終わらぬ救助
前回のあらすじ
匂いに注意
俺たちが到着して、しばらく。
火は全て消火。
多くのリザードマンも助けた。
しかし、死んだ者もいる。
それに、村からは女子供がひとりもいなくなっていた。
現在、残った家で、俺たちと、チェーザレ、フェリクスとともに、会議中。
リョウは襲ってきた山賊の調査だ。
「一応、経緯の説明をお願いしたい。」
「ああ、朝の4時くらいからでな。ほとんどのやつが眠っていてな。闇討ちにあい、このザマだ。シークルスたちをはじめに仕留め、女子供をさらい、家屋に火をつけられた。時期的なこともあり、我々の眠りが深かったのも一つの原因だろう。」
「なるほど。女子供をさらった理由はわかるか?」
「そこからは俺が説明する。」
「リョウ!戻ったのか。」
「それで、奴らは?」
フェリクスが心配そうに聞く
「ここからしばらく山の方に行ったところで勝利の美酒を煽ってる。やるなら今晩中だな。」
「それで、さらった理由は?」
「少々酷だが、いいか?」
フェリクスとチェーザレが少し悩んだ末、頷く。
「わかった。奴らの目的は戦力の増強だ。」
「それがどう繋がるんだ?」
「リザードマンの子供を兵士として鍛え、女はその兵士になる子供を増やすため。子供の親を人質に逆らえないようにするつもりだな。今はみんな縛られて放置されてる。」
「クソッ!」
フェリクスが床を殴る。
理由は簡単。
フェリクスの想い人もその中にいるからだ。
「敵の数は?」
「ざっと20数人。と、頭がひとり。」
「出来そうか?」
「1人1人は雑魚の集まりだ。苦労はしないが、人質がいるとなると、話は別だわな。」
「作戦が必要ってことか。」
「ある程度は考えてる。」
「成功率は?」
「さぁね。やってみなきゃわからんさ。ゲームじゃないんだし。」
「わかった。聞かせてくれ。」
リョウの作戦としては、1人1人確実に仕留め、人質を解放、残った奴らをエヴの魔法で一網打尽にするというものだった。
メンバーがある程度揃ってるのでおそらく大丈夫だろう。
「なあ、リョウタロウ。俺も行かせてくれないか?」
作戦を聞いたフェリクスがそう切り出す。
するとエヴが待ったをかける。
「ダメだ。その状態で行けば、今度こそ死ぬことになる。」
「ドクターストップってやつだな。気持ちはわかるが、我慢してくれ。」
「クッ…」
「メンバーはどうするんだ?」
「俺とロボル、ディアナが数減らし、エヴが砲撃、ショウとコリンナが人質救助、護衛ってとこだ。」
「よし。今晩、決行しよう。」
奴らは昼間、うまく行ったことに喜び、酒を飲んでいたため、そう簡単には起きない。
見張りはいるが、遠い奴はディアナの弓で、ほかは俺とロボルで始末していく。
容赦はない。草むらから飛び出て、口を押さえて、刀で心臓をひと突き。そのまま死体を草むらに隠す。
某暗殺ゲームでそこら辺は鍛えてる。
数が大体半分に減ったところで、人質の解放にかかる。
「あ、あなたたちは?」
「シッ。バレるとマズイ。」
手際よく、縄をほどき、1人1人森の中へ誘導。
ショウとコリンナが周囲を警戒しつつ、みんなを守る。
全員助けたところで、見回りが来てしまった。
「おい!お前らそこで何してる!おーい!来てくれ!」
「チッ、エヴ、ロボルを連れてショウを読んできてくれ。あとはなんとかする。」
「でも…」
「いいからいけ!」
約10人できる限りエヴの方に行かせないようにしないと。
リョウがバレたみたいだな。
エヴがロボルを連れてこっちに来る。ということは俺と交代って感じか。
俺はリョウの方へ走り出す。
すると、伏兵が人質へ襲いかかる。
「しまっ!」
「ちくしょうがああ!」
人質に剣を振り下ろされる。
しかし、それは大剣を持ったリザードマンに防がれる。
「させるかああ!」
「フェリクス!?まあ、いいか。頼んだぞ!」
「ああ!…クッ…」
「その怪我で守れんのか?トカゲ。」
「少なくともお前1人くらいはな!」
ショウの方でトラブルがあったみたいだが、なんとかなりそうだ。
さて、俺は俺の仕事をしなきゃな!
「こいつ!速ぇ!」
「お前らが遅えんだよ!」
雑魚といっても山賊、それなりに手こずった。
終わる頃にはみんな避難し終わり、俺とリョウだけが残った。
「今ので全部か?」
「いや頭がいるはずだ。」
「やってくれたなぁ?おい。」
奥のテントからひとりの男が出てくる。
「随分お寝坊だな?もう終わっちまったぞ?」
そう言って足元の死体に足をのせる。
「ガキどもが調子乗ってよお。生きて帰れるとおもうなよ?せっかく沢山の女や下っ端が出来るとこだったのになあ?」
その言葉にリョウの顔が一気に曇る。
この顔のリョウを見るのは二度目だ。
一度目はリョウをいじめてた奴らがリョウの親と、俺たちの親をバカにした時。
あの時は俺たち3人もキレたが、リョウが一番怖かった。
リョウは普段は優しいが、その分怒ると収集がつかなくなる。
「ショウ、これ持っててくれ。」
そういうとリョウは刀を鞘に納め、渡してきた。
「お?舐めてんのか?」
「お前はこれで殺す。」
そう言って、ドラゴンの鱗でできた小手を振る。
「へへ、本当に…ガキだなあ!」
奴は腰にあった斧を振るう。
しかし、リョウはそんなものには当たらない。
まずガラ空きの顔に一撃。
鈍い音とともに、男はよろめく。
「チッ!」
今度は横薙ぎに振るが、その斧を魔力で強化したであろう小手で受ける。
大きな金属音が響き、斧は弾かれる。
そのまま右肘で鳩尾に一撃。
その曲げた肘を起こし、裏拳で顔に一撃。
さらに軽く跳び、右足による回し蹴り。
男は後ろへ押され、顔を押さえる。
「クソッ。」
「そう簡単にやられてくれるなよ?」
月明かりに照らされるリョウのその顔は
「まだまだ殴り足りねえからよお?なあ。」
不気味な笑みを浮かべていた。
次回、てめえの敗因はたった一つだぜ。




