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時計の針は左に進む  作者: 深月 愛
一章
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もう一度逢いたい

それから数日たっても、僕は君を忘れられなかった。

ふとした瞬間に、君の顔を思い出す。

あの一瞬だったのに、鮮明に思い出す君の顔、声。


僕が笑顔にできたら…

君はどんな顔で笑うんだろうか。


「結城さんがぼーっとするなんて珍しいですね?」


後輩が声をかけてくる。


「あぁ…ごめんごめん、ちょっと考え事!」


慌てていつもの軽い笑顔を作る。


「もしかして……ついに恋とか?」


「え…?」


「なーんて嘘ですよ(笑)

結城さんが一人の女性を好きになるなんて考えられないですもん」


今、こいつ失礼な事言わなかったか?

反論しようとした頃には、もう後輩は他のスタッフと話している。


一人の女性を好きになる……


否定された言葉が妙に脳に引っかかって離れない。

まさかあの一瞬で、人生初めての恋をしたって?


ふっ……


自分自身でバカバカしくなった。

それに、どう考えてももう二度と会えない相手じゃないか…


着物を着て、買い物袋もって必死に小走りする…

そんな女性滅多に……




会えるかもしれない…





なぜか僕はそう思った。

滅多にしない推理なんて探偵じみた真似をしてみる。


今時珍しく、慣れたように着こなした着物。

小走りでも全く危なげなかった草履。

普段から着ているものだろう。


そして、スーパーの買い物袋からは

飛び出たネギが印象深い。


あれは……買い出し?


彼女は急いでいると言っていた。

汗をかきながら、街に消えていった。

あれは…16時前か…


仮に夕方から開くお店で働いていると仮定する。

毎日着物を着て、自分で買い出しをする。

大きな店ではなさそうだ。


本来はもう少し早くから買い物をするのだろうか。

あの日は…水曜日…明日か。


僕は、同じ曜日の同じ場所に

もう一度行くことにした。

今度は少し早い時間から。

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