由の気持ち
由視点です!
ー先皇病院ー
あの後、龍くんが気絶しすぐ保険室に送られたが、意識不明の状態が続き、これはヤバいという事で病院に搬送された。
しかし、龍くんはまだ目を覚まさなかった。
医者によれば
「意識を失ってはいるが、命に別状はないよ」
と言っていた。
僕はその後、アリス様に報告しに行きその後自分の部屋に戻った。
でも、僕は龍くんの事が心配であまり寝る事が出来なかった…
ー翌日ー
学校に行くと、龍くんのいた席は空席のままだった。
クラスメイトは、何人かは龍くんの席をチラッチラッと見ていた。
「由君、ちょっと」
先生が僕を手招きしながら呼んできた。
僕は、先生の元に行き
「なんですか?」
と、質問した。
「ちょっと話があるんだけど、場所変えようか」
と先生がそう答え歩いてくと、僕は先生の後をついて行った。
着いた先は、椅子が2つあるだけの部屋だった。
そこで、先生は驚くべき発言をする。
「君もアリスの任務で黒炎寺龍をサポートしているのか?」
「!?」
僕は突然のことに呆気をとられた。
「…何故……それを?」
僕は、少し威圧をかけながら質問する。
すると、先生は
「何、簡単な事だよ。私もアリスの任務に参加しているからね」
と、クスッと笑いながら答えた。
「え?」
僕は、また呆気にとられた。
「で、でも!先生は男じゃないですか!」
そう、この任務はアリス様直々の任務…
男が参加出来るはずがないと、僕はそう思っていた。
「あぁ、ごめんね?すぐ解くから」
と言うと、先生は段々女性に変わっていった。
「これは…」
「そう。これは変装魔術だよ?」
彼女はそう笑顔で答えた。
僕は、この人を知っている。
確か、剣騎士の副団長の速水藍さんだ。
「こ、これは!速水副団長様!失礼しました!」
僕はすぐに先程の無礼な態度について謝罪した。
「まさか副団長様が変装していると知らず、あのような態度とってしまい…」
と、僕は副団長様にこの先の言葉を止められた。
「別にいいのよ?ここでは上下関係なんて関係ない。2人の時は藍って呼んでね?」
と、副団長様は笑顔で言った。
「し、しかし!」
「いいの。ここではお互い同じ任務を受けてる同士なんだから、ね?」
と、僕は副団長様に言い寄られ
「わ、分かりました」
と答えるしかなかった。
「よろしい!それで話なんだけど、黒炎寺龍君については何処まで知ってるの?」
と、藍さんが質問してきた。
「えっと、龍くんがあの悲惨な事件の生き残りというのは、アリス様から聞きました」
「なるほど、じゃあ私から言えることはないわね。それで本題なんだけど…」
と、藍さんは一言おいてから
「あの試合の時の龍君について何か分かることはある?」
と質問された。
「えっと、すみません…僕もまだよくわかっていません……」
僕はそう答えるしかなかった。
「そう。彼はまだ眠っているの?」
「はい…まだ昏睡状態が続いているそうです…」
「そう…」
と、ここで藍さんの顔が悲しい顔に変わった。
僕は気になっていることを藍さんに聞いた。
「あの…藍さん」
「何かしら?」
「あの時の龍くんって、一体なんですか?」
あの時、龍くんはまるで別人のように変わった。
黒いオーラを放ち、ローブを羽織り、大きな鎌が現れた。
それはまるで死神のように…
僕はそれが気になって仕方がなかった。
あの時、アリス様に聞こうと思ったけど、何やら考え事をしていたので、聞けなかったのだ。
しかし、
「ごめんなさい…私にも分からないの」
と、返された。
「彼のあの力は、アリスにも、私達とってもイレギュラーの事態だったの」
「それってまさか…」
「彼のあの力は誰も分からないし、知らないもの。ましてや、神器の類でもないの」
それを聞いて僕は、固まった。
龍くんのあれは間違いなく神器を使わないと、出せない力とオーラだった。
なのに、神器ではない?
じゃあ一体、あれはなんだったのか?
と、悩んでいると藍さんが話した。
「あれは確かに神器の類ではなかった。でも神器を使わないと出せない力だった…このことから考えるともしかしたら、彼のスキルかもしれない」
そう藍さんは言うが、僕は知っている
龍くんのスキルは2つしかないことを…
「藍さん。それに関してはないと思われます…」
「どういう事?」
「僕は、龍くんにスキルを見せてもらいました。ですが、龍くんのスキルにはあのような事が起きるようなスキルはありませんでした」
「そう…じゃああれは一体…」
そう応えると、藍さんはまた悩み出した。
「アリス様はこのことについて何かわかっているんですか?」
「…わかっていなかったわ。初めて聞いた時の反応をしていたから」
そうつまり龍くんのあの力を知る人はいないということだ。
もしかしたら、龍くんが住んでいた村の人は知っていたかもしれない。
でも、あの村はもう壊滅しており、どちらにせよ分からない事この上ないものだった。
そこで僕は、ふと思ったことを質問した。
「何故藍さんは、この任務を受けたのですか?」
そう質問すると、
「私も気になったのよ。アリスが支えたいと思わせた彼を…」
と、藍さん少し笑顔で応えた。
「彼の詳細を見た時は泣いたわ。こんなにも悲しい過去を持ちながら、今を生きようとしているのだから」
そして彼女の顔に笑顔が戻った。
「初めてよ?男に可哀想なんて思ったのは」
藍さんは、笑いながら話を続けた。
「だからね?私も支えてあげようって思ったの。こんな残酷な人生を歩んだ彼を放っておく事は出来なかったの。だからアリスのお願いを引き受けたの」
藍さんの話を聞きながら、僕は泣いた。
僕も同じ理由だったけど、何故か龍くんの辛さをわかってくれる人がいて、僕は喜びのあまり泣いてしまった。
「ほら泣かないの」
藍さんは、僕も抱きしめながら慰めてくれた。
「すみません…すみません」
僕は泣きながら謝った。
「…一緒に、彼を支えましょ?」
「…グスン……はい!」
僕は、涙を拭きながら返事をした。
また龍くんと学校生活を送れることを待って――
それから3日4日と過ぎていき、1週間が経った。
龍くんはまだ目覚めない。
僕は、龍くんの顔を見る度に泣いてしまいそうになる。
何故なら、彼の寝顔がやっと眠ることが出来たような顔をしていたからだ。
「…ずっと……苦労してきたんだね?」
僕は龍くんに近づき手をとった。
「でも、大丈夫だよ?これからは、僕が傍にいるから」
と、独り言のように問いかけると、
龍くんの手が微かに動いた――
僕は、驚き龍くんの顔を見た。
そこには、
薄ら目を開けた龍くんがいた―――
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