表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ある人

作者: ソルティ戦士

 何か新しく始めたいと思っていても、結局行動に移せた経験はほとんどない。自分には何かしらの才能があると信じて疑わない時代もあったが、最近ではすっかり信じていないし疑うことに余念がない。それでも何かないものかと唸っていると、次の日になっていた。

 

 小学生の時、彼は何をしても秀でた児童だった。お勉強も得意で、とりわけ九九を覚えるのが早かった。7×4に苦戦をしなかった。運動も得意で、ボール遊び、かけっこ、縄跳びと、なんでもござれという状態だった。4年生の頃、体力テストの反復横跳びの種目は学年で1番だった。遠足の前の日はすごく長く感じた。


 中学生の時、彼は、拗らせていた。もう色々と、おそらく彼は思い出す度に恥ずかしいのだと思う。ただまあ、小学校からのステータスを引き継いだ状態からのスタートだったので、遠目から見ればそこそこ見れなくもない感じだと思われよう。そんな生徒だった。勉強は学年を追うごとに成績を落とし、英語は全く読み書きできないまま卒業した。テストの前の日はどんなに眠くても一応机に向かった。


 高校生の時、普通の生徒だった。部活もそれなりに努め、勉強は中学から変わらず緩やかな下降線を描き、高校3年生の頃には数学の授業がなくなっていた。ただ、彼が大人になって思い返した時、一番戻りたい時代はここである。毎日を楽しく過ごした。


 大学生に関しては、最低な学生だった。とかく最低な出来の人間で、色で言ったら確実に黒。ベンタブラック。まるで光を反射しない。どんな色を置いても、何も変化がない。最早語ることがない。時間も概念も不安定な、異次元空間である。


 学生が終ると、彼はやることがなくなった。別に無職というわけではない。働いているようだ。働きながら、考える。何か面白いことがしたい。でもお金もないし、時間もないし、というような現代の貧困な若者そのものである。それでも何かないものかと唸っていると、次の日になっていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ