ドラゴンの街
今回も長い。
前回のあらすじ
とりあえず復活。
現在、空の上、ドラゴンの背中にて移動中。
仲間全員で。
どうしてこうなった?
落ち着いて思い出すんだ。
あれはつい先ほどのことだ。
みんな来ていいと言われたが、まさかなと思って確認したところ全員が行きたいと回答。
そして現在、みんなまるで宿泊研修に行く際のバスに乗っているかのノリで移動中。
ハハハ。
馬鹿げてるぜ。
「しかし、本当に全員いても良かったのですか?」
「どうせならな。あと、そんなにかしこまらなくても良い。さっきは名目上ああしていたが、実は私は堅苦しいのが嫌いでな。ハハハハ。」
またしても俺のドラゴンに対するイメージが崩れた。
そうこうしてる内に見えてきた。
実際ドラゴンが空を飛ぶ速度はかなり速い。
見えてきた街はのどかな感じで住居は石材でできている。
ん?住居?
「あの、あの家って。」
「もちろん民の家だ。ドラゴンの姿だと、不便が多くてな。基本は人間の姿で暮らしている。なにせあの姿だと、料理もできんし、トイレが大変だからな。」
ドラゴンって一体なんなんだろう。
俺たちは、城の離着陸場に降りて、中に入った。
「その、つかぬ事を聞きますが、その、娘さんって、一体どんな方なんですかね。」
「あいつはまず、自分以外の者に興味を示さないはずなんだがな。流石に今回は気になったらしい。」
「今回はと言いますと?」
「今まで多くの者が悪しきドラゴンを倒してきたが、腹のなかで暴れまわったというのは初めてだったし、衝撃だったんだろう。」
「は、はあ。」
「まあ、娘とは明日対面するとして、今日はもう遅い。食事をしてゆっくり休むといい。」
その日の夕食は豪華だった。
理由を訪ねると、ここに人間が来たのは久しぶりだからとのこと。
そもそもドラゴン族はあまり表に出ないようにしているらしい。
それだけ影響力があるということだ。
そして食事の後、大浴場で入浴するとのこと。
中は西洋のどデカイお風呂。豪華絢爛でとりあえずデカイ。
俺、フェリクスは湯船に浸かり、オレールはロボルを洗ってる。
「しかし、まさかドラゴンの背中に乗る日がくるなんてな。」
「まあな。それにしてもでかいよなここ。ドラゴンの姿でも入れるんじゃね?」
と、話していると竜王が入ってきた。
「邪魔するぞ。」
「なんで!?」
「なんだ、悪いのか?」
「い、いえ、そういうわけでは。」
執政の人も追っていたが、竜王は歴代トップのゆるさを持っていて、たまに使用人達を困らせることもあるらしい。
「でも、本当に良かったんですか?悪といっても、同族を殺したんですよ?」
「なーに、あいつはかなりの嫌われ者だったからな。気にするな。して、奴の腹のなかはどうだった?」
「え?ああ、腹のなか…思いのほか狭かったし、何より臭かったです。」
「ハハハハハ!そうか臭かったか!アハハハいくら邪竜と恐れられたあやつでも腹のなかは臭かったか!ハハハハハ!」
「まあ、食生活も良くなかったでしょうしね。」
「そうだな。いやいいことを聞いた。今度親類が集まった時の酒のツマミにでもしよう。」
「そ、そうですか。」
だめだ。俺この人?この竜苦手だわ。
「ところで、お前は何を目指しているんだ?」
「え?」
「冒険者なのだから、目標の一つでもあるだろう?」
「そういえば、俺もリョウタロウの目標とかは聞いたことがないな。」
ムムム、まずいな、ここで本当のことを話すのはまずいからな。どうしたものか…
「今は、まだ特にこれといったものはないですかね。実際、面白そうで始めたことなので。」
「あんなに美人をいっぱい引き連れてか?」
「は?」
「エルフから獣族まであんなに引き連れて、私はハーレムでも目指しているのかと思ったぞ?」
「それは断じて違う!!!」
「そうなのか、見当違いだったか。」
あいつらとなんかやめてくれ。
たしかに美人なのは認めるが、俺の夢には邪魔でしかないんだから。てか、そろそろ本格的に離れるのを考えた方がいいな。
そんなこんなで、騒がしい入浴タイムは終わった。
そして、各自部屋に入り、就寝する。
今回はロボルと部屋は別だったが、まあたまにはいいだろう。
「はああ〜。」
ため息をつきながらベッドに倒れる。
しかし、本当にそろそろ縁をきらなきゃならないと思う。
別にあいつらといるのがつまらないわけじゃない。
だが、俺の悪党への道連れはしたくない。
実際、前世でも、自分だけで犯罪を犯せばいいものを、他人を巻き込んだ奴は大勢いた。
俺はあいつらとは違う。
違くありたい。
自分の利益のために善人を巻き込むのは嫌だ。
それでは、俺の嫌ったいじめっ子とまるっきり一緒だからだ。
ああ、色々嫌なもの思い出しちまった。
今日は寝よう。
明日もあるしな。
夜が耽り、皆寝静まった頃。
扉が開き、また閉まる。
それはベッドに寝ている者に覆いかぶさるようにして、近ずく。そして…
「誰だ。お前。」
俺は夜中に入ってきた何者かに問いかける。
首に刀を突きつけて。
「サヴズの友達か?それとも、竜王の差し金か?」
そいつは相変わらず黙ったままだ。
「いい加減答えたらどうだ?女だろうと、容赦しないぞ?」
そう、女。暗くて顔はうっすらとしか見えないが、その月明かりに照らされた横顔は間違いなく、女のそれ。
「フフフ。」
女は軽く笑い、俺の上から退いた。
「気に入ったぞ。イバラ リョウタロウ。」
そう言い残し、部屋から出て行く。
「おい!待て!」
俺も部屋から出て追いかけるが、その姿はもうなかった。
去り際に見えたのはツノとシッポ。
(ドラゴン族だったのは間違いないが、なぜ何もせずに去っていった?)
思わぬ珍客に、驚いたが、もう気配のけの字もない。
不信感を抱きながらも、俺はもう一度眠りについた。
翌朝、朝食を食べ、大きめの部屋に通された。
これから竜王の娘との対面なのだが、一体どんな奴なんだろうか考えてると本人が来てその姿に驚いた。
「紹介しよう。私の娘、ルイシーナ カサンドラだ。」
「お前!昨日の!」
そう、昨日俺の部屋に来た女だ。
しかしなぜ彼女が?
「む?初対面じゃないのか?」
その場のみんなが困惑する中、ルイシーナが口を開いた。
「イバラ リョウタロウ。」
俺の名を呼ぶ。昨日の様に。
「な、なんだ。」
すると、彼女は笑みを浮かべ、続ける。
「私の夫になれ。」
は…
「「「「「「「「「はああああああああ!?」」」」」」」」」」
次回、ドラゴンのお礼。




