深夜の出会い
龍人はガルデアの塔に向かう街道で二人の生者に遭遇する、
深夜で月明かりしか無いがたしかに二人を前方に視認する、
「(? こんな時間に生者?)」
龍人は一応警戒し、
すれ違おうとするが気がついた向こうからすれ違う前に声を掛けられる、
「おやおや、こんな時間にまさかあなたと会うとは」
龍人はその言葉を聞くと立ち止まる、二人、
黒髪の聖職者のような服のデザインに星型の印がある服装の30代くらいの男と、
金髪の少年、
「誰だったか?」
「私はかつて歌姫の祠に所属していたギリウス・アルヴェルト・マーキスです」
「ああ、初心者を指導してくれてた一人の神父さんか、見かけたことあるぜ」
「いや、足止めしてすまない、お急ぎだったのだろう、
私達はこれからアイテールで休むのでこれで失礼するよ」
「ああ」
龍人は違和感を覚えたのか怪訝そうな顔で
その行く末を顔だけ振り返り見つめる、しかし先を急いでいたことを想い返し、
龍人は再び走り出す、
「先生、今のは?」
「最強の脳筋、吾妻龍人」
「…あいつが、吾妻、龍人」
金髪の少年は立ち止まり振り返る、
既に小さくなり暗がりということもありほとんど視認できない龍人を見据える、
「行きましょう、マーク」
「はい」
二人は歩き出す、そしてギリウスは語りだす、
「しかし運命を感じますね、
あなたがガルデアの塔に行ったことがないから見てみたいと
深夜に赴いた夜に、吾妻龍人に出くわすとは」
「まだ、駄目なんですか、今の僕なら」
少年は怒りに満ちた顔でそう言い放つ、
「5秒も持ちませんよ、
あなたは器としては申し分ないが、最低限のステータスがまだない、
『あれ』を使うにせよ今はコツコツとアニマを溜めレベルアップすることです、
今のままでは不一致を起こしすぎてあっと今に自爆ですよ」
「…すみませんでした、少し冷静さを失ってました先生」
「いいんですよ。焦るのは無理ありませんからね、焦らず焦っていきましょう」
「はい、先生」
その瞳は目的のために向かう者の瞳、若々しく熱量のある、
それでいて愚かでもある、
エメラルドの双眸、