任務と目覚め
今回は、由視点です!
次回は、霧雨視点にしようと思います!
僕は平原由。
今日から先皇剣立男子高校に入学することになった生徒だ。
でも、僕の名前は少し違う。
僕の本当の名前は平原結菜
名前で分かると思うけど、つまり
僕は、女の子だ。
何故女の僕が男子高校に入学したのかと言うと、それは3月まで遡る。
ー3月25日ー
ー先皇騎士団訓練場ー
僕は、仲間と共に剣の練習をしていた。
「やっぱり由は強いね!」
「たまたまだよ!」
僕は、仲間と笑いながら練習に励んでいた。
そこに、
「良い剣さばきだ」
「「!?」」
後ろから声が聞こえ振り返ると、そこには神創騎士のアリス様がいらっしゃた。
「ア、アリス様!?」
僕は慌てながら敬礼をした。
何故ここにアリス様が?、と疑問を抱きながら
「良い、敬礼をしなくて」
「し、しかし…」
「上下関係など今は関係ない。ここは皆が練習に励む場所だ。何も畏まることはない」
微笑みながら、そう答えた。
僕達はその心の広さに尊敬し、敬礼をやめた。
「それで、何故アリス様がここに?」
僕は思っていた疑問をアリス様に質問した。
「ん?私が居たらまずいか?」
と、アリス様が仰られた。
「い、いえ!そんなことはありません!」
僕は急いで否定した。
「フフっ、すまない。少しからかっただけだ。許してくれ」
アリス様は笑いながら、そう答えた。
「本題に入ろう。平原結菜訓令兵、君に任務を与えたいんだが、受けてくれるか?」
そう、アリス様直々のご指名の任務だった。
「ぼ、僕ですか?」
「そうだ。君だ」
「な、何故僕なのでしょうか?」
「君は訓令兵の中で上位の成績を取っている。そんな君の実力を知りたくてね」
そう言い、アリス様は話を続けた。
「任務内容は偵察と少し似ているが少し違うものだ。」
「どういう事でしょうか?」
「んー実はね、気になる子がいたんだよ」
そう聞くと、この場にいた訓令兵全員、驚愕した。
それはそうだ。
何故なら、アリス様は必要と思った事以外、あまり興味持たないお人だからだ。
そうなアリス様が興味を持たれた人がいると、言われ僕達は、どんな人なんだろう?、と思いアリス様に質問する。
「ちなみに、どのような人なのですか?」
「その子は、男でな」
と、聞くと僕達は少し殺意に満ちた目になった。
実は言うと、この国の騎士団は全員女性なのだ。
理由は簡単、男子が騎士団をやっていた頃に最悪な事件があり、今は女性だけの騎士団になっている。
そして、この騎士団は女子高校でもあるのだ。
更に、僕達の通う女子高校と男子高校は仲が悪いのだ。
そんな事があり、騎士団に所属している女子全員は男子が嫌いなのだ。
そんな男嫌いな騎士団のトップに維持するアリス様がある男に気になる事があると聞くと、驚きしかない。
「魔物と盗賊により、壊滅した村の事件を覚えているか?」
「は、はい!知っています!何でも生き残った者はいなかったと言われたあの事件ですよね?」
この事件は、騎士団の中でも有名だ。
何故なら、アリス様が唯一間に合わず、壊滅させてしまった事件だからだ。
「そうだ。だがそれは私が隠蔽した事件の話だ。」
そう聞かされると、僕達は「え?」と、口を揃えて言った。
「実はなこの事件なんだが、1人だけ生き残った者がいたんだ」
「え!?そうなのですか!?」
驚きだ。
魔物に襲われながらも生き残った人がいるなんて…
「で、その子は何故か村の真ん中で倒れていたんだ。私はそこが気になってね。でも、こんな悲惨な光景を目にしたんだ。覚えていないな、と思い、その子を保護し帰還したんだ」
「なるほど…で、今その子は?」
「逃げ出した」
「え?」
僕はまた固まった。
「逃げ出したんだ。私がご飯を持ってきた時にはもう居なかった」
アリス様は自分の失態を恨むように話を続けた。
「そして私は探した。そして見つけた。その子は飯屋で働いていた。何故働いているのか、店主に確認した所学校に通う為の資金集めをしていたらしいんだ」
アリス様はその日の光景を思い出すように話した。
「一生懸命に働く姿を見ていたら、声を掛けにくくてな、だから私は彼の村を守れなかった罪滅ぼしに、影から支えることにしたんだよ」
アリス様が話をしていると、そう言えばアリス様は休憩時間になるといつも街に行っていたことを思い出した。
(アリス様は、その為にいつも街に……)
僕はそう確信し、アリス様の話を聞いた。
「だが、さすがに学校に行かれては支える事が出来ないなと思い、私は色々な人に頼んでいるんだよ」
そして、アリス様は僕を見る。
「君には、私の代わりに彼を支えて欲しいんだ。これは私の勝手な願いだ、拒否してくれても構わない」
僕はアリス様にそう告げられ、悩んだ。
男は嫌い、でもアリス様がこんなにも熱心になる人を、見てみたい。
僕はそう思い、アリス様を見る。
「了解しました。アリス様の任務に参加させてもらいます!」
僕はそう元気よく返した。
「!ありがとう!」
アリス様は笑顔になり、僕を抱きしめてきた。
「!?、ア、アリス様!?」
「ありがとう!本当にありがとう!」
僕は、アリス様に抱きしめられながら感謝され、恥ずかしかった。
ー騎士団隊長室ー
僕とアリス様は隊長室にいき、任務内容を確認していた。
「何か質問とかはないか?」
アリス様がそう聞いてきた。
「特にありません」
僕はそう答え、任務書を見る。
アリス様が支えてほしいと言っていた人は、黒炎寺龍という人だった。
彼がどんな性格かは不明で、他ステータスやスキルまでも不明だった。
どんな人かは分からないけど、アリス様の気持ちに答えるため、僕は頑張る事を決意した。
ー先皇剣立男子高校前ー
そして、入学式当日
僕は、早速黒炎寺龍という人物を探した。
彼の顔もわからない為、男子全員に話し掛ける必要があった。
僕は、最悪だぁ、と思いながら、人を探す。
そこで、校門前で、1人校舎を眺めている人物を発見した。
僕は、勇気を出し彼に話しかけた。
「ヤバい……なんか自信なくなってきた……」
「僕も同じです…」
彼は驚きながら振り返った。
「ごめんなさい!いきなり話かけちゃって…」
僕は素直に謝った。
「べ、別にいいんだけど…えっと…君は?」
彼は僕の名前を聞いてきた。
(クラスで自己紹介するだろうし、別にいいか)
と思い、僕は名前を名乗った。
「あ!僕は平原由です!」
下の名前は一応偽名という事で、漢字と名前を変更したのだ。
「僕は黒炎寺龍。えっと、よろしく」
彼の名を聞いた瞬間驚いた。
(え!?彼が黒炎寺龍なの!?やったー!)
「はい!よろしくお願いします!」
僕は喜びながら、手を出した。
これには、意味がある。
僕は千里眼を持っており、触れたものは記憶されいつでも探知出来るようにあるのだ。
握手は男子もやってる人いたし、気づかれる心配はないね、と思っていたが、
「えっと、何?」
と、彼は疑問そうに答えた。
「え?友達同士の握手なんですが……」
「え?」
と、彼は何それ、みたいな顔をしていた。
(え?握手しないの!?そんなことは…あっ)
ここでアリス様の話を思い出した。
(「彼はコミニケーションはあんまりわかっていなかったからな、それとあんまり人付き合いは好きではなかったから気をつけるんだぞ?」)
と、アリス様から言われていた。
(ど、どうしよう!?どうしよう!?)
と、内心焦りながら、質問した。
「あの〜、もしかして嫌でしたか?」
僕は、涙目でそう聞くと、彼は
「そんな事ないよ。よろしく」
と、握手をしてくれた。
初めて男に触られたが、何故か悪い気がしなかった。
「!えへへ、よろしくお願いします!」
と、返し、彼と会話しながら学校に向かった。
その後、無事彼と同じクラスになり、任務遂行した。
能力測定が終わり、教室に入ると彼がいた。
しかし何故か彼は暗い顔をしていた。
「大丈夫?龍くん?」
「…あぁ…大丈夫……」
そう言うが、彼は暗いままだった。
そして彼は変な質問をしてきた
「なぁ…由……」
「何?」
「能力測定で、スキルが見れない事って…あるか?」
「んー、聞いた事ないよ?」
「…そうか」
(能力測定でスキルが見れない?なんのことを言ってるんだろう?)
僕は不思議に思いながら彼に聞いた。
「龍くん、何かあったの?」
でも、彼は
「いや…大丈夫だよ」
と、返した。
絶対何かあると思うが、これ以上聞くと嫌われそうなので、諦めた。
そして彼は
「由のステータスはどんなんだ?」
と、聞いてきた。
僕はドヤ顔で見せた。
そしたら龍は
「高いな」
と、僕を評価してくれた。
僕は驚いた。
まさか褒めてくれるとは思わなかったからだ。
僕は嬉しくなり、
「そう?ふふーん!」
と、ドヤ顔した。
初めての経験だった。
ステータスを見せてドヤ顔したのを
「龍くんのステータスは?」
僕は、龍のステータスを聞いた。
龍はステータスを僕に見せてくれた。
驚きだった。
龍のステータスは速さ以外低かった。
いや、そこは問題なかった。
問題だったのは、龍のスキルだった。
普通は、スキル3つあるはずなのに彼は2つしか無かった。
(え?嘘?スキルが2つ?これは酷すぎる…)
僕はそう思う他なかった。
村を焼かれ、家族を失い、戦う力すらない。
アリス様が支えてあげたい気持ちが分かった気がした。
だから僕も、彼を支えよう、と心に誓った。
しかしここで、僕が男を嫌いになった理由の1つが起きてしまった。
それは、嫌がらせの類だ。
男3人組が龍を馬鹿にして、教室を出ていった。
僕はそれがどうしても許せなかった。
僕は怒りに身を任せ、文句をぶつけたが、龍はそんな僕を宥めようとしてくれた。
龍は優しい心の持ち主だった。
僕はそうメモに書き、龍と一緒に競技場に向かった。
そこでは、女子高校と同じ電脳世界で戦う事だ。
僕は、いつもやっているのでそんなに驚きはしなかった。
そして対戦相手が決まった。
僕の相手は、龍を馬鹿にした男だった。
僕は、絶対に勝つ、と心に誓った。
だが、龍の対戦相手は最悪だった。
なんとその相手は、神器使いだった。
アリス様と同じ神器使いに当たった龍は顔が真っ青だった。
僕は、「ドンマイ」としか言えなかった。
僕は早く終わらせ、龍を慰めようと考えた。
僕の対戦相手の原田大地は攻撃パターンが簡単に読めたので、楽勝で勝てた。
僕は、急いで龍の所に向かった。
しかし、龍のバトルはもう終わっており、観覧席に龍が座っていた。
龍は、絶望した顔をしていた。
僕は、確かに神器使いと戦うのは絶望するよね、と思っていたが、龍は違った。
それは、神器なしで負けたからだ。
彼の敗北は、戦う意味を失わせたのだ。
僕は、声を掛けたが、「1人にしてくれ…」と言われ、僕は龍から離れた。
そこに最悪な事が起きた。
そう、原田大地達が龍に近ずいて来たからだ。
彼らは予想通り、嫌味を龍に言っていた。
僕は、すぐ助けに行き、追っ払おうとしたが、彼らは一向に引かない。
それどころか
「俺と勝負しろ」
などと馬鹿げた事を言ってきた。
しかし、龍はそれを了承した。
僕は驚き龍を見たが、龍の目は死んでいた。
まるで、もうどうでもいいと思っているように
そして龍と大地の戦いが始まった。
両者合図と同時に動くが、力の差で龍が負けた。
そして、龍は背骨が折れ、立てなくたった。
僕は見てられなかった。
でも、大地は更に龍を馬鹿にした。
そう龍の家族をバカにしたのだ。
僕は許せなかった。
村を焼かれ、死んでしまった家族のことを馬鹿にする彼を許せなかった。
しかし、そこで異常事態が発生した。
彼が立ち上がったのだ。
黒いオーラを纏いながら…
僕は、どういう事か分からなかった。
でも龍が立って、喜んだ。
しかし、それは喜びから驚愕することになった。
「あ?なんだ、まだ立てるのかよ。いいぜ!ぶっ殺してやるよ!」
と、大地は煽るが、直ぐに青ざめた。
次の瞬間、龍から出ていた黒いオーラがローブに変わり、それを羽織った。
羽織った瞬間、彼から凄まじい魔力をここにいる全員が感じた。
あの神器使いも驚きに満ちていた。
何故なら、現実世界でも彼の魔力を感じるのは異常だからだ。
(何?何がおきてるの!?龍くんに一体何が…)
僕は驚き、次の瞬間青ざめた。
「……来い…死神の鎌」
そう龍が呟くと、手から鎌が現れた。
その鎌は、見た瞬間何故か絶望的な気持ちになった。
まるで、死を操っているかのように……
その場にいる大地は、青ざめながら叫んだ。
「な、なんだよ……なんだよその鎌は!?」
彼は後退りながら、叫んだ。
しかし、龍は何も喋らない。
そして、消えた…
龍はその場から突如消えた。
僕も大地、全員が龍を見失った。
たった1人覗いては……
そして、次に見たのは、
真っ二つ斬られた大地だった。
そして、大地は現実世界に送還された。
その場には、龍が立っていた。
そして次に、龍が現実世界に送還された。
勝負が決まったから、強制的に帰還されたのだ。
僕は、急いで龍の元に駆け寄った。
あの力を知るために…
しかし、龍は現実世界に帰ると気絶した。
「龍くん!」
僕は急いで駆け寄るが、彼は意識を失っており、1週間も覚まさなかった……
「そんな事が……」
僕は、その日のことをアリス様に伝えた。
アリス様は他の人からも聞いたらしいが、詳しくは知らなかったらしい。
「龍くんは、一体どうしたんでしょうか?」
僕はそうアリス様聞いた。
アリス様は、夜の空を見ながら、呟いた。
「……もう気づいてるか…」
アリス様はそう呟いたが、僕はその意味が分からなかったーーー
ー屋敷ー
夜の風に吹かれながら、ショートカットの少女が紅茶を飲みながら、呟いた。
「……やっと…会える」
銀色の髪をなびかせ、小さく笑う。
その瞳は、宝石のように綺麗で誰もが惚れるような顔をした少女。
彼女が見ているのは、夜を照らす月か、それともーー
「………早く会いたい」
彼女は誰もいない夜で、呼ぶ。
想い人の名を、呼ぶ――
「………待っててね、龍くん」
見て下さりありがとうございます!