ロングソードさん
「ロングソードが欲しいです。」
「あ?」
あれから一ヶ月、また雑魚刈りに戻った龍人と旭は、
『灼熱の黒鉄城』で一狩り終え、
黒々と熱々とした黒鉄城から出ようとしている最中である。
勿論、二人のその格好は肌が露出まみれの防御力ゼロ、布のみである。
旭はその格好で豊満な胸を歩きながら、揺らし、突如としてロングーソードを欲した。
「何だよ藪から棒に」
龍人は横を歩く旭に胸から顔に瞳に視線を向け、
どうしてなのかと問う、
「斧も好きだけど、ヘルウエイドさん達との戦い以降、
大剣も数こなして慣れたけど、対人向きじゃない気がするんだよなぁ。
それに大剣なんてどこかの脳筋と一緒にされそうだし。
やっぱり美少女女子高校生に似合うのは
普通のスタンダードの剣でしょっ
ロングソードでしょっ」
右手で斧を持ち、肩にかけ、左手は拳を握り、
握り込んだ左手の人差し指を突き立て1を表し目を閉じながら、
胸を張りつつ自信ありげに主張する。
「…そんなに胸を張って、
挑戦的におっぱい揺らしながら俺を誘惑しつつ力説されてもなぁ…、
それにアイドルは斧を持つものだから
自称美少女女子高生も斧でも良いんじゃないか?」
「なっ、さいってぇっ、
別に誘惑なんてしてないしっ、
龍人、生前なんの仕事してたの?
アイ○ツおじさんなのっ?
たまに私の寝てる隙におっぱい揉んでるの知ってるんだからねっ、
わかってて見逃してるんだからねっ?
奥さんいたのにほんっっとさいってぇっ龍人っ」
「(ば、バレてたのか)あのなぁ。男はな?
おっぱいには勝てないんだよ。
そりゃおれは妻を今でも思うし、妻のおっぱいを思うし、
おっぱいにしゃぶりついたことを思い返すし、
その後に息子のことも思う、この息子ってのは勇人のことで、
俺の、自身の下腹部の息子じゃない、勘違いするなよ?
ともかく奥さんがいたこととおっぱいは別次元なんだ。
どの世界線でも俺のおっぱいへの行動は常に同じ観測をする、わっかんねぇかなぁ」
「この脳筋おじさん『世界線』とか言い始めたよ、なに? 結構オタクなの?」
「仕事柄な、そもそも人は何かしらのオタクじゃなきゃ、ただのつまらん、
女の子のケツと、ソシャゲかパチンコで日常を浪費するやつになっちまうぞ。
それに、そういうお前もついてこれるじゃないか、
もう二ヶ月にもなるがこれは嬉しい発見だな」
「まぁそうかもしれないけど。
せめてなんの仕事してたのか教えなさいよ。気になるんだけど」
「……しょ、小説家…だ」
「………ラノベ作家ね、わかった」
「おまっ、俺は今『小説家』って言ったんだぞ、なんでわかるっ、
カモフラージュは完璧だったはずだっ」
「はぁそんなでかい図体で筋肉モリモリでラノベ作家だったんだ……
似合ってるって言えば似合ってる。
女性はギャップに弱いとか言うしね…私も読んでたし、人のことは言えないわね」
「…でも、こんなガッ○みたいな体して、ラノベ作家だったなんて、
二つ名『脳筋ラノベ作家アイ○ツおじさん』に改名したほうが良いんじゃないの?」
「ぐぬぬッッ、なんも、なんもいえねぇッッ」
「で、?」
「で、ってなんだよ」
「いや、作家名は? この流れで言わないの?」
「…よしとくよ、俺の『覚悟』ができたら教えてやるよ」
「…絶対だかんね」
「それと何回も言ってるだろ龍人って呼ぶなよな、嫌いなんだよこの名前」
「? よく言ってるけどいまいちわからないんだよなぁ、
因みに奥さんはなんて読んでたのよ」
「………た、……たっくんだ」
「ぷ―――クスクスッッッゥゥゥッッッ~~~、
その『なり』で『たっくん』www
草しか生えてこないんだけどぉぉっっ~ww」
「チッ、いいだろうが、
親父が龍鬼だから龍人、なんか嫌だろ?
何も考えていないというか身体能力的に鬼により下の人というか、
分かってくれよ」
「んーわからなくはないけど、私は好きだな、龍人、
3文字だし、響きは聴こえいいし、
まぁ私が呼び続けたらいつか印象も変わるんじゃない?
うん、これだよ、たっくんは龍人だよ。」
「一人で納得しやがって…まぁ呼ぶ名をよほど変なあだ名でない限り
止める権利はないけどよ。ましてや本名だしな……」
「まぁいつか好きになれるよww 私はそう想うな~ww」
「…(この女…)草生やしながら言われてもな……」
「ともかく話が脱線しすぎたな、
ともかくまぁ武器にこだわりがあるのはいいことだとは思う、
ロングソードなんてのはそんなに高くない、
つーかなんで今まで買ってなかったのかは知らんが
とりあえずアイテールの商人『松原』の所行ってみるか、
俺も暫く武器なんて気にしてなかったしな掘り出し物があるかもしれん」
「行く、今すぐ行く」