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一方その頃、リミダムさんとは別行動を取るボク達は『シグルさん』の時間となっていました。その日も美しく照らされた半月が、とても綺麗な夜でした。
『……ふむ、この世界にもエリナスが増えた様だな。似た感性を強く感じる。』
空と同じくも、別の美しさが特徴のリーヴァリィにそびえ立つ1つの建物。ガラス張りのビルの上でシグルさんは座禅を組んでいました。
自らが持つ力を研ぎ澄ます様に気の力を取り込んでいて、時折彼の毛並みが逆立ったり流されたりと、自然の力とは異なるモノが働いている様にも視えました。ココまで来ると『仙人』の様ですね、事実ですけど。
「………ん?」
そんなシグルさんが違和感を覚えたのは、それから数十分程経った頃。彼は不意に声を漏らした後に立ち上がると、感覚に誘われるかの様に外へと跳び出します。雅な着流しが風で揺れる中、シグルさんはビルの上を移動します。
1つ、また1つと移動したその後。
彼は違和感の覚えた方角を目で向けながら、近くのビルへと降り立ちました。そして再び眼を閉じ感覚を辿り、彼はその正体に対し言葉を述べました。
『……この感じ、ギラムか……? 何故ビルの上に………』
シグルさんの見つめるビルはリーヴァリィの中でも高い建造物。故に周りからの干渉は少なく、相手にとってはとても隠れやすい場所だったのかもしれません。
シグルさんはその後も相手の素質を知るかのように立った後、視線を反らしその場を歩き出しました。
「ギラムのようだが、違うか……… 例の探し人は、そう遠くはない存在なのかもしれぬな。」
シグルさんは何かを理解した様子でその場を離れ、他の気配を探しに行くのでした。