友達
僕が、目を覚ますとそこには、一度見たことのある景色が広がっていた。
白い天井に、白いベッド…周りを見れば、ほかにもベッドがあり、そして近くには看護婦さんがいた。
そう、僕は病院にいるのだ―――
看護婦さんは、僕が起きたことを急いで報告しに行った。
僕はまだ状況を把握していないが、分かることはある。
(僕は、また暴走してしまったのか)
そんな事を思っていると、隣から声をかけられた。
「よぉ…起きたか?」
そこには、包帯が頭や手やら脚につけられている雷雨がいた。
「雷雨!だ、大丈夫なの?その怪我」
「問題ない…すぐ治るだろう」
雷雨はそれだけ言い、逆に質問してきた。
「お前の方はどうなんだ?」
「なんともないよ」
「……そうか」
雷雨はそれを聞くと、眼を瞑り、寝る体制をとった。
そこに僕は感謝の言葉を告げた。
「ありがとう」
「……何のことだ」
「約束を……守ってくれて」
「………当然だ。俺は、約束を必ず果たす男だ」
雷雨は、少しドヤ顔を決めすぐ元の表情に戻った。
「しかし、あの決闘……俺の負けか…」
「え?」
雷雨は残念そうに呟く。
僕は何のことかわからなかった。
「何の話?」
「は?とぼけてるのか?それとも記憶とんだか?」
「ひ、酷いなぁ……えっともしかしてあの戦いのこと?」
「もしかして、じゃなくその話だよ」
「でも、負けって僕自身じゃないから無効じゃないの?」
「勝負は勝負だ、無効などあるわけない。もしあったとしても、俺は認めない」
雷雨はそう言い放つ。
「そ、そっか」
僕は、その威圧感に負け、黙ることにした。
「そして俺は負けた。つまり、俺はお前の言うことを一つ聞くことになる」
「え?」
突然雷雨は変なことを言った。
(言うことを一つ聞く?聞いてないよ?)
僕はそう思い、雷雨に質問する。
「何でそんな事になってるの?」
「俺が決めたから」
嘘でしょ?
「それにあの戦いは元一お前には不利な戦いだった。それなのにお前は了承した。ならば、俺もそれ相当の事をするべきだと思ってな」
まともな理由だった…
「でも」
「でも何もない。お前は勝ったつまり俺に言うことを一つ言えるのだ。さぁ言え」
と、雷雨は僕に迫ってきた。
僕は、覚悟を決め、一番お願いしたいことを言った。
「なら、僕と友達になってよ」
その瞬間窓から光が照らされ、僕に当たった。
雷雨は、隠れた片眼が少し見えるくらい見開いていた。
「……そんな事で…いいのか?」
「うん」
「俺みたいな戦闘馬鹿と友達になりたいのか?」
「うん」
「……何で」
「そんなの決まってるよ……」
僕は、息を吸い雷雨に伝えた。
「僕との約束を守ってくれたし、それに雷雨と友達になったら面白い事がいっぱいありそうだし、それに……」
本当に伝えたい事……それは……
「雷雨は、カッコいいからね!僕に色々と教えてほしい!」
そんな誰にでも言えるセリフを、僕は言った。
少し恥ずかしくなったけど、僕は伝えたい事を雷雨に言えた。
僕は改めて雷雨の顔を見ると、
泣いていた―――
雷雨が、涙を流していた。
「え?あ!ごめんね!?嫌だったよね!?忘れてほし「――ありがとう」い……え?」
僕の言葉と重なるように雷雨は応えた。
「すまない……いつも一人だったからな……こんなことは初めてだ……」
雷雨は僕から顔を背け、涙を拭いた。
「……いいのか?俺なんかと友達になって」
雷雨は振り返り僕に聞いてくる。
僕は、笑顔で応えた。
「もちろんだよ!僕は、雷雨と友達になりたい!」
僕は手を差し出した。
雷雨は、僕の手をしばらく見てから握り返してくれた。
「……よろしく」
「よろしく!」
僕と雷雨は、今日友達になりました。
その後、由が見舞いに来て見事僕の腹部目掛けて泣きながら突撃された。
その時、雷雨は笑っていた。
それを見て僕も、腹を押さえながら笑った―――
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