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時計の針は左に進む  作者: 深月 愛
二章
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誕生日〜約束〜

誕生日に何をするか悩む彼女につけ込んで

僕は甘えてみることにした。


「ねぇ、よかったらその日…デートしない?」


その時僕は、はじめて彼女をデートに誘った。

人生ではじめての事だった。

緊張した。唇が乾いて…言葉がイップスしそうだった。


そんな緊張を知ってか知らずか、

彼女は二つ返事で、いいよ、と言った。


思えばあの日街で見つけて声をかけた時からは

全く思いもしなかった展開だ。

一ヶ月でよく、ここまで距離を縮められたものだ。


でも、彼女は二人の関係を決して口にしない。

僕をどう思っているのか、僕の気持ちを知っているのか…

そういう事はうまくかわし続ける。


それが変わる事件があるのだが、

それは僕の誕生日からまた一ヶ月後のこと。

僕はその時、彼女の心の隙に完全につけ込んだ。


こうやって思い返すと、僕はいつだって彼女の隙を狙っていたんだ。

でもこれだけは信じて欲しい。

彼女のことは…藍子のことは、本当に運命の人だと思っていた。

いや、今だってそう思っている。


これから先、僕が他の女性愛することなんて絶対にない。



「どこに行きたいの?」


デートをしようと言った僕に、

彼女は行き先のリクエストを聞く。


正直、どこだって良かった。

彼女と一緒に誕生日を過ごすこと。

それだけで天にも昇る気持ちなんだから。


「海…とか?

せっかく夏だしさ、海にドライブしようよ!」


そう言う僕に、彼女は少しの妙な間をあけて答えた。


「………海か、うん、そうしようか。

あ、でも入るのはちょっと……」


そうか、海に入りたくはないのか。

僕はそのくらいの軽い考えしかしなかった。


「僕も入るのは苦手。ベトベトするし。

だけど、車で行って、涼しいとこでアイスとか食べてさ」


「でも、マサト君の誕生日なのに、

運転させちゃったりして疲れない?」


そうやって自然に気遣う言葉が出る彼女が

僕は本当に本当に好きだった。

むしろ、どんどん好きになる。

独り占めしたくて、店にだって立たせたくなくなる。


「全然!僕ドライブ好きだし、隣は藍子ちゃんだし?

あ、ねぇ、その代わり、誕生日プレゼントに

藍子ちゃんのお弁当食べたいなー♡」


店で客に出すんじゃない、

僕のためだけの彼女の手料理が欲しくなった。


「ええ?そんなんでいいの?」


彼女は本当にびっくりしたように言った。


「そんなんじゃないよー!

大好きな女の子の手料理って、

男のロマンなんだからー!」


そんな事思う日が来るなんて想像もしていなかった。

けれど、本当に彼女の手料理を独り占めしたかった。


「大好きって…まーたそんな事言って…。

じゃあお弁当作るね?でも、お口に合うかわからないよ?

歴代の男のロマンと比べないでね?」


彼女は軽くため息交じりでそう言った。

どんなに説明しても、僕に彼女が…恋人がいなかったことが

信じられないらしい。


それどころか、多分彼女は、

「恋人がいない=特定の人をつくらない遊び人」

くらいに思っているんだと思う。


まぁ…出会いもナンパみたいなもんだし、

仕方がないかもしれない。

でも、当時の僕は、根拠のない自信でこう思っていた。


「自分の一生をかけて本気で愛している事を伝える」


だから大丈夫。

今の誤解は大したことではない…と。


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