば名乗ってなかったな。赤騎士団団長ジェシィ・アプリゴットだ」


 うわー騎士ってだけでも生きてる世界が違う感じあるのに、団長だなんて、前世でいうところの警察署長みたいなところか?


「確か赤騎士と青騎士って、王家と王城の騎士団でしたっけ」


 だからこそ、王子の茶飲み相手を探りにきたのか。


「そうだな。でもここに来たのは騎士としてよりも、友人としての想いの方が強いかもな」

「ふーん?まぁ、どっちでも王子のことを想ってのことなら同じことでは?」


 ジェシィは目を瞬かせる。


「ハハハ、あいつが惚れるのもわかるな。ミイラ取りがミイラになっちゃしょうがない」

「え」


 なんでだ?

 これ以上は勘弁してくれ。


 勇者に、賢者に、王子に、魔王に、騎士団長。


 ゲームの主要メンバー、この街に集いすぎじゃね?



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