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突然の事ではあったが、ギラムの仲間内に知られる事と成った俺こと『ピニオ』 不思議と困った事の様に感じなかったが故に危険視しないでその場を離れたが、正直言ってこれは危険な懸け橋だったのかもしれないと、今では思って居たりもする。
ギラムに俺の事を知られたとしても、ギラムは変に話を巻くような相手ではない事は解っている。正直言えばギラムには『知っていて欲しい』と思ったくらいだから、混乱はさせてもギラムは俺の事を認めてくれた事に感謝してる。それは非常に心強い事だと今でも思ってる、故に話して良かったとも思ってるしこれからも時を同じくして生きて行きたい。
しかし、彼の周りに居る仲間達にそれを知られる事はどうだろうか。
先程会ったサインナは言うほど話をばら撒く様な相手には感じられなかったが、男性と女性とでは思考回路が根本的に違う。ましてやギラムが異例ともなれば『普通』と言うモノがどうなのかさえ分からない為、下手に情報を漏洩すれば何処からベネディス達の計画が崩れていくかがわからない。それは絶対にしてはいけない事だとは思ってるし、今後も気を付けて行きたいと思う。
故に、多少の後悔はある。でも仕方ない。『後悔するくらいなら、やって後悔した方が良い』って、ギラムも言うかもしれない。確かにそれには同意出来る、だから変に長くは引き釣らない事としておこう。
仮にそうなったのなら、またベネディスから指示を受けるだろうからな。
……とはいえ、しない訳にも行かないな。戻ったら報告しておこう。
そんな事を思いつつ、ショッピングストリートの終わりに差し掛かった時だ。
「……お、居た居た。ピニオ!」
「?」
再び俺の名を呼ぶ存在が現れたと思い前を向くと、そこにはそれなりに見慣れた服装に身を包んだ相手が立っていた。相手は俺並みに背が高くガッチリした体形の相手であり、翠色の装束が印書的な獅子獣人だった。
そこに居た相手、それは『輸送隊』の長である『サントス・モデラート』だ。衛生隊側に位置する俺とは交流が言うほど多くは無いが、彼もどちらかと言えばこちら側に位置する存在。
何か俺に用がある様だが、伝令か?
「マウルティア司教様からこっちに来てるって聞いてな、おれっちも今来た所なんだ。」
「御足労頂き恐縮です。何かありましたか。」
「あぁ、固っ苦しい話し方は無しで良いぞ。ギラムもおれっちとはタメ口だからさ。リーヴァリィではそうしてくれるか?」
「……わかった。それで、どうしたんだ。」
「リミダムから報告を受けてな、おれっち達にとっても軽視出来ない状況が始まったらしい。コレを見てくれるか。」
そう言ってサントスが渡したモノ、それはクーオリアスで作られた書類だった。恐らく向こう側で聞いた報告内容を即座に文字情報化させた結果なのだろう、俺も即座に眼を通し現状の把握と彼がやって来た意図を推測しだした。
彼等の言う脅威、それはこの世界で言う『創憎主』に並ぶ存在達の組織があると言う話。名は『ザグレ教団』と名乗っており、既にリミダムを含めたギラム達が一部の掃討に当たったらしい。だが現状確保出来たのは『三名』であり、対立し面の割れた四名を逃してしまったと言う内容だった。
ギラムと一緒だったと言う事は、先程のサインナももしかしたら一緒だったのかもしれない。その割にはいつも通りの様に感じられたが、内に秘めていつも通り接してくれたのかもしれない、凄いな。
「ザグレ教団と言う組織が発覚し、それに紐付けって訳ではないが『施設隊』と『警務隊』から前々に調査を頼まれていた話があってな。それとの関係性が明確になった。」
「関係性……? 調査って事は、リーヴァリィとクーオリアスの移動に関わる内容でか。」
「流石、ギラムと同じで察しが早いな。そう、獣人達の一部がリーヴァリィで消息を絶ってるんだ、それも大分前から何十人とな。」
「……… 創造主も契約をする過程が必要と考えれば、面子との契約相手が判れば………消息の意図も掴める、ってわけか。」
「そういう事だ。現に捕まえた三人で情報を割り出してもらって確定した、奴等は確かに姿を消した連中との契約相手だった。」
「………」
「今回はそれなりに大きい内容だったし、リミダムもギラムから頼まれた仕事があるらしくてな、そっちを任せて来た。ピニオ、おれっちとある場所まで来てくれるか。応戦の可能性が有る。」
「解った。」
既に俺のリターブの際に進んでいた話があった事は、即座に理解出来た。施設隊は彼等を始めとする獣人達全員のクーオリアスでの動きを把握しているし、警務隊はリーヴァリィに対し行動する術が無いがクーオリアスにおいては例外を除いて手中内。
ならば残すリーヴァリィでの動きを任命されるのは、必然的に輸送隊になる。衛生隊に位置する俺も関与すれば表向きとしては十分過ぎる上、ベネディスにとっても良い結果になるだろう。
俺は即座にその内容を理解し受理すると、その場を離れ北側の港へと向かって行った。




