光る石と風の予感
「『時間』だ、そろそろ光りだす頃合いだ。旭を起こしてやるといい」
「ああ」
「おい、起きろ、」
旭の肩を揺らす、最近の旭は就寝時装備品はあらかた脱ぐため、
そのあられもない乳はその揺さぶりに動かざる得ない、
龍人の目の『毒』にならざる得ない、
「むにゃ、なにぃじかん?」
眠気眼で起き上がり目を擦りながら自身の腹をポリポリと掻く旭、
下着の布の肩紐が片方間抜けに外れている、
「ふーーー【平常心平常心、無防備すぎるんだよこいつは】」
龍人は旭から視線をそらし、左手を自身の胸に手を当て、右腕で額の汗を拭う。
「見て見て龍人、
この石めちゃくちゃ綺麗、綺麗って言葉じゃ表現できないくらい幻想的で、
不思議な色でなんだろう、ちょっとあったかい、すごいねっ」
完全に目を覚ました旭は装備を通常に戻し、無邪気に新しい発見を喜び、はしゃいでいた、
「龍人もそう思うでしょっ」
「…ああ、」
ウキウキした顔で、無邪気な顔で、目を瞑らない、やさしい笑顔で龍人に同意を求める、
今にも触れたい、抱きしめたい、そんな彼女に
、龍人は『まだ』素直になれない『勘』を感じた。
だが、『まだ』ということを、この時初めて実感した。
龍人はその笑顔に、僅かな、やさしい微笑みで答えた。
「世話になったな、リオ、」
「なに、こっちも楽しかった、また来れるなら来るがいい」
夜も開け、朝日が立ち昇り、出立の段となった、
「ヴァルディリス王が許してくれるなら100年に一回くらいなら来てやるよ」
「ふふ、期待してないで待っているよ」
「お世話になりました、リオさん」
旭は丁寧にお辞儀をしてそう言う、
「旭も、頑張りなさい、私は応援しているよ」
「はい、リオさんもお元気で」
「そうだ、これを持って行くといい」
そう言うと、古竜リオレイルケイルは右手を旭に差し出した、
そこには鈴のようなものがあった。
「なんですこれ、」
「『竜の呼び鈴』、暇つぶしにわたしの鱗で作ったものだ、
これを使えばこの『テラ・グラウンド』で地下でなければ私が駆けつける、
ただし、『一度』だけしか使えないがな」
旭はその鈴を受取りよく観察する、
「へーありがとう、ピンチの時に呼ぶね」
続けて今度は左手を差し出す古竜リオレイルケイル、
「後これも、この間拾ったものだ、私には装備できないからな」
これは龍人が受け取る、
「なんだこりゃ、」
「『謎の』…『指輪』?」
「『フレーバーテキスト』が…ない?」
装備説明を見ても何も書いていない、装備しても、なんの効果もない、
本当に『謎の指輪』らしい。
『謎の指輪』、ひし形の石座にひし形の赤い宝石のようなものがついている。
「なんの効果があるかも何もわからない指輪か…まぁもらえるのならもらっとくが」
龍人は一応受け取り自身の装備品ポケットにしまう。
「まぁいらないならその辺の崖から投擲しても構わない、好きにするのだな」
「ともかくありがとう、またね、リオさん」
「ああ、達者でな」
「じゃあな、リオ、」
少し歩いてから振り返り左手を振る旭と、
少し目線をリオレイルケイルにやり、歩いて行く龍人、
『神に至れぬ古竜の巣』を後にするのであった。
一人になった、いや、一匹になった古竜リオレイルケイルは呟く、
「……やはり、一人は『寂しい』ものだな…、
だがもう少し、もう少し生きてみよう、
あの二人の、輝きが消えるまで、それとも、『到達』するまで」
心地よい風の予感がある




