約束
固まって数秒経過した。
何度試行錯誤しても分からなかった…
なんでまた僕と戦おうとするのだろうか?
僕より強い人はいっぱいいるのに、なんで僕なの?
僕は、そう考えているとそこに神が現れた。
「ちょっと待ってよ!なんでまた龍くんと戦おうとしてるの!」
由が僕の代わりに反論してくれた。
神だ…
僕は、由が神様に見えた…
そんな事を思っていると、由が更に反論した。
「そんなに龍くんをボコるのが好きなの?意味わかんないよ!それに龍くんが戦うメリットなんて全然ないじゃん!」
少しキレながら由は言った。
由くん……それ結構僕も傷つくよ……
と、僕は心に大きなダメージを受けた。
まぁ、ボコられるけどね?
だって僕、弱いもんね?
あれ?なんか自分で言って泣けてきた…
ショックを受けていると、先程から黙っていた霧雨くんが応えた。
「確かに戦うメリットは、そいつには無いな」
「だったら!」
「だが、俺はそいつと戦いたい」
「全然話が噛み合わないよ!」
由が叫び、霧雨くんは普通に話し合ってる。
いや、これ話し合ってないね?
てか、これ僕に関係する話だよね?
なんで僕、外野の外にいるの?
そこで僕は、霧雨くんに質問した。
「なんで僕と、戦いたいの?」
その質問に霧雨くんは
「お前の力……戦ってみたいからだ」
「この前の試合で僕全力を出したよ?」
「違う…お前の眠っている力の事だ」
そこで理解した。
彼――霧雨くんが戦いたいのは、
「…あの時の姿の僕と……戦いたいの?」
僕は、そう質問すると、
「……あぁ」
彼は、少し笑いながら応えた。
「ふざけないで!」
そこで由が再び叫んだ。
「あの姿って…それで龍くん1週間も気を失っていたんだよ!?それなのにまたあの姿で戦えって言うの!」
由は少し泣きながら叫んだ。
「…知っている。だが、俺はどうしても戦いたいんだ」
霧雨くんは、そう告げる。
「っ!龍くんが気を失っても関係ないって事!?」
「誰もそんな事言っていないだろ」
「今の言い方じゃそう受け取るしかないじゃん!」
霧雨くんと由は口喧嘩を始めた。
そんな中、僕は考え事をしていた。
あの力を……もう一度?
まだよくわかっていないあの力を?
僕は、悩んでいた。
確かに使う事で、この力の謎が解明されるかもしれない…
しかし、怖い点もある…
暴走だ
僕は、黒い世界で見たあの姿…
間違いなく危険だ…
だけど相手は、神器使い…
この力を使っても、止めてくれるかもしれない…
でも、それで彼が止めれなかったら?
そんな事を考えると使いたくなくなる…
それにまだ発動条件がわかっていない…
(やっぱり、諦めてもらおう)
僕は、そう思い彼に告げた。
「…ごめん……」
そう告げると、霧雨くんは少し驚いた表情を浮かべていた。
「……何故?」
霧雨くんが、質問してくる。
「それは…」
理由を告げようとすると、由が割って入った。
「当たり前でしょ!そんな気を失う位の力…使う訳ないじゃない!」
「お前に聞いてない。俺は、黒炎寺龍に聞いているんだ」
「!この…」
と、言いかけた所で僕は止めた。
「いいよ、由。ありがとう、僕の代わりに反論してくれて」
「龍くん…」
僕は、そう感謝を伝え、霧雨くんを見た。
「理由なんだけど、この力の発動条件が分からないのが1つの理由だよ」
「発動条件が…分からない?」
霧雨くんは、首を傾げながら質問する。
「なら、他の理由は?」
「他の理由は……怖いから」
「怖い?」
彼はまた、分からない、といった顔をしていた。
「この力を使った時…僕は一切記憶にないんだよ……だから怖いんだよ」
と言うと、前の方から声が聞こえた。
「じゃ、じゃあ、あの時俺を斬った時の記憶はないのか?」
大地が、そう質問してきた。
僕は、その質問に対して頷いた。
「由に教えられるまでは、自分が斬ったなんて分からなかったよ」
「そん…な」
大地は、絶句した。
他の皆も絶句している。
その中で、霧雨くんだけが何やら考え事をしていた。
そして、考えが終わったのかこちらを向き、驚くべき提案をする。
「なら…俺が止めてやるよ」
彼は、僕を見ながらそう告げた。
初めてだった…
そんな事、言われたのは…
「俺が止めてやる。だから、俺と勝負してくれ」
彼は、何を考えてか知らないが、頭を下げた。
いや……土下座をしてきた―――
僕は、戸惑った。
「え?ちょ!?何してんの!?」
僕は焦りながら、土下座を止めさせようとした。
他の皆も、唖然としていた。
由も、口を開け固まっていた。
「やめてって!」
「必ず…必ず俺がお前を止めてやる!だから!頼む!」
何故霧雨くんがそこまで真剣になるか分からなかった。
「なんでそんなに戦いたいの?」
僕は、霧雨くんに質問した。
「…俺は、退屈だったんだ。戦う奴らは全員俺と戦う前に諦める。俺は、そんな退屈な日々を過ごしていた…」
彼は、悲しい顔をしながら続ける。
「暇で…暇で…暇で仕方なかった……」
そして彼は僕を見る。
「そんな時、お前を見つけた」
「僕?」
「お前、能力鑑定機を誤作動を引き起こしただろ?」
「あれはたまたまで…」
「それでも俺は、お前に底知れない力があると思った」
「そんな理由で…」
「爺さんはいつも言っていた……『弱いと思っていたやつ程、強大な力を持つ』てな」
そして、彼は立ち上がり、
「爺さんの言っていた通り、お前は強大な力を持っていた。でも、その力を使いたくないとお前は言う。確かにそれを使ったらお前は記憶を失い暴れるかもしれない。だから!」
僕は彼の真剣な表情と姿を見て、憧れた―――
「必ず!俺がお前を、止めてやる!」
僕も、彼みたいになりたい…
僕も、そんな事を言ってみたい…
僕はそう思いながら、彼の返事に答える。
「だから……俺と!」
「いいよ」
「「「え?」」」
この場にいる全員が、そんな声を出した。
「いいよ、その勝負……受けるよ」
僕は、笑顔でそう応えた。
「……いいのか?」
彼は、そう返答してきた。
「うん。でも、発動条件分からないけど…」
僕は、ハハハっと、笑い
「でも、僕を止めてくれるんでしょ?」
と、霧雨くんに聞いた。
彼は、
「!…勿論だ!必ず…止めてやるよ!」
そう応えた。
「じゃあ、次の練習時に勝負だね」
僕はそんな事を言ったが、ここで反論が来た。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
由が、大きな声出しながら声を出した。
「どうしたの?」
「どうしたの?っじゃないよ!何戦うことにしてるの!?龍くん、また気を失うかもしれないんだよ!?それなのに、なんで…」
由は、分からないといった顔をしていた。
僕は、笑顔で応えた。
「僕も、怖いよ?」
「だったら!」
「でも、そんな事でずっと逃げるわけにも行かないと思うんだ」
僕はそう言い
「それに…」
一言置いてから、
「僕が暴走したら、止めてくれるって言ってくれたんだ。そんなの断れないよ」
僕は、笑顔を由に向けた。
由は、目から涙をポロポロ零しながら
「……うん…分かった!龍くんが決めたんだったらそれでいいよ!でも……」
由は、涙を拭きながら
「必ず……帰ってきてね?」
と、お願いされた。
僕は、その願いに
「勿論!必ず…帰ってくるよ」
と、応えた。
そして、霧雨くんに向き直り、
「よろしくね?霧雨くん」
と、僕は手を出した。
「雷雨でいい。よろしく」
と、握り返してくれた。
「なら僕も、龍でいいよ」
僕達は、笑いあった。
そこにある言葉が―――
「えっと…いい感じな所悪いけど、もう授業はじまってるよ?」
と、先生に言われた。
「「「え?あ!」」」
僕達は、時計を見て、急いで自分の席に戻った。
「先生、すみません!」
と、謝ったが、
「いいよ、いいよ!それにとても素晴らしいことを聞いたしね?」
と、先生は笑った。
そしてこう宣言した。
「事情は聞いた!(盗み聞き)黒炎寺龍君と霧雨雷雨君の勝負が見たいから、3日後に競技場を貸しだそう!」
と、願ってもない事が起きた。
黒炎寺龍vs霧雨雷雨
あと3日―――
見て下さりありがとうございます!
ブックマーク等登録してくだされば、今後の投稿の励みになります!
是非とも、よろしくお願いします!