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二刀流

エルセさんが神器【大天使聖(ガブリエル)】を使い、戦況は一変した。


「……流石に無理」


僕は苦笑いで、呟いた。

ツクヨミを使えない僕に勝ち目は奇跡が起きない限り、不可能だろう。

つまり、どれだけ足掻こうが無理だという事だ。


「龍さん……私…エルセ・ラフィ・ロリアンテは全力で貴方と御相手致します」


それでも僕は―――


「……僕も…負けるつもりはありません。全力でいきます!」


諦めず、挑むことにした。

僕は、スキルを発動した。


「…スキル……『創造(剣)』!」


スキルを使い、左手に長剣を出した。


「二刀流ですの?」


「……はい」


そう僕は今両手に長剣を握っている。

つまり二刀流だ。

二刀流は、熟練者以外が扱うと動きが遅くなり、使う事が難しいとされている。

僕は、使えない者と同じ部類だ。

今日初めて、二刀流を使う。

なら何故二刀流を使うのか?

それは一か八か試してみたい事があるからだ。


観覧席では――


「おいアイツ二刀流だぞ」

「捨て身の攻撃か?」

「アイツ二刀流なんて使えたっけ?」


「二刀流って確か扱いにくいって言われてますよね?」

「そうですわ」

「あの方…諦めましたの?」


観覧席が少しざわついている時、雷雨は考えていた。

今頃は、このざわつきに文句を言いたいところだけど、雷雨も何故龍が二刀流を使うのか理解できていないから考えていた。


(何故龍は、二刀流を?何か策があるのか?)


そんな事を思っていると、隣から聞き覚えのある声で呼び掛けられた。


「なぁ兄貴」


横を見ると、女子2人いた。


「……風明と由か……いや、今は結菜って呼んだ方がいいか?」


「……由でいいよ」


「……そうか」


「それより兄貴……龍さんなんだが」


「残念だが、俺も分からないぞ」


「……兄貴も分からないの?」


「あぁ、何故龍が二刀流を使うのか色々と考察したが、分からない」


「……そうなんだ……それにしても相手が悪いね」


「あぁ、まさか神器使いが相手とはな」


「エルセ・ラフィ・ロリアンテ……生徒会副会長でこの学園でもトップ5に入る人だよ」


「生徒会だと?」


由から教えられたことに雷雨は不思議に思った。


「何故生徒会の副会長が、龍と決闘を挑んだんだ?」


「分からないけど、多分アリス様に好かれてるからどれほどの人か見たいからじゃない?」


「……またアイツかよ」


「兄貴……一応この国の騎士団団長さんなんだから、少しは敬語を」


「断る」


「ハァ……言うと思った」


「俺はアイツが嫌いだ」


「ハイハイ、わかったから」


「あ!龍くんが動くよ!」


由がそう言うと、雷雨と風明は話をやめ、戦いを見ることに専念した。




「いきます!」


僕は、走りエルセさんに近づいた。

やはり、先程よりも遅くなっており、少し戸惑った。

しかし、エルセさんに近付くことができ、出来るだけ高く飛び上がり2本の剣を振り下ろした。


「ハッ!」


しかし、エルセさんに簡単にあしらわれた。

そしてそのまま追撃に出てきた。


「ヤッ!」


「クッ!?」


ギリギリで防ぐことに成功した。

しかし、空中で防いだ為そのまま地面に叩きつけられた。


「ガハッ!?」


それでもエルセさんの攻撃は止まず、再び追撃に出てきた。

僕は身体を回転させ、躱した。

エルセさんは、その勢いのまま地面を突き刺した。

その威力は高く、高範囲に渡って砂埃が舞った。

視界があけると、そこには大きなクレーターができていた。


「………」


僕は言葉が出ず、口を開けたまま固まった。


「まさか避けられるとは……流石です」


エルセさんは、驚く事もせず、細剣を構えた。


「しかし、次は当てさせていただきます」


宣言通り、次は当たるだろう。

僕にもう避けるだけの勇気などはない

もう降伏しようか…と思っていると、



《………見せて……》



と、声をかけられた。

その声の正体はすぐわかった。

ツクヨミだ。

僕は、唐突に話し掛けられ焦った。


「え!?」


「ど、どうなされましたか?」


いきなり大きな声を出され、エルセさんは驚いていた。


「い、いえ、何もありません!」


「そ、そうですか……では……参ります」


「クッ!」


僕は剣を構えた。

そこでまた――



《………見せて……》



ツクヨミが、語りかけてくる。

どういう事?と心の中で聞くと、



《………主……戦略……》



つまり、ツクヨミは僕が二刀流でやりたい事をみたいという事だ。

しかし、無理だろう…

エルセさんに隙がない限りこれはできない。



《………わかった……》



何かにツクヨミが納得した。

その時に、エルセさんが攻撃を仕掛けてきた。


「これで……終わりです!」


「なっ!?」


それはまさに一瞬だった。

かなり離れていたのに、一瞬で近付かれ細剣を突き刺してきた。

僕は、諦めようとした。


その時、身体に違和感を感じた。


それと同時に、身体が勝手に動いた。


「うわ!?」


「そんなッ!?」


エルセさんも驚愕していた。

それもそうだ

僕は、身体をズラし、エルセさんの攻撃を躱したのだ。

僕は、すぐこの回避出来た事に気付いた。

これは僕がツクヨミを使い、躱す時に使う回避方法……

つまりあの時一瞬だけ、ツクヨミが力を貸してくれたのだ。


なら、このチャンスを無駄にしない!


僕はすぐ反撃に移り、左手の剣を振り下ろした。

しかし、それを見切られていたのかエルセさんに防がれる。

あんな一瞬で体勢を立て直し、防御に移るなんて……

僕は驚くが、休むことはしない。

もう1本の右手の剣を僕は、身体――ではなく()に突き刺した。


「ハァァァッ!」


「ッ!?」


翼に剣が突き刺さると、エルセさんは防御に緩みが出た。

僕はそれを逃さず、右手の剣を翼から引き抜き、身体を回避させ、今度は2つ両方で攻撃した。


「ハァァァッ!」


「クッ!?」


エルセさんは先程よりも防御に力が入らず、押し負ける。

やはり仮説は正しかった。

エルセさんの神器【大天使聖(ガブリエル)】は、力の源は翼だった。

何となくだけど、翼に何か少し力を感じ、僕は二刀流で1本を囮にし、もう一本で翼を狙った。

これが僕の狙いだったのだ。


「クッ……まさか翼を狙われるとは!」


「僕も一か八かでしたが、上手くいけてよかったです!」


しかし、これ以上は無理かもしれない……


「しかし残念ですが、僕の負けみたいですね…」


「それはどういう――」


その前に僕は倒れ、エルセさんに持たれかかった。


「え!?ちょ、龍さん!?」


エルセさんは、焦っていたが、僕は戦闘不能と判断され、現実世界に強制帰還させられた。




ー現実世界ー



僕は、現実世界に帰るなり、倒れてしまった。

今回は、気絶等はしてない。

僕が倒れた理由……それは――


「……魔力切れて立てない…」


僕は、翼に突き刺す時、オート防御だろうか、そのようなものに遮られてしまった。

しかし、魔力を出せば突破出来るかもしれないと思い、魔力を加えた…が、魔力加減を間違えフルで出してしまった。

元から少ない魔力を全て出し切り、今に至っている。


「……しんどい」


身体が重く、立てなくて嫌になるが、僕は笑った。

ここまで行けたことが僕には嬉しかったのだ――

見て下さりありがとうございます!



ブックマーク等登録してくだされば、今後の投稿の励みになります!




是非とも、よろしくお願いします!

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