カラクリの先
アイテールに戻り、
ジョージと別れた龍人と旭はそのままガルデアの塔に赴いた。
「夕暮れ時のガルデアの塔の景色はいつ見てもいいもんだ」
龍人は呑気に情景を眺めている。
「なーに遊んでんのよ、龍人もちゃんと探してよ」
旭は四つん這いになりながら、お尻を突き出しながら、
その様子は隈なく探そうという気概しか感じない、
「はいはい、わかってるよ」
龍人も仕方なくそれに付き合う、
「ないなぁ」
「まぁ明日でも良いんじゃないか? もうそれなりに暗いし」
「こういうのは済ませておきたいタイプなの」
旭は龍人に四つん這いのまま顔を向けそう
『宿題は寝る前に済ませたいタイプなの』と言う声音で言い放つ、
「めんどくせぇ…気持ちはわかるが おじさん その体力もう無いわ」
「ジョージの別れ際、
カオスアニマを集めて転生する前に声をかけてくれっての、なんなんだろうね」
視線を戻し鍵穴捜索に戻る旭は、ジョージの意図は何なのか龍人に問う、
「見届けたいんだろ、俺達の行く末を、
あいつもあいつなりに勘が働いたんだ、それがあいつの言う『予感』だろ」
「…そっか、」
旭は納得したようにそう返事を返す。
「おっ、これじゃないか?」
「えっほんと、やるじゃない龍人、伊達に脳筋じゃないわね」
旭は立ち上がり、龍人のもとにそう言いながら駆け寄る。
「なんだその褒め方、脳筋関係ないだろ」
「ほんとに穴だ、ともかくこの鍵を、おっ入った、そして、回るっ」
ガコン、という音とともに旭たちの居た場所鍵穴の中心から1.5メートル、
正方形の3メートルのエレベーターとなる。
「なんだ、おい」
「すごい、エレベーターだ、どう作ったんだろこれ、リオさんのところにもあったけど」
「世界が作るものと、人間が作るものがあるがここはカルデアだからな、人が作ったんだろうな」
「到着」
エレベータは止まり、通路に降り立つ二人、
「おっ勝手に上がっていくんだ」
エレベーターは降りると同時に上がっていく、
鎖や何かの駆動音が鳴り響き続ける、エレベーターがあった場所は漆黒、
下が見えない、恐らく海があるのか、
落ちたら出口がなく死ぬことは確定しそうな感じである。
「帰りはどうするんだこれ」
「スイッチ的なものがあるんじゃない?」
旭はキョロキョロしてボタンのようなものを探し、
壁伝いに一つ発見する。試しに一度押して見る旭、
「ほら」
「なるほどな」
また降りてきたエレベーターは虚しくまた上に上がっていく、
「しかし、カラクリの塔、か、よく今まで発見されなかったな」
「ガルデアの塔って一万年くらい前に作られたんだっけ?」
「そうだったかな? 俺がこの世界に来た時にはもうほとんどできててな、
まさか内部があるとはな、
そのガルデアの塔が一万年云々って話何処で聞いた」
「クスハがそんな話してたよ」
「そうか、じゃ俺はこの世界一万年くらいってことか」
「…今更ね…ともかくどんなカラクリがあるんだろう」
「さあな、まぁ極力引っかからんように気をつけろよ、トラップとかありそうだ」
「大丈夫大丈夫、警戒心の塊、旭ちゃんだよっ」
「道中無警戒心の塊だろお前…」
「まぁ話しててもしょうがないし、行きましょっ」
〈ガコッ〉
それは明らかな音、お約束のような3歩目、旭は後ろにいる龍人に振り返る、
「……ごめん、龍人」
「「「ドスンッ」」」
旭の謝罪が終わった直後、振動、背後、
エレベーターはとっくの昔に上がりきり、なにもないはずの後方、
先程まで龍人と旭が居た場所に、鉄球が現れていた。
その鉄球が置いてある床は、斜めになる、
そもそも若干緩やかなこの通路、
それはテンプレのような鉄球の転がるやつ、あれ、
多分なダメージを含んでいるであろう、お約束。
「「お、おまえなぁぁぁぁぁぁッ」」
「「謝ってるでしょォォォォッッ」」
二人は疾走る、それはまさに神速、高速すら超える、
両の手を激しく躍動させ、ただ一心不乱に疾走る、
脳筋と痴女は涙目になりながら並走し疾走る、
「「「ああぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ」」」
からくりの塔に二人の声が轟いた。
「まったくひでぇ目にあった、
なんだ丸っこい転がる巨大な鉄球に襲われるって…」
「ごめんごめん、まさか入り口から3歩目の床に
起動のトラップがあるなんて思わないじゃない」
なんとか鉄球大運動会を躱した龍人と旭は呼吸を整えながら小休止していた。
「いいか、警戒しろ、それは警戒していないっていうんだ、おーけぃ?
即死トラップでもあったらどうすんだよ」
龍人は凄みを聞かせて旭に言い聞かせる。
「おーけぃおーけぃ 気をつけるよ龍人BOY、
そんなに威圧されるとこわいよぉ~」
旭はその凄みに某カードゲームの登場人物のモノマネで適当に緩和する、
「おまえの頭の中でトゥーン・ワールドが発動しまくってるからなぁ、
威圧しとかんと俺まで巻き添え食うんだよ」
〈ガコッ〉
「ありゃ?」
龍人の凄みに少しバランスを崩した旭はおもむろに右足が後ろに行く、
そこにある床の起動装置、
「おまっ」
「あぶなっ」
旭の視野にはたしかに映る、龍人の後ろに、現れた木の丸太、解き放たれ当たる。
あたる直前の丸太、旭は声で龍人に警告しようと試みるも叶わない、
旭は視野に映っていたからこそ体を横に動かしそれを躱していた。
「アリーヴェデルチッッ」
龍人は吹き飛ぶ、転がる、ようやく止まる、
「た、龍人大丈夫」
旭が心配そうに近寄る、
「お、お前はもう後ろを歩け、
このままだと次回予告で『負けないで頑張って』って
言われながら負けて死ぬというネタバレを喰らう」
「う、うん」
龍人は起き上がりレピオス瓶を一回飲む、体力を回復する。
「丸太に後ろから吹き飛ばされるとはな…貴重な体験だった」
龍人は警戒しつつ、歩みを始める、旭もなるべく龍人の歩いたところを歩く、
「ごめんごめん、っおっと」
〈ガコッ〉
旭はバランスを崩し、壁に手をやる、そしてもう聞き慣れた起動音、
「嘘でしょぉぉぉぉッッッ」
それはホース、側面の壁が切り替わり突如として液体がぶちまけられる、
それは回避不能なほど神速の透明の液体、
反応した旭は回避を試みるがそれは叶わない、ダメージはないただの透明の液体、
「あーあー」
「なにっこの液体っ、さいってぇっ」
旭はグチョグチョになる、ローションのような透明な液体は旭に絡まる、
「これっあれだっカエルのやつッッ、ほんとなにここッッ」
それはカエル、フロッグブロックの液体を恐らく改良したもの、
徐々に溶けていく旭の服、
「…素晴らしいカラクリだな、尊敬に値する」
「もうさいってぇぇっ」
龍人は感心し、裸族になっていく旭を眺めながら作った者への尊敬を宣言する。
旭はいつもの『さいってぇ』でその尊敬の抑止力となる(適当)、
「全然元に戻らんな、濃度を改良して長時間タイプになってるのかな(驚愕)」
「作った奴ふっ飛ばしたいッッ…」
恐らくダメージ部分を削ぎ落とし、透過時間を稼いだ新種、
人と獣の合同作業、その情熱は賞賛に値する。
「まぁここで立ち尽くしててもしょうがない進むぞ」
「もうっほとんど裸じゃないぃッッ」
二人は歩み始める、旭はほとんど裸、胸と股間を隠しながら進む、
そしていかにもな床が登場する、
「気をつけろよ、そこの床一部全面がいかにも怪しい、ジャンプするしかないぞ」
龍人の言うとおり床一部3メートル強ほどだろうか、
明らかに怪しくそこだけ盛り上がっている、
「はぁぁなんてステージなの…」
「ああまったくだ、さいっこうのステージだ、よっと」
龍人は飛ぶ、走り幅跳びのように、
背丈のある龍人は軽い感じで難なく回避する、
「はいはい言ってなさい、なにがさいっこうよ、よっと」
旭はさすがにそれなりに飛ばないと行けないのでおっぱい等を隠すのを止め、
助走をつけて飛ぶ、たわわなおっぱいは揺れる、
裸の女子高生走り幅跳び、それは完遂される。
龍人はその様子を脳内フォルダに動画として保存し、
彼の生涯、そのデータは消去されなかった。
「ふぅ、あんな真ん中に堂々と盛り上がってたらさすがに私でも踏まないわよ」
「ありがとう、ありがとう」
「な、なに泣いてるのよ」
龍人は泣いていた、それは、全世界の男たちを代表して、その涙は、無色透明、
「さーて扉だ、しつこいが気をつけろよ」
「さすがにこの姿で気をつけないわけ無いでしょ」
「…おまえだからなぁ」
「少しは信用しなさいよ」
「まあいい、入るぞ」
その扉、黒い重厚感ある扉、龍人は慎重に開ける、
「部屋じゃないな、階段か、慎重に降りるぞ」
あったのは黒い鉄の階段、いや、壁掛けはしご、
龍人は先頭を切って降りる、進んで降りる。
〈ガッシャンッガッシャンガッシャンガッシャン〉
「う、うん、」
旭も続く、まだ裸であるが一向に回復する兆しがないのでしかたなく降りる、
〈ガッシャンッガッシャンガッシャンガッシャン〉
龍人の足鉄甲が鉄の壁掛けはしごと音を奏でる、
しかし突如止まる、旭の足が龍人の頭に当たる、
「た、龍人?」
「ここは…なんだ、天国なのか…? 俺…消えるのか…?」
龍人は見上げる、そこはいろんなものが見える桃源郷、恥丘や、二つの乳房、
二つに分かたれた桃、天国、
「あっあっちょっと上みちゃダメでしょっ、なにしてるのよっ、このっこのっ」
「や、止めろ落ちちまうだろッッまだ、高さがあるッッ」
旭は龍人を足で蹴飛ばす、しかし旭は龍人の制止を聞かず、
龍人はその衝撃に耐えられず手が離れてしまう、
「あっ」
龍人は下の地面に高所激突し、かなりのダメージを追う、
「お、覚えてやがれ…」
「ほんと、信じられないッッ」
旭は怒りながら壁掛けはしごを降りる、
龍人はせめてもの抵抗としてその様子を大の字になりながら眺め続けた。
「はぁ、ちょっと疲れてきた…」
旭は若干ぐったりした様子である、龍人はそんな旭を尻目にレピオス瓶で回復を図る、
「まぁ、行こうや、ここまで来たら最後までな、」
現れたのはまた妙に盛り上がっている通路の床、今度は6メートルはある、
「今度は距離が長いが、まぁ俺は脳筋で大丈夫だな、旭、健闘を祈る、」
「えっあっウソでしょっ龍人待ってよぉぉッッ」
「到達ッ…てっおいっ落とし穴かよぉぉ」
龍人は余裕で6メートルを両足で飛び越えるが、そこはトラップ、
着地した床が突如二つに分かれ、落とし穴と化す、
龍人は両手で前方の床を両足で飛び越えてきた床の方の床を足で捉え、なんとか耐えた、
「プププ、龍人引っかかってるぅぅっざまぁぁッッ」
旭は笑いを堪えるのに必死である、
「もしかしてこれダミーなのかも、」
旭は素足でちょこちょことその不自然に盛り上がった床を押して見る、
「お、行ける、やっぱりダミーだこれ、」
旭はなんなく無様な龍人の元へ辿り着き、あまつその上を歩き始める、
「あっこのやろっ人を橋に見立ててっ後で覚えてろよっ」
「聞こえない聞こえない、この橋は日本製だなぁ~よくできているよジョン」
旭は外国ドラマ仕立てなのか海外通販なのか適当なテンションでそう言った。
「何がジョンだ」
旭は無事落とし穴を通過する、
「はいはい手を貸しましょうかぁ~」
「いらんっっ」
「無理しなくていいんだよぉ龍人ぉ」
旭は腹が立つほどに挑発した声音で龍人にそう語りかける、
「ちっうぜぇっ足離して行くしかねーかッッ」
龍人は足を離し壁に足をうまく乗せ、その筋力に物をいわせてよじ登る。
「ふぅぅ脳筋でよかった…」
「ちぇっつまんないのぉ」
〈ガコッ〉
「えっなにっ」
旭はまた何か起動させてしまう、それは一部不自然に盛り上がっている床、
僅かばかり旭は足を動かして体重を預けたばかりに何度目かのトラップ起動、
「あーあ、なにやってんだ、素晴らしすぎるぞ」
「もうさってぇぇっっ」
それは突如として起動した生者を縄で両手両足、おっぱいの始まり部分と下と、
腰をシステム的に拘束し、引きつけ、壁に貼り付けるトラップ、
「素晴らしい…眺めだ、俺は今 猛烈に感動している、
ここに来て何度俺は感動をしているのか…
このからくりを作ったのはきっと俺と同じ想いを馳せた
歴戦のおっぱい生者だったのだろう…」
「お、おっぱい揉んじゃダメだからねッッ」
「お前それやってくれっていう前振りにしか聞こえんのだが…しょうがねぇな」
龍人はその振りに応えるかのようにおっぱいを……、
自主規制
「わりぃわりぃ龍人わけわかんなくなってやりすぎちゃった」
龍人は左手で自身の頭を撫でながら謝罪する、
その瞬間旭の拘束は取れ、地面に着地する、
「ちゃったじゃないわよぉ」
旭がそう言い放つと旭の装備もようやく元に戻る、
「お、丁度服も戻ったし、旭ちゃん復活っ」
「それ、私のセリフなんだけど…」
数々のトラップを乗り越え、龍人と旭はガルデアの塔、
カラクリの塔最深部手前まで到達する。
「はぁっはぁっはぁっ」
「はぁはぁはぁ」
二人は疲労困憊、無理はない、もう時刻は深夜、
このからくりの塔に入り既に6時間は経過している。
「まったく、ひでぇ、ステージだ、トラップオンリーとはな」
「でも、ようやく、終わりっぽくない?」
「ああ、そうらしい」
それは扉、黒い扉、『END』とわざわざ書かれている黒い鉄の扉である、
「いくぞ」
「うん」
扉の先、そこは、直径8メートル四方の正方形の部屋、
真ん中に一つおしりを出入り口に向けている銅像がある、
どこからか引いているのか水が淵に部屋を囲うように満ち、
微かにせせらぐ静かな部屋。
四方の壁には永遠のロウソクが灯り、部屋を明るくしている。
「なんだ、ここはBOSSはいないのか」
「なんだろこの銅像に何かあるのかな?」
旭はテクテクとその銅像に回り込む、
「気をつけろよ、またトラップがあるかもしれんぞ」
「わかってるわかってる……――!?」
旭の表情が変わる、それは見るに明らか、
龍人は心配そうな声音で尋ねる、
「? どうした旭」
「おとう…さん…?」
旭は驚愕した顔のまま、驚いた顔のまま、『お父さん』と言う、
「なんだと?」
「…お父さん…なに、してるの…」
旭はその銅像の顔に手をやり、静かに涙した。
自主規制。あとは31日更新です。




