雷雨の病状
下校時間になり、僕は帰る支度をしていた。
「龍くん!一緒に帰ろ!」
「うん、でも帰る前に寄りたい所があるんだけどいいかな?」
「いいよ!」
そう言って、僕達は学校を出て帰路とは反対側の方────雷雨が入院している病院の方に足を進めた。
ー先皇病院ー
僕達は病院に着き、雷雨がいる病室へ向かった。
扉を開けると、雷雨は起きていて、窓の方を見ていた。
「ん?」
雷雨は僕達に気付き、こちらに振り返った。
「こんにちは、雷雨」
「龍か、それと男装女」
「誰が男装女よ!雷雨は怪我しても口だけは達者だよね!」
「頭に響くから少し黙ってくれよ、うるさい奴」
「人を毎日うるさい人扱いにしないでよ!!ほとんどアンタが原因でしょうが!!」
「勝手に俺を巻き込まないでくれ、めんどくさい…」
「巻き込まれてるのは、僕だから!!!」
いつもの雷雨と由の口喧嘩が見られ、僕は少しホッとしていた。
雷雨はルィーツ戦の時に右腕と背骨を骨折し、喉もやられ上手く喋られない状態だった。
その後、病院で数時間の手術で命は助かったが3日程昏睡状態に陥っていた。
それからしばらく経ち、雷雨は喋れるくらいにまで回復し、右腕もほぼ治りかけていた。しかし、医師は怪我が治ったとしても、厄介な現象に侵されている、と言われた。
その現象は───魔力暴走
一定以上の魔力を使い果たし、尚且つ魔力を空なのに無理矢理に使った時に起きる現象だ。
その状態で、魔力を使うと全身に激痛が走り、最悪の場合死に至る事もあるらしい…
更に魔力暴走は、治す方法がないらしい……
最悪、一生治らないという事もある……
医師は三ヶ月で退院できると言ってはいるが、それは怪我の治りの事だと思う。
魔力暴走は、医師もお手上げする程のレベル…
雷雨はこの事を知ってはいるらしい……
だけど、雷雨はあんまり気にしていない様子だった。
雷雨の事だから、いつか治る、て思っているのかもしれない
だけどもし、雷雨に魔力が戻らなかったら……
そんな事を思ってしまい、僕は自分の無力差を恨んだ。
友達が苦しんでいるのに……僕は………
「龍」
そんな事を思っていると、雷雨に呼ばれた。
雷雨は僕が今思っている事を分かっているみたいだ。
「気にするな」
「で、でも!」
「別に可能性はゼロじゃないんだろ?」
「そうだけど……」
「なら大丈夫だ。俺を信じろ」
そう言い、雷雨は笑った。
「必ず治して帰ってきてやるから、もう一度俺と戦おうぜ」
その言葉に僕は、涙を流してしまった。
僕は馬鹿だ……
勝手に治らないと決めつけ……
勝手に諦めていた……
でも…雷雨は違う
雷雨は諦めてないんだ
雷雨が諦めるわけがないんだ!
そんな事、今まで一緒にいて自分がよく分かっていたのに……
僕は涙を拭き、雷雨に笑顔で
「……そうだね…待ってるよ、僕は」
そう言い、僕達はお互いに笑いあった。
再び、剣を交える事を願って────
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