4人の神器使い
『敗北の戦士・亡霊ルィーツ』と、4人の神器使いはお互い睨み合いどちらとも動かない……
空気が重くなり、周りにいる龍達も圧倒される。
そんな中、先に動いたのは雷雨だった――
「先手必勝ってな」
それに続き、風明達も後に続いた。
雷雨は持ち前の速さを十分に発揮し、ルィーツの間合いに踏み込み、刀を降った。
「オラァァァ!」
ルィーツはそれを盾で防いだ。
「チッ…流石に防ぐか……」
雷雨は改めてルィーツの力を知った。しかし、ルィーツの恐ろしさはこんなものではなかった。
いつ間にか後ろに回り込んでいた風明の攻撃をまるで知っていたかのように、剣で容易く防いだのだ――
「嘘でしょ!?」
「なんで気付いてんだよ!?」
風明は気配を消し、雷雨でさえ分からなかったのにルィーツは、風明のいる位置、攻撃してくる場所も的確に当て、防いでいた。
2人は急いで元いた場所まで後退した。
2人が後退したと同時に、もう2人が前に出た。
神崎とエルセだ――
「神崎さん!私に合わせてください!」
「分かりました!」
2人は息を合わせて、ルィーツの懐まで接近した。
そしてその勢いのまま、神崎は長剣を、エルセは細剣を刺しこんだ。
ルィーツは防御せず無防備――のだったはずなのに、2人は攻撃を弾かれた。
「なっ!?」
「まさか防御系のスキルを!?」
そう、ルィーツにはスキル『自動防御』があったのだ――
だから、2人の攻撃を防ごうとしなかったのだ。
神崎とエルセは雷雨達の位置まで後退した。
「まさかここまでとは……」
「甘く見てましたわ……」
「攻守完璧って化け物だろ」
「化け物でしょ、あれは…」
雷雨達は、ルィーツの恐ろしさを改めて理解した。
そして全力で倒すことを決めた。
「もう神器使いましょう」
「それが1番いいですわ」
「…?兄貴、どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
雷雨は悔しくなった……
もう一度、龍と共に戦うことはできないのか?と…
あの時の大麓の森の魔物の大軍の時みたいに……
背中合わせで……共に剣を……
雷雨はチラッと龍のことを見る。
龍もその視線に気付き、悔しそうに視線を逸らす。
龍は怖いのだ…
雷雨と共に戦いたいが、恐怖心には勝てなかった。
さらに龍は、『冥夜の刃』の出し方をまだわかっていないのだ…
神器を持っているのにが、使うことはできない……
その姿はまるで――
臆病者のようだった――
雷雨は視線をルィーツに戻し、叫んだ。
「来い……雷神剣『雷鳴・鳴神』!!」
雷雨は神器【雷神】を発動し、雷の刃を構える。
「来て…風神双『風塵・暴牙』!!」
風明も神器【風神】を発動し、風を纏った。
「私に力を……【大天使聖】!!」
エルセも神器【大天使聖】を発動した。
「私に光の加護を……【大天使聖】!!」
神崎も神器を発動した。
そこで雷雨は、神崎とエルセの神器に疑問を覚えた。
「お前ら姉妹か幼馴染か?」
「幼馴染ですね」
「やっぱりな、神器が同じ神のだからそうだろうなと思ってな」
「あなた方お2人も兄妹だから、同じ神話の神なんでしょ?」
「まぁな…」
「兄貴に神崎さん!来ますよ!」
風明の掛け声で雷雨と神崎は、戦いに集中した。
今度は、ルィーツが攻撃を仕掛けてきた。
ルィーツは、高く飛び跳ね、大剣を振り下ろした。
4人は、お互い違う方に移動し、回避した。
「神崎とエルセだったか!?アイツに隙を作ってくれ!」
「了解しましたわ!」
「わかりました!」
神崎とエルセは、天使の翼で舞い上がり、ルィーツの頭上を飛び回った。
しかし、ルィーツはそれに目もくれず雷雨に大剣を振り下ろした。
「チッ!」
雷雨は、大剣を受け流し、ルィーツの後方へ移動した。
「こちらを見なさい!」
神崎はルィーツの前に行き、長剣を降った。
だか、ルィーツは盾で受け流し、大剣を振り下ろした。
「ッ!?」
神崎は先程の攻撃パターンが変わって焦りはしたが、ギリギリ回避が間に合い、上空に飛んだ。
「やはり一筋縄ではいかないですね……」
「どうしましょう?」
「……隙を作るなら、やはりアレを使いましょう」
「わかりましたわ!」
2人は、持っている剣を仕舞うと、手に魔力を集めた。
そして現れたのは光のオーラを纏う剣…
「私に光の加護を……『裁天細剣』!」
「私に敵を貫く剣を……『裁天長剣』!」
2人はルィーツの左右に別れ、そして急降下しルィーツ目掛けて突撃した。
「!?」
ルィーツも、気づいたがもう遅かった。
2人の攻撃は早く、防御には間に合わない……
「「合体技!《電光石火》!!」」
2人はクロスし、ルィーツの懐に突撃した。
ルィーツは、スキルで防いだが2人の攻撃に耐えれず、後方へ吹き飛ぶ。
そして、隙が現れた――
それを雷雨と風明は見逃さなかった――
「今です!!」
「やるじゃねぇか!行くぞ!」
「勿論!」
2人は走り、そして徐々に加速し、普通の人には見ることはできない程、加速した。
そして一瞬で、ルィーツの間合いに入り、2人は剣技を発動した。
「「撥の型……《疾風迅雷》!!」」
稲妻と暴風のコンボはあまりにも威力が高く、ルィーツに当たると、大規模な爆発が起きた。
砂嵐が起き、誰も目を開ける事が出来なかった。
そして次第に砂嵐が収まり、そこで目にしたのは――
爆発が起きた後のクレーターと、4人の神器使い達だった。
それを見た瞬間、全員喜んだ!
「やったぁぁぁ!!」
「倒したんだ!俺たち勝ったんだ!!」
「流石ですわ!お姉様方!!」
「生きてます……私生きてますわ!」
それぞれに喜びあって、龍も喜び雷雨の元へ走り出した。
由も、泣き笑いながら後に続いた。
しかし、突然龍に【ツクヨミ】が、最悪な事を伝えた。
《……生きてる……》
「え?」
それを聞いた途端、地響きが起きた。
突然の地響きに雷雨達も驚き、まさかと思い後ろを振り向いた。
そこには――
「……嘘……だろ」
「……まさか……そんな…」
「なんで………」
「…なんでまだ生きてるのよ!?」
そう、ルィーツは生きていた――
しかも、先程のルィーツと違い、ルィーツの姿が黒く染まっており、姿も大きくなっていた。
「ワレ……フメツノ……キシ……」
「な!?喋れるのか!?」
そしてルィーツは、力を解き放ち
「ワレハ……ルィーツ・骸・デスロイヤー……キサマラニ……シヲ」
そして狂乱の蓋が開いたのだ―――
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