リーダー
アリスからの発言に、誰もが口を開け固まり、そして顔を青ざめ叫んだ。
「無理に決まってるだろ!?」
「俺たちに死ねって言いたいのか!?」
「アリス様!流石にそれは!」
「お願いです!もう一度お考え直して下さい!」
「皆の言いたい事は分かる。確かにこの作戦はあまりにも君達に大きな負担をかけることになる」
「負担どころじゃねぇよ!」
「誰か死ぬかもしれないんだぞ!?」
「ふざけんな!!」
男子の方が不満の声が多く、さらに激しくなる。
「アンタみたいな神器を俺達は持ってないんだよ!」
「雷雨は神器を持っているけど、それでも勝てるわけないだろ!?」
「あぁ?」
先程の発言に雷雨は、キレた。
そして、それを宥める龍。
おかげで龍は少し冷静に戻った。
「お前らみたいに俺達はそんなマジの訓練とかしたことないんだよ!お前らと一緒にするな!」
それを聞き、誰も喋らなくなった。
沈黙を破ったのは、アリスだった
「……確かに君達男子校はそんな訓練はしてこなかっただろう。だから、これは強制では無い。君達の中のリーダーに判断を委ねたい」
そこで男子が見たのは、雷雨ではなく、大地だった――
雷雨は、リーダーの座を「興味無い」の一言でやめ、次に強かった大地にリーダーの座が渡ったのだ。
由もリーダーの座になる確率はあったが、興味無さそうだったので、回ってこなかったのだ。
「………」
大地は、悩んだ。
皆はこの作戦の事を考えているのだと思っていたが、大地は別の事で悩んでいた。
それは――
「……俺は…リーダーにふさわしくない」
男子は全員驚き、何故と問いただす。
「俺より……もっとふさわしい奴がいる」
自分に勝ち、雷雨にも勝ち、大麓の森の魔物の大群を雷雨と一緒に突破したあの男――
今まで散々馬鹿にしづけて、最終的に認めてしまった臆病な奴――
それは――
「……俺は、龍がリーダーにふさわしいと思っている」
「……え?」
龍は、唐突に自分の名前を出され驚き、それは周りの男子達もそうだったが、龍のこれまでの行動に納得がいったのだった。
雷雨は、うんうん、と頷いていた。
「確かに…」
「アイツ強くなってるよ……」
「大麓の時だって……」
「ちょ、ちょっと待て!?何で僕がリーダーなの!?」
龍は異議ありと言わんばかりに主張をした。
「お前は優しい、あんなに馬鹿にしていた俺に対しても許してくれたろ?……それに大麓の時だってそうだったろ?誰も近付けさせないように戦ってくれてたんだろ?」
「そ、そうだけど!大麓の時は雷雨のおかげでもあるし――」
「いや、それはないな」
雷雨は、いつの間にか龍の隣に立っていた。
「あの時、龍がいなかったら俺達は死んでいた。俺なんかはお前がいなかったら、野垂れ死にしていただろう」
「雷雨……」
「だから、今更ではあるけど、助けに来てくれてありがとう」
雷雨は頭を下げ、感謝の言葉を告げた。
龍は戸惑い、あたふたしていると、大地も頭を下げた。
「あの時は、すまなかった……そしてお願いだ。俺達の……リーダーになってくれ」
そう言うと、他の男子も頭を下げた。
アリスも他の女子も驚いた顔をしていた。
その中龍は、悩んでいた。
自分に何ができるのか?
何故自分じゃないといけないのか?
だから龍は、断ろうとした。
自分には出来ない、と
そんな時、龍はおじいちゃんの言葉を思い出したのだ。
“龍……やる前から勝手に決めつけて逃げるなよ?本当の強さって言うのは、どんな困難にも立ち向かう勇気の事を言うんだ。お前は……そんな人になれよ”
おじいちゃんが泣いていた僕に言ってくれたあの時の言葉……
何で忘れてたんだろう……
龍はそう思い、覚悟を決めた。
もう……逃げない覚悟を―――
「わかった……不安な事も多いけど、リーダーをやってみるよ」
そう龍が言うと、男子は全員笑顔になり龍をど上げした。
その時の男子達の顔は、先程の不満な顔ではなく、喜びに満ちた顔だった。
「……それで、リーダーの龍君。この作戦に同意してくれるか?」
アリスは男子達のど上げが止んだのを見計らって、龍に聞いてきた。
男子達には不満は一切ない。
そこには、男子で1番強いリーダーがいるからだ――
「……同意します」
龍はアリスにそう言った。
それを聞いたアリスは、笑顔になり手を出した。
「ありがとう。よろしく頼むよ」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
そして龍はアリスの手を握り、作戦が決行された。
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