取引
ここは『始まりと終わりの村アイテール』、
澄み切った青い空、望める青い海、変哲もない黄土色の土、
まばらに生える雑草、謎の像、暑苦しい灯火台、
金髪巨乳の神の代行者がいる大聖堂、巨乳鍛冶屋になった鍛冶屋虎徹、
外で露天する巨乳のアイテールのサンタクロースことシエスタ・パンドラ、
商人松原の商店松原、その一角、日差しをしのげる場所に、
動物商人クインテットの5匹のうち一匹がローテで雑貨を売っている。
今日は柴犬の小太郎だ。いつも通りの『始まりと終わりの村アイテール』。
「よう、松原」
「あ、吾妻の旦那、本日もごきげんうるわしゅう」
ここは商人松原が営む、この村唯一の屋根付き商店、
その店主 松原笑馬は、
酷くリラックスした状態でお手製の団扇をパタパタさせながら家の中で涼んでいた。
「いやー暑いですねぇ、この世界、地獄 テラ・グラウンド、
各ステージ多少の温度上下がありますが今まさにアイテールは夏ですね、
普段は温度24度くらいで心地よい風もあって過ごしやすいんですけどねぇ、」
「お前はこの世界で一番悠々自適だな松原、
まだ昼過ぎだってのに『生者のベルト』も外してくつろぐたぁ良い『ゴミ分』なこった」
『生者のベルト』小物入れや、レピオス瓶など、
生者に無くてはならないベルト、他者には外せないし、
触れもできない不思議なベルト、
くつろぐとき、寝るときは皆外す、
そんなベルトをまだ昼過ぎだと言うのに外し
堂々とくつろぐ松原を龍人は『ゴミ分』と称した、
「今日はきっついなぁ吾妻の旦那、
朝起ちを旭ちゃんに見られて『さいってぇ』とか言われて不機嫌なんです?
それとも更に上を行って夢精ですか?
ともかくゴミじゃないですよ、
笑馬ですよ笑う馬、笑う商人、笑う門には福来たる、
松原商店の店主、松原笑馬ですよ」
「うんなこたぁ聞いてないんだよ」
「それじゃなんです? 最近旭ちゃんのおっぱい揉めないから機嫌でも悪いんです?」
「松原さん、私一応いるんだけど。」
「げっ、あれっ、居なかったじゃないですか、
いやこれは『にちじょうとぉく』というやつでして」
松原はいつの間にか居た旭に不味いことを言ってしまった負い目から、
くつろぎ団扇モードからその姿勢を正しその場に正座する、
「おまえ、また『ユーノ』急かしてレベルアップしてきたな?」
「えへへ、わかるぅ? 流石に終わった後に優しく怒られちゃったぁ~」
旭は可愛く左手で自身の頭をポリポリしながら言葉の後に『テヘペロ』と舌を出す。
「あの~それで、今日はなにようで?」
「ああ、こいつに防寒用の防具一式頼むわ。」
「防寒用ですか、雪原に行くんですね~、在庫は…ありますね、
頭から足までで、計1万5千アニマです」
「龍人、」
「え? ああぁ? なに? また俺にたかるのかよっ」
「そう、」
「ちょっとまってよ、
『果てなきオーラのロングソード』の時にそれまでのおっぱい分払ったはずだろっ
レベルアップと防寒装備代でお釣りが来るくらいあっただろお前っ」
「それはそう、だけど、防寒装備代をシカトすればもう1レベル旭ちゃんレベルアップ」
旭は胸を張る、たわわな胸をロケット型のおっぱいを、
男たちの夢を突き出し、両の手は腰に、
えっへんと目を閉じで自信満々で追加でもう1レベルアップしてきたことを申告する。
「お前なぁ…、言っとくがあれからお前のおっぱい寝込みにちゅっぱちゅっぱも、モミモミもしてないからな? この間ので精算が済んでませんでしたってのも無しな」
龍人は右手で首筋を撫でながら呆れ顔でそう言った。
「んもー龍人はけち臭いなぁ、どうせ当分レベルアップしないんだから『アニマの結晶』とか『アニマ』そのものとか相棒に貢いだって損はないじゃない」
「い~や駄目だ、こういうのは自分で揃えるから重みがあって、不一致も起こすしな、いざという時の支えに一瞬の判断の時に云々かんぬん~~」
「あの~どうします? 今日はやめときます?」
胡麻をするような形で商人松原は訪ねる。
旭は一旦目を閉じ、開き、
左手を胸の前に人差し指だけを握りこぶしから起こし1を表し、口を開く、
「…わかったわ、『取引』しましょう、龍人、」
「……『取引』…だと…?
(なんだこの、旭の声音の、
『取引』という素晴らしい響きの感じは、
なんだ、この違和感とは違う、胸高鳴る予感は!)」
龍人の顔色が変わる、彼の生者の勘が、彼に有益だと囁く。
囁きすぎてうるさいほどに彼は瞬時にそれが自分にとって有益だと既に確信すらしている。旭は口を開く、そう、『取引』、その内容を全容を明かすために、龍人の高鳴りの理由を知らせるためにッッッ、
「おっぱいモミモミ、ちゅっぱちゅっぱ、ワンセット5万アニマ。どうかしら、」
「………」
「はい松原さん、お会計よろしく、」
「えっ、あっ、ま、まいどあり~、
確かに1万5千アニマ、受け取りました、
こ、こちらが品物です、受け取り許可おねがいしますね」
「許可してっと、早速装備っと、うわ暑っなにこれっ、まあいいや、
龍人早く行こっ、あっでもレベルアップしてから行かないと、
龍人大聖堂っ早く行こっ」
龍人は無言で素早く旭にアニマを譲渡し、
取引は無言の返答を持って速やかにことは成された。
旭は一瞬のうちに防寒装備と3万5000アニマを『取引』によって手に入れた。
旭はポリエステルのような茶色い生地と中に何かしらの中綿入りで白いフォックスファーが襟などにデザインされているとても暖かそうな上着、その他防寒装備に身を包み、せわしなくまくし立て、龍人を急かす。龍人は無言で商人松原の両肩を掴み顔を近づけ言う、
「松原、いいか? お前は何も聞かなかった、何も記憶しなかった、おーけぃ?」
「お、おーけぃ、おーけぃ、ないすとぅーみーちゅー」
「よし、『松原商店店主』、『松原笑馬』、
引き続き笑顔を絶やさずこの『始まりと終わりの村アイテール』の商人として商いを頑張ってくれたまえっ、わたくし、不肖 脳筋吾妻龍人、草葉の陰から松原商店を全力で応援しているよっ、じゃあなっ」
「はい、ま、まいどあり~」
龍人は一目散に商店松原を出ていった、
まるでその姿は親に念願の最新ゲーム機を買ってもらいに行く車に向かう小学生のよう。松原はその様子を見送り誰も居なくなった商店で、たとえ一人でも言葉にする他無い、
「だ、旦那…う、羨ましい、旦那にとって5万は正直タダなんじゃ…」
松原笑馬は、すこし、ほんんんの少し、羨ましかった。
取引してぇ…(適当)ポイントぉぉ(くれぇぇ)