旭とクスハ
旭は今は『リディアの港』でいつも通り小休止している、
武器が強化し終わるまではとりあえず
『アイテール』から近いこの場所を拠点に『灼熱の黒鉄城』と、
『リディアの港』で狩りをしているしかないからだ。
龍人は久々に旭とは別行動を取り、防寒具を着こみ
『アイテール』から行ける吹雪まみれのステージ『忘却の雪原』で狩りをしている。
ここのステージに入ってすぐの場所に亡者が湧き出るポイントがある。
そこで龍人は「オラオラ暇してんだろっかかって来いやぁぁぁっ」と吹雪の中、
雪原の荒野で一人叫んでいた。
「旭さん」
旭を呼ぶ声がした、旭はその方向に振り返り、その主を視認する、
銀色の髪のたわわなおっぱい、見紛うことはない、クスハである。
「少し話いいですか?」
「いいよ、なに?」
旭は突然のクスハの来訪に驚きながらも話を聞く、
旭の格好はいつもどおり、肌の露出の多い布装備で灼熱限定のポニーテールである。
肌は汗でつやつやテカテカである。
胡座をかく旭に向かって膝を抱えて地面にお尻はつけずにしゃがんだクスハは尋ね始める。
「『儚き竜の化石』、あれはどういった経緯で手に入ったんですか?
正直行き詰ってまして、その、なにかのヒントになればいいと思って」
『新しい武器』、『防具』、生者達が敵を倒すときに自動的に得られるアニマ、
その時に漏れる残滓、
生者達が散る際に落とすアニマ、思い、想い、たとえ死ななくとも、
僅かばかりこぼれ落ち続ける記憶の粒子、そんなものが形を得て、
『新種』を生むとされている、
そしてそれが武器ならば、防具ならば、
その『新種』が今までの物の『規格外』の場合、必ず等しく、『素材』は生まれる。
そして、それを強化する『術』も、『同じ』ではない、
熟練の『鍛冶』の『探求者』虎徹でさえ、渡してからもう3日、
なんの成果も得られていない程なのだ。
明らかに情報が足らない、そういうことだろう。
「あー…夜中に手に入る限定アイテムだった、そっか、ごめん、
こっちの配慮ちょっと足らなかったね」
旭は上に視線をやり思考した後、
クスハの瞳を見て配慮が足らなかったことを頭を下げて詫びる、
「夜中…でも、それは『儚き竜の化石』の『フレーバーテキスト』、
説明文にも書いてあったんです、具体的に夜中のどれくらいだったかわかりますか?
月の位置とかでもいいです」
『そんなことは詫びなくていい』、
クスハの普段ならそんな言葉が飛んできそうだが、真剣なのだろう、
『鍛冶』に関さない事柄に関して聞く耳は持っていないようだ。
その真剣さが旭は心地よくあった。
そんなことを思考しながら旭はお腹をさすりながら答える。
「たしか、お腹の減り具合から夜中の2時くらいだったような…」
お腹は減る、一応減る、時間によって人の所作、性がそうさせるのか、
旭の腹時計は中々に正確である。
「光ってる時間はどれくらいでした?」
「20分位であつめて、その後寝ちゃったけど
竜のリオさんが言うには毎日1時間位光ってるって言ってた。」
「2時から光って、一時間、ですね、
あの化石こっちじゃ全然光らないからこれはヒントになるかも、ありがとう旭さん」
「うん、こっちこそ伝え忘れててごめん、頑張って、」
「はい、旭さんもアニマ集め頑張ってください」
生き生きとした様子で立ち上がり、
クスハ・テルウェットは『始まりと終わりの村アイテール』に
元気にタッタと木板の地面を足で鳴らしながら走っていった。
旭は、笑顔だった。




