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俺が生まれたその理由。それはある存在の想いと願いの中。
誰かが成し遂げたい夢の為に、誰かが導き出したい結果の為に。
俺はその場に生れ落ち、そして『生』を得た。
汚れと言えるかわからない大気の汚染とは縁の無い、清浄な気で満ち溢れた世界『クーオリアス』
自然と相対しない技術を用いて造られた、建造物達。
自らの内に秘めた力によって発動する、魔法達。
そして、自らを他の存在達とは違う。誇りを抱いて生きる者達。
俺はどの概念からもズレた存在ではあったが、気付けば違和感が薄れ俺も一人の存在として生きていた事を、その時に知った。
あの時に出会った、俺のハジマリと言える存在『ギラム』
彼は他の存在達とは違った概念を持ち合わせ、そして自らにしか出来ない事を望んで苦難の道に自ら進む勇気を持っていた。安定と調和を望んで生きる事を選んだ人間達とは違う、あからさまにオカシイと言われるかもしれない選択肢。そんな選択肢を彼は選び取り、安定しない生活の中で自らが居るべき場所を獲得しつつある、才に恵まれないながらも恩恵を得られた存在であった。
彼の元には、ヒトリの龍が居る。彼が意識するずっとずっと前から、彼の龍はそこに居た。
龍は彼に幾多の選択と立ち塞がる試練を与え、彼にとっても悩ませる出来事に度々合わせて来た。しかしそれは俗にいう『嫌がらせ』と言うモノでは無く、ただただ『試練』と言う名の『祝福』に過ぎない。人間達とは元から異なる考えとコトワリを持つ彼等の行いが、人間達にとって幸せになるとは限らない。故に、そう取られても不思議ではない出来事にギラムは度々直面してきた。
治安維持部隊に勤めていた頃もそうだが、今の軍事会社に居る事も含め、早くに父親を亡くした時もまたそうだ。どれもが全て必然的に起こった事であり、彼にとって何時逃げ出してもその選択肢を手にしても構わない状況下が揃って居た。嫌ならば逃げてしまえば良い、人生と言う舞台から降りたって構わないだろう。
龍はどんな結果が出たとしてもギラムを生涯見守り続け、そして次の者の為に行動を続けるだけ。
……しかしそれでも、ギラムは決してその道を選ばなかった。幸いにも他者に恵まれていたからなのかもしれない、しかしそれもまた『必然』と言えるのかもしれない。俺には正しい言葉が見つからないが故に曖昧な表現となるが、それでも俺はこう言っておく。
【ギラムは何時だって、憧れに成り得る存在として自ら選んだ道を歩んでいるだけ】だと。な。
この物語は、そんな俺が生れ落ちた時間軸。解りやすく言うと『憧れを求める造形体』の後。
『自然体の運ぶ聖十遊技』と『想望を託すは双人の富者』の間の時間軸、その時に行動していた俺の記録だ。




