狂気
前回のあらすじ
人の関節は割と脆い
リョウと作戦を。
と思ったけど、その前に行っちまった。
しかし、リョウはそのスピードで自分の2倍はあろうヨームを圧倒する。
奴は目で追うのがやっとで、斬られる一方だ。
俺いらない子じゃん…
すると、リョウに異変が起きる。
さっきから怒りでおかしくなってるのは知ってるけど、どうも様子がおかしい。
笑っているのは変わらないけど、目つきが違う。
赤く光り、夜やみに線を引く。
まるで某狩ゲーのモンスターみたいだ。
それだけじゃない。
刀も紅色になり、どんどんスピードも上がり、俺も追えなくなってきた。
動きも人間のソレじゃない。
しかも、ヨームから出た血を刀が“吸っている“。そして吸われた血は刀を伝いリョウの腕に触手のようにまとわりついている。
これ止めた方がいいかな…でもさっきまで大丈夫だったし、もしかすると…
「モット…ヨコセ…チィ…ニクゥ…タマシイィ…」
あ、これあかんやつや。
完全に何かに呑まれてる。
リョウが一息つきに下がった時、剣の面で頭を力一杯ぶん殴る。カチ割る勢いで。
「おはようございまーーーーーーす!」
ガンッ!!!
という音ともにリョウが元に戻る。
「グオオオオオオオオオ!痛っっっっっっった!何すんだおい!」
「お、戻った戻った。はあ、良かった。」
「良くはねえよ!なんで急に殴ったし!」
「だってお前未だ嘗てないくらいに狂ってたぞ?悪魔もびっくりなレベルで。」
「へ?そういえばさっきはなんか自分じゃない誰かが体うごかしてるように感じたような…感じてないような…って、なにこれ。」
そう言って、紅色の刀と、触手のようなものがまとわりつく自分の腕を見る。
「なんか、あいつの血吸ってるみたいにも見えたぜ?刀が。」
「えぇ…キモッ…」
「まあいい。それは置いといて、まずあれをなんとかしようぜ?」
「?おっ、そうだな。」
今度こそ2人で構える。
「俺が足を潰す。リョウはとどめよろしく。」
「はいよ!」
俺は奴に向かって走りだし、スライディングで奴の股の間を抜け、奴の膝裏、アキレス腱、太ももを斬り裂く。ヨームといえど人型。筋肉の配置は大して変わらない。
ヨームは足に力を入れることができなくなり、崩れ落ちる。
「いいぞ!」
「んじゃ、お開きだ!」
リョウはさっきの場所から大きく跳躍、刀を振りかぶり、 魔力で刀を強化、延刃をかける。
しかし、紅色に輝く刀はいつもとは違った。
刀は伸びに伸び、その長さは2メートルをゆうに超えた。でもリョウは気づいていない。
「おらあああああああああああ!」
振り下ろされた刀はヨームを真っ二つに斬り裂いた。
その時に初めてリョウは刀の異変に気付いた。
「は?」
ヨームを斬った後は、元の銀色に戻った。
「なんだったんだ?」
「いや、俺に聞かれても。」
「……これについてはまた今度なんとかするとして、帰るか。コリンナにも聞いてみよう。」
「それがいいな。俺腹減っちまった。」
そうして、俺たちは村に戻った。
村に戻ると、宴会になった。
あれだけのことがあったんだ。仕方ないといえば仕方ない。
しかし、あの時の俺は普通じゃなかった。
元からキレると制御が効かないのは知っていたが、今回は異例だ。
ショウからその時の様子を聞いたが、その時の俺は、まるで、夢の中にいるような感じがした。
それに、俺じゃないなにかが、俺を動かしていたようにも感じた。
コリンナに刀のことも聞いたが、特に知らないらしい。
となるとあれはなんだったんだ?
わからないことが多すぎる。
何かの機会に解決しないとな。
翌朝
俺たちは王都に帰るのだが、そこで、フェリクスと話した。
「で、結局どうするんだ?」
「ここに残ろうと思う。」
「理由は?」
「今回のことを受けて、みんなに剣術を教えようと思うんだ。二度とこんなことが起きないように。」
「そうか。それがお前の意志なら、反対はしないさ。」
「ありがとう。」
そう言って俺たちは硬い握手を交わす。
「いつでも帰ってこい。その時は歓迎する。あと、奥さんによろしくな。」
そう言って後ろのリザードマンの女性に目を向ける。
奥さんという言葉に少し照れくさそうだ。
「まだそうと決まったわけじゃ…フッ、わかったよ。みんなのこと、色々話しとく。」
「くれぐれも変なこと吹き込むなよ?」
そう言って、俺たちは、フェリクスに別れを告げた。
少し寂しくなるが、またいつでも会える。
次回、一難去って…?




