陰の出来事
「まさか……アイツがやられるとはな……」
とある森の中に、龍とルィーツの戦いをこっそりと見ていた者がいた。
「せっかく奴に力を貸してやったのに…」
その男はフードを被り、魔法水晶を手に持っていた。
「まぁいい……おかげで良いものが見れた」
フードの男は不気味な笑みを浮かべた。
「あの御方にいい土産ができた……」
男はその場を去った。
男は木々に移りながら、スマホを取り出した。
「私だ。作戦は失敗したが、いいことがあった。今すぐ帰還する。あの御方にご報告をよろし───」
その時、男に斬撃がとんできた。
「なっ!?」
男はギリギリで回避したが、スマホは真っ二つに切れた。
「一体何が────」
その時、森の中から女の声が聞こえた。
「外してしまいましたか……私もまだまだですね」
そしてゆっくりと男の方に歩いてきた。
「貴様!何者だ!!」
そして男は驚いた。
現れた女はメイドの姿をしていたからだ───
「お初にお目にかかります。私はレリーグラフご令嬢シズク・レリーグラフお嬢様専属メイド……レミ・サシアでございます」
「何だと!?あの最強貴族と言われてる…」
レリーグラフの家の者全て最強の能力を持っており、全ての大会のおいて敗北はないと云われている。
そしてその娘のシズク・レリーグラフは、能力が歴代最高の能力であり、親である父と母でさえ、手に負えない程の実力者…
「何故そんな貴族のメイドがここにいるんだ!」
「実はお嬢様からご命令を受けまして…」
そしてメイドは、笑顔で────
「貴方の命を貰いに来ました」
「は?」
そう言うとメイドは、その男の間合いを一瞬で詰め、手に持っていた白い刃を心臓に突き刺した。
「ガハッ!?」
「お嬢様がこう仰っていました」
メイドは男の耳元で囁くように伝えた。
「《貴方達の思惑は私が遮ってあげます》とのことです」
「な……ぜ…きさ…まらが……」
「貴方達の目的がお嬢様の邪魔になるからです」
「なに……を……」
「貴方達の目的は─【死神】の確保……ですよね?」
「なっ!?」
「貴方達は【死神】を目覚めさせ、この世界を支配することですね?」
そしてメイドは、男の心臓に刺していた刃を抜き取った。
抜いた時、大量の血が飛び散った。
男は膝から崩れ落ち、倒れた。
「残念ですが、【死神】は貴方達の手には渡りません」
メイドは今にも死にかけている男に、話を続けた。
「何故なら、お嬢様と私が貴方達のすきにはさせないからです」
メイドはまた笑顔で───
「では、さよなら。いい夢を…」
そしてメイドはスマホを取り出した。
それと同時にスマホに鳴り出した。
「排除完了致しました───お嬢様」
「………そう」
メイドはまるでそこにお嬢様がいるかのように頭を下げ、お嬢様と会話する。
「今から帰還しますが、他に何かご命令等はありますでしょうか?」
「……いい……帰ってきて…」
「畏まりました」
そしてメイドはスマホをポケットに入れ、森の奥へ走り出した。
♢
メイドとの報告を終え、1人と少女は空に架かる虹を見た。
「………やっと」
その少女は笑みを浮かべた。
その笑みは誰もが惚れてしまうと賞賛され、数々の男達に告白され、そして全て断った難攻不落の美少女……
そんな難関と言われた少女が、まるで恋する乙女のような表情をしていた。
「………早く……会いたい」
その少女────シズク・レリーグラフは、1人の男を思い浮かべながら、先皇王国に着くのを待った。
「……楽しみだね………龍くん…」
見て下さりありがとうございます!
ブックマーク等登録して頂ければ、今後の投稿の励みになります!
是非ともよろしくお願いします!
一緒に投稿している【異世界兄弟〜上位ランカーの兄弟は、異世界でも最強を目指します〜】をよろしくお願いします!
異世界兄弟〜上位ランカーの兄弟は、異世界でも最強を目指します〜
https://ncode.syosetu.com/n2983fz/




