野盗に向かう2人と一匹
「え? 野盗の先? へーそんな噂あるんだ」
ここはリディアの港、いつもの休憩場所、海の水の音と、遠くにいる獣の声、
そして静寂、
かつて海の向こう側を目指した生者たちの夢の跡の港、
龍人と旭はいつもの木でできた水の上の通路に腰を下ろし、
水筒に入った水を飲みながら談笑中である。
もちろん姿格好は水着のような服装に、
旭は当然ポニーテールである。今日は二人とも首にタオルをしている。
「ああ、それでジョージも同行したいんだと、なにやら思うところがあるらしくてな、
俺らで明日から獣の王の噂を確かめに行こうって話になった。」
「ふーん、ジョージがねぇ、古い付き合いなんだっけ?」
「まあな、いつだったか、
まだ野盗なんてステージじゃなかったあの場所でボロボロになっててな、
それでも必死に生きようとしていたあいつを俺がたまたま見つけてな、
アイテールまで運んでやった。少しアニマを分けてやったらな、
喋るようになるわ、お茶作る商売まで手伝うわで、生き生きとしてたよ、今もだが、」
「どれくらい前なの」
「あーあいつが言うには2000年位前だったかなぁあいつが数えてるから多分正確だろ」
「そんなにっ、すごい意志力だね、人でさえ早ければあっという間なのに、」
「まぁな、そんなあいつが、『予感』を感じてそこに行きたいって言ってるんだ、
出来る限り協力してやろうや」
「そうね、お茶美味しいし、」
「そういえばジョージの前は誰がお茶作ってたの?」
「ああ、クロウディア・リデレ、っていうまぁ一言で言うなら
結構なおっぱいで張りのありそうな良いおっぱいの女でな、ありゃいい女だった。」
「その前はじじいでなんだったかな、おっぱいはなかったことだけは覚えてる。」
「はぁぁぁぁぁぁ、そのおっぱいだけに記憶力使うのどうにかならないの」
「うるせぇ、まークロウディアはそこそここの世界にいたが、
ジョージに託して逝っちまった、満足気な最後だったよ」
「そっか、それが未だにつながってるんだね、すごい、感謝だなぁ。」
「ああ、未だにクロウディアには世話になってるな…」
「ともかく、やれることは一つね、午後も頑張ろ」
「ああ」
翌日、朝、アイテール、松原商店の一角、龍人と旭は約束通り現れる。
「よう、おはようジョージ、それとゴーシュと小太郎」
「おお、龍人、おはよう、今日からしばらくよろしく頼む、」
「おはようございますやでぇッ」
「ワンッおはようだワンッ」
「おはようジョージ、ゴーシュ、小太郎…やっぱかわいい…持ち帰りたい…えいっ」
旭は柴犬の小太郎のお尻を両手で掴みひっくり返しお腹を両手で蹂躙する。
「そんなひっくり返されてお腹蹂躙されてるワンッお嫁に行けないワンッ」
「あああぁぁかわいいぃぃッッッお前雄だろぉォォ」
余計にもみくちゃにされる小太郎、幸せそうである。
そして矛先はペンギンのゴーシュに向く、
「駄目やでぇッ、そんなっ人間のおなごのぱいおつを知ってしもうたら
繁殖できないなくなってしまうでぇぇッッ」
「ゴーシュも可愛い…ここは天国か…」
旭のおっぱいに挟まれ幸せそうな顔をするゴーシュ、
それを羨ましそうに見つめるアヒルのジョージ、思わず不満を口にする。
「それで旭、いつになったら僕をそのたわわな乳房にダイブさせてくれるだ?」
「そんな羽広げてまたれても…なんか地獄で不良品掴まされそうだし…」
「なんだいそれはっあれか?、
未来の世界で暗躍したアウトダック家電とかいうやつかい?
CMにアヒルを採用していたという?
買ってちょうど2、3年で壊れるとかいう??
ダックタイマーとか言うっ? 私には関係ない、風評被害だっ」
「アヒルを採用したCMって他にもあるんだけど…よく知ってるね、
私がハズレを引いたわけじゃないんだけどお父さんがね……、
直接被害を受けたわけじゃないから…だから強いて言うなら『なんとなく』かな?
あっ、バランスかも、めちゃくちゃ可愛がるのと、蔑ろにする、
このバランスのためよッッ、
ジョージの役目は蔑ろッックインテットで私が蔑ろにする唯一ッッ」
「ひ、酷い…」
ジョージは地面を見つめながら両方の翼をおろし、肩を落とす。
「それで、今日は二人で、いや2匹か? 店番なのか?」
「いや、今日の当番はゴーシュだ、
小太郎はただ他の3匹の代表として見送りに来てくれただけだ、
アルフレドもクレオパトラも見送りたいって言っていたが
納得して仕事に行ってくれたよ、」
「そうか、まぁこいつのことは心配しないで仕事に励んでくれよ、
必ず羽だけでも毟り取って帰ってくるからな」
「リーダーをよろしく頼むワン、」
「よろしくであります」
「うん、まっかせておいて」
「で、できれば無事にお願いしたい」
「わかってるよ、ほらいくぞ、肩に乗せるぞ」
「あ、私は旭のほうが…、っっ」
ジョージは龍人の右手で捕まれ左肩に龍人の顔の向きと逆に配置される、
ジョージは龍人の肩の上で方向転換した。
「お前も男の子だな、だがしばらくは俺の胸筋眺めとけよ」
「…致し方ないな…行きましょう龍人、旭」
ペンギンのゴーシュと、柴犬の小太郎は
真剣な眼差しでそれぞれのできる限りの敬礼をし龍人と、旭と、ジョージを見送った。




