最強の騎士
開始の合図と共に、先制を取ったのは雷雨だった。
アリスに一瞬で近付き、刀を横に振った。
しかし、アリスはそれを予測し、長剣で受け止めた。
「まぁ、受け止めるだろうと思ったぜ!」
「いいスピードだね。神器なしでこのスピードで近付いてきて少し驚いたよ」
「その割には、全く困った様子では無いようだが?」
「なに、男でこのような速度を出せたことに驚いただけだよ。君のような速度を出す人はこの女子高にもいるよ」
「そうか、じゃあこれならどうだ!」
雷雨は刀をずらし、長剣を滑るようにずれていった。
そのまま回転し、その勢いのまま再びアリスに攻撃した。
アリスはまた同じように受け止めようとしたが、すぐ雷雨の思惑に気付き、後ろに下がり距離を取った。
「チッ、流石に気付くか」
「驚いたね…まさかそのような攻撃があるとは」
観覧席では、何が起きたのか理解出来ず困惑していた。
「え?何が起きたの!?」
「何故アリス様が避けられたの!?」
「先程は、受け止めていられたのに何故なのですか!?」
女子もそうだが、男子も驚いていた。
「おい雷雨のやつ何したんだよ!?」
「あの最強のアリスさんが避けたぞ!?」
「どういうことだよ!?」
男子の困惑の声の中、龍は少しだけ気を取り戻し戦いを見ていた。
「……何が起きたの?」
《………電流……流した……》
「え?」
龍の耳にツクヨミの声が聞こえた。
周りを見渡すが、誰も聞こえていない。
それは当然だった。
何故なら、ツクヨミは龍の脳内に直接話しているからだ。
「何でツクヨミが?」
龍は小さい声で、何処にいるか分からないツクヨミに話しかけた。
《………主……繋がり……持った…だから》
「なるほど……」
(つまり契約したから、会話ができるようになったということか)
龍は納得し、ツクヨミに話し掛けようとする。
その時ツクヨミが、
《……心の中……喋れば…聞こえる》
と、教えられた。
龍は、教えられた通りに心の中で語りかけた。
(さっきのどういう意味?)
《……そのまま……男……刀に……電流…流した……喰らえば……人間……麻痺する》
(なるほど、だからアリスさんは避けたのか)
龍は何故か、ツクヨミが頷いているのが分かった。
つまり、アリスが避けた理由は、雷雨が刀に流した電流に気付き躱したのだ。
「まさかこのような戦い方をする人間がこの世界にいたとは…」
「次は……当てる!」
そして、雷雨は地を蹴り刀を振った。
アリスは、今度は受け止めではなく、攻撃する構えをとった。
そして、雷雨の刀が振られたのと同時にアリスは長剣を振った。
キィィンッ!!と、剣のぶつかりあった音が甲高く鳴った。
「……な……に?」
雷雨は、驚愕していた。
触れれば電流が走る筈が、
アリスは全く効いていなかったからだ――
「……確かに電流は厄介だ。しかし…」
アリスの長剣は、光に纏われていた。
「それで光にも通用するかは、話が別だがね?」
アリスのスキル――[光纏]
自分と触れているものに光を纏わせ、動きを加速させ異常状態等を無効化する。
そのスキルで、雷雨の電流が無効化されたのだ。
「チッ!!オラァァァ!!!!」
雷雨は、それでもアリスに攻撃を仕掛けるが、全ていなされ、電流も無効にした。
それがしばらく続き、雷雨は攻撃をやめた。
「チッ、埒が明かねぇ…」
「降参するか?」
「冗談じゃねぇ、俺は…負けるのが1番嫌いなんでな!!」
雷雨は雷を起こし、叫んだ。
「来い!雷神剣『鳴神・轟雷』!!」
雷雨は、神器【雷神】を発動した。
手には雷を纏った刀が、握られていた。
「こっからが本番だ……」
「……そうか、ではこちらも」
アリスは、長剣を地面に突き刺し叫んだ。
「降臨せよ!【戦天使】!!」
その瞬間、アリスは光に包まれた。
しばらくすると、アリスの手に光に纏われた長剣が握られていた。
「これが……」
「そう、これが私……アリス・インデカーネの神器……【戦天使】だ。そしてこの剣は」
アリスは剣を上に掲げた。
「『勝利を齎す戦天使』という剣だ」
その剣は美しく光放っていた。
「さて、では始めよう」
そうアリスは言うと雷雨は、神器を構えた。
アリスは、雷雨が構えたのを見てから、構えた。
「神器同士のぶつかり合いを――」
そして、第2ラウンドが始まった――
見て下さりありがとうございます!
ブックマーク等登録してくだされば、今後の投稿の励みになります!
是非とも、よろしくお願いします!