魔物の大群
僕達が集合場所に到着したときには、既に全員揃っていた。
そしてあの雄叫びを聞いたのか全員
「なんだよ!あの声は!?」
「絶対ヤバいやつだって!」
「俺ら結構近くで聞こえたからな!?」
「ここは安全なんだよな!そうだよな!?」
等色々と不安な声を漏らしていた。
「おぉ!由君達、無事でよかった!」
一人の先生がそう言い駆け寄ってきた。
誰だっけ?
「藍さ……んん、坂本先生!」
由が先生の名前を呼んだ。
ヘェー、坂本先生って言うんだ。
「君達が一番遅かったから、心配したよ…」
「すみません…」
「それより、あの声の正体は?」
「ちょ!雷雨!?」
先生に対してその口の聞き方は…
「まだ正直わからない…でも、レベルB以上はあると思う」
「レベルB以上……」
先生はそんな事を気にせず、状況を喋ってくれた。
それにしても、B以上って…
「帰還の準備はできているんですか?」
「……いや、まだ出来ていない」
由の質問に少し躊躇って応えた。
「なんでですか!?非常事態なんですよ!?それなのに――」
「わかっている…だが今、向こうと連絡が取れない状態なんだよ」
「そんな……」
学校と連絡が取れない……
つまり、誰も助けにこれない……
最悪の状況だ……
帰還するには歩いて帰る他ないが、今下手に動くと、魔物に襲われる可能がある……
どちらにせよ、状況は最悪なのは変わらない……
そして、最も恐れていた事が起きてしまった―――
「大変だァ!!」
一人の先生が叫びながら、走ってきた。
「どうしたんですか!」
「魔物が……魔物の大群がこちらに向かってきている!!」
「!?」
そう今こちらに、数千という魔物の大群が向かっていたのだ。
「嘘だろ!?」
「もう終わりだ……」
「ふざけんなよ!」
生徒達は、その絶望を聞かされて騒ぎ嘆いていた。
「魔物の大群…」
僕も恐怖で身体が震えていた。
もう生きて帰れないんじゃないか?
そんな事を思っていた。
「まさか……」
「クッ!アリスがいないときに!」
由と坂本先生は、二人でボソッと呟いていた。
その言葉は、今の僕や他の皆に聞こえなかった。
「……」
雷雨は何やら考え事をしているのか、眼を瞑り手を顎に当てていた。
そして、災厄は訪れた―――
「魔物だァァァ!!」
見回りをしていた先生が叫びながら、こちらに走ってくる。
その後ろには、魔物の大群が眼を光らせながら、走ってきていた。
「に、逃げろォォォォォォ!!!!!!」
一人のその叫びで、全員その場から一斉に走り出した。
「こっちにくるなァァァ!!!」
「邪魔だァァ!!どけぇぇぇぇ!!!」
「お前が邪魔だァァァ!!」
そう叫びながら、皆一斉に逃げる。
僕も走って逃げていたが、そこで気づいたことがあった。
隣に由はいるが、雷雨はいなかった――
そして、後ろを振り返ると雷雨は魔物達の前に立っていた。
「雷雨!!何してるの!!早く逃げよう!!」
僕は止まり、雷雨に言う。
しかし雷雨は、
「先に行け」
と、応えた。
「何言ってるの!?早く来てよ!!」
由も雷雨にこちらにくるよう呼び掛けるが、雷雨は一向に動こうとしない。
そこに魔物が雷雨に飛び掛かった。
レベルはBのジャイアントウルフだ。
「雷雨!!!」
僕は叫んだ。
その時、雷雨に雷が落とされた。
「!?」
逃げていた生徒数人が脚を止め、こちらを振り返った。
僕と由は、雷が落ちたせいで砂煙が巻き上がったので、眼を瞑っていた。
砂煙が失くなり、眼を開けるとそこには――
「あれは……」
一本の刀を持った雷雨がそこに立っていた。
しかもその刀は学校が支給した刀ではなく、雷雨にとって最強の武器であり、僕を止めてくれた最高の刀―――
「………雷神剣《雷鳴・鳴神》……」
雷雨は、神器『雷神』を使い魔物達に向けてこう放った。
「ここから先は死地!覚悟のあるやつだけ来い!!」
雷雨は、刀を構え――
「――斬り伏せてやるよ」
そう宣言したと同時に、魔物達は雷雨に飛び掛かった。
雷雨も、地を蹴り、魔物の大群を斬り伏せに行った―――
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