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時計の針は左に進む  作者: 深月 愛
運命の出会い
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僕の告白




「彼女を殺したのは僕だ」






とても愛しくて、大切で、失いたくなくて、

大切に大切にしてきたんだ。


初めてだった。

街で彼女を見かけた時に、

心臓の奥の方から、身体全体がドクンと鳴ったんだ。


僕は両親を知らない。

物心ついた時には施設にいた。

人から受ける愛情はなんとなくわかっても、

人を愛するという気持ちはずっとわからなかった。


一生懸命バイトをしてお金を貯めて、

必死で勉強して美容師になった。

もう死語かもしれないけど、カリスマなんて言う人もいる。

僕はその言葉が嫌いだ。

別にカリスマになんかならなくていい。

チヤホヤされたいわけじゃない。


誰かの心が、僕の手で少しでも明るくできたら…

それだけで僕は満足。


磨いてきた技術には自信をもっている。

いつかはパリコレのヘアメイクだってしてみたい。

だけど、僕の夢は自分の店を持って、

そこにくるお客さんを笑顔にしたい。


店を出してあげようか?

車を買ってあげようか?


僕の周りにはそんな女性が沢山集まってくる。

もちろん見返りは僕の身体…存在…

それはきっと彼女たちなりの愛だろう。

僕は愛されているんだろうな。


だけど、その中の一人も僕は愛していない。

僕は、そんな彼女たちの希望に沿うことはできない。

それに気づくとみんな離れていく。

少し寂しいけど、それは仕方ない。

永遠の愛なんて存在しない。


僕に注がれていた愛が、

今度は別の誰かに注がれるだけだ。

それでよかった。

惨めとも思わないし、縋りたいとも思わなかった。


だから、一度も「恋人」はいなかった。

信じてもらえないかもしれないけど。

もうすぐ30歳。社会的にも立派な大人だ。


でも、本当に知らなかったんだ。

人を愛するということを。






あの日

君を見つけるまでは…




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