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Track on Nightingale Note  作者: 四神 夏菊
CodeName『For Pinio is Intermission』
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サントスから……もとい『クーオリアス』からの伝令を受けた俺達は、自らの足を用いて港へと到着した。報告によると既にザグレ教団員はギラム達の知らない場にて動いており、教団組織名が発覚する前からリーヴァリィにて活動をしていたとの事だ。組織の面々の望む世界がどんなモノなのかは俺には解らないが、元よりギラムが対立したともなれば俺に同意し共感する事など不要だろう。

クーオリアスからの指示で『壊滅させる』ともなれば、俺はそれに従うだけだ。


俺は世間に流される様な存在で良い訳は無く、仮にもしそれが許されたとしても恐らく創憎主の集団に服従する事も無いだろう。ギラムがもしそれを選んだともなれば話は別かもしれないが、まあ何かが狂ったり精神へ関与し洗脳でもされない限りはそんな事は起こらないだろう。


彼は屈強だ、それは他の存在達よりも俺が良く解ってる。そうでなければベネディスは彼を選ばなかった、ライゼやリミダムを始めとした獣人達だって望んで彼の元で行動をしたりなんてしない。判り切ったことかもしれないが、誰にだって出来る事でもないだろう。



それをギラムは成し遂げる、必ずやり遂げる存在だ。



などと自身に言い聞かせ鼓舞する様に俺は心の中で想いを強く持ちつつ、出航手続きを済ませ、一足先に乗り込んだサントスと共に現代都市リーヴァリィを離れた。




俺達が向かった場所、それは港からしか唯一向かう術の無い場所『築港岬ヘルベゲール』 ココはリーヴァリィで活動する傭兵達や一部の民達、そして他国に居住を置く存在達ですらやって来る依頼の集う島だ。危険と隣り合わせだが確実に利益のある仕事のある場所であり、ギラムもココに月一かそれ以上のペースでやって来て居たりもしている。


最近はセルベトルガでの依頼や内部班の仕事をしているから来ていないとの事だが、恐らくまたやって来る日は何時か来るだろう。依頼は何時だって、何処からやって来るかは解らない。


そんな場所へと到着した俺とサントスは船着き場を後にすると、サントスの指示を聞き俺等は砂漠地帯へと向かって行った。




報告によるとザグレ教団員の一部は既にこの場へと赴き、何時しかやって来るであろう戦いに備えた事前策を行っているとの事だ。何処から仕入れたかも解らない情報だったが輸送隊の事だ、俺が知らないだけで『隠密班』と言うのも居たりするのだろう。現に種族はバラバラだが『しのび』に近い行いをする存在がギラムの傍には居る為、恐らくその手の存在達なんだと予測しておく。


今回の俺達は捕獲するのが仕事だ、応戦するのも視野に入れて挑まなければならない。でも一つだけ、その前に気になる事があった。



「……なあ、サントス。」

「ん?」

「俺はサントスの使う『魔法』を知らないんだが、一体どんな魔法を使うんだ。」


気に成っていた事、それは今回手を組む事と成った『サントス』の魔法についてだ。獣人達の固体情報に関して俺はそこまで詳しい方では無く、衛生隊に所属する人達の魔法ですら全員分把握しているわけではない。ギラムとその仲間達に関しては知識的にほぼ全てを把握していると言えるが、クーオリアス側であり尚且つ輸送隊の長の彼だ。

知らない事の方が、寧ろ多い。


そんな俺の問いかけに対しサントスは軽く首を傾げながら質問の意図を考えた後、何かを理解したのか手元に大型の武器を召還しつつこう言い出した。


「そういや、衛生隊はおれっちの使う魔法をそこまで理解してなかったっけな。ディルに関してはギラムの造形体、無理もない。」

「………」

「おれっちの使う魔法は、何かと問われれば『リズルト』に近い。グリスンやリミダム達とも違うし、ましてやディルやギラム達、戦友とも違う。」

「リズルト……… って事は、自ら『肉体に魔法の力を籠める』のか。」

「その解釈で間違いは無いが、ちょっと違うな。多少異なるって所を含めると………そうだな。ギラムの元で行動している『サインナ』って子が、おれっちと一番近いかもしれない。」

『サインナ………? さっきの彼女か。』


俺に対し解りやすく説明してくれる意思はあったのかもしれないが、どうやらサントスの魔法も比較的珍しい部類に該当するらしい。


獣人達の扱う魔法は『真憧士』の様にジャンル分けをするとなると、それよりも事細かに分類が多岐に渡る。グリスンやリミダムを始めとした『最も魔法と呼べるべき現象を起こす』タイプの存在は確かに多いが、逆に『魔法の力そのものを肉体に宿らせ放つ』タイプの存在も普通に存在する。中にはライゼの様に『前者に近いが完全にそちら側とは言えない』という稀なモノを扱う存在も居る為、まだまだ未知の魔法の改良や会得の余地があると言って良い。


真憧士の様に獣人達も想いによってその力は強く飛躍し広く渡って行く為、一概にグループ分けするのはとても大変なんだろう。俺はそういう点では真憧士側に位置するからまだ良いが、今はその話をする場ではない為置いておこう。



サントスの魔法、それは先程会った相手『サインナ』の使う魔法に最も近い『世界の力学へ影響を与える』魔法。獣人達の中では勿論扱える相手は居る事は居るが、見栄えはせず物体を使わない存在にはほぼ無力な為、どちらかと言うと『会得者は居れど扱う者は少ない』と言える。彼がそれを会得するに至った経緯に関しては教えてくれなかったが、ライゼと同じく何かしらの経緯があったんだろう。

触れて良い領域ではないと思った為、俺は深く掘り下げる事は避ける事とした。


そんな魔法と同時に扱う武器、それが今彼が手にしている巨大な『釣鐘』と思わしき打撃武器。大柄な肉体に相応しく逞しい武器と言えるが非常に重そうであり、それを軽々担いで扱う所を見ると『接近戦』の方が本人は好んでいるのかもしれない。先程言っていた『戦友』と言う表現をした相手との類似点は、そこにあるのだろうか。


「そう言った意味では、おれっちは遠距離戦闘は得意じゃない。その辺りはディルに任せちまう事になると思うが、良いか?」

「遠距離か、了解。……なら『長杖』形態で十分賄えそうだな。」

「臨機応変に戦える所は、本当に羨ましい限りだな。行くぞ。」

「あぁ。」


そう言って俺は背後のバックから武器を取り出すと、右手で調整し自らが行うべき事柄に供えた準備をした。そして俺達は砂漠地帯へと足を踏み入れ、対象を探す行動へと出た。



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