反撃
前回のあらすじ
喰われた。
私の名前はロボル。
とある冒険者のもとで暮らす狼だ。
多くの仲間と良き主人に恵まれ、日々楽しく暮らしていた。
しかし今日、突如として現れたトカゲにその主人が喰われた。
目の前で。
主人は仲間を助けに入り、あのトカゲに喰われた。
その仲間、ディアナさんは無事だが、それよりも先程の光景が頭から離れない。
トカゲが主人を噛み、口からはみ出た主人の足から血が飛び、飲み込まれる瞬間が。
許さない。
肉片一つとして残さん。
今すぐにでも食ってかかりたいが、ほかの仲間たちが突然の出来事に唖然としている。
特にディアナさんが一番ひどい。
なにせ主人はディアナさんの身代わりになったのだから。
もはや放心状態でその場に座り込んでしまっている。
とにかく、今はほかの、皆さまに攻撃がいかないよう戦わなくては。
奴の鱗は硬いが、主人と一緒のこの剣なら戦える。
奴に取り付き、剣と影手で斬りかかる。
しかし決定打にはならない。
「邪魔だ!子犬!」
「キャン!」
グッ、トカゲのくせに、なんてパワーだ。
速く戻らないと。
「森のネズミごときが、よくも我の目を潰してくれたな。」
まずい!いまディアナさんはとても避けれる状態じゃ!
「その罪、死を以って償え!」
んあ?どこだ?ここ?
臭いし熱いし、痛い、苦しい。
ああ、思い出した。
ディアナ助けようとして喰われたっけか。
てことは死んだな間違いなく。
転生後も短い人生だったな…
本当にいいのか?人の子よ。
あ?誰だ?ドラゴンの腹のなかで話しかけてくる物好きは。
かようなトカゲ1匹に負けて、いいのか?
いいわけねえだろ。できるなら八つ裂きにしてやりてえよ。あの上から目線は俺の嫌いなものの代表格だぞ。
ならば戦え。
この状況でまだ戦えると?一体どうやって?
戦え。お前にはその力があるだろう。
力?そんなもの持ってる覚えはないね。
ならここで朽ち果てるか?
…
嫌なら戦え。
だからどうやって!
その術は既にその手にあるだろう?
すでにったって、この刀しか…
十分であろう?トカゲ1匹“腹のなかから”殺すには。
「腹のなか…ク、クハハハハ!そうかそういうことか!いいぜ。殺してやる!」
右足の激痛をこらえ、
「トカゲだろうが!」
右手の刀を握り直し、
「ドラゴンだろうが!」
奴の腹のなかで立ち上がり、
「俺を見下す奴は!」
勝ち誇った笑みを浮かべて謎の声に応える。
「神さまだろうと殺してやる!」
そうだ。人の子よ、殺せ、進め。なにせお前は、
私の後継者なんだからな。
「その罪、死を以って償え!」
ディアナさんに奴の腕が振り下ろされる。
そして彼女は潰される。
はずだった。
「グッ!なんだこの痛みは!ガハッ!」
急に奴が腹を抱えて苦しみだした。
私も、皆さまも、何が起きているのかさっぱりわからない。
「まさか!さっきの人間か!?グアアアアアア!」
さっきの人間?
そこでようやく理解ができた。
主人!
間違いないあのなかで主人はまだ生きている!そして尚も戦っている!
ほかの皆様も状況が飲み込めたようで、戦闘に戻る。
「グッ、人間ごときが!この我を喰らうか!許さん、断じて許さんぞ!ガアアアアアアアア!」
奴はもうほとんどその場から動けない。
なにせ主人がなかでその臓腑を切り刻んでいるのだから。
「バカな!このサヴズが!愚かな人間ごときに!」
そしてついに、その腹が十字に斬り裂かれた。
「ブハッ!やっと出れた!」
「「「「リョウタロウ!」」」」
「フェリクス!俺のこと担いで撤退してくれ!」
「任せろ!」
「ロボル!」
「ワン!(はい!主人!)」
ロボルに向かって刀を投げる。
「後は任せた!」
「ワン!(はい!)」
そして俺とフェリクスは戦線から撤退した。
「リョウタロウ!大丈夫なのか!?」
フェリクスが教会にむかって走りながら聞いてくる。
「正直…もう…意識…ヤベェ…」
さっきので気力、体力、精神力全てを使い切って限界に来ている。
「魔石…は…くだ…い…た…あとは…もう…」
「わかったから、もう喋るな!着くぞ!」
そこから先は意識が途切れて覚えていない。
ベッドか何かに寝かされたような気がするが、そこで完全に意識が切れた。
「あ…ああ…」
目がさめると、教会のベッドで横になってた。
「あ、目覚めた?」
「あ?お前、確か学園の」
「カルメンよ。」
「ドラゴンは?」
「無事討伐されたわ。どっかのおバカさんが、お腹のなかで暴れまわったおかげでね。」
「そっか。」
「そっかじゃないわよ。正気の沙汰じゃないわ!あなた。運ばれてきた時すごかったんだから。全身火傷みたいに爛れてて、右足に風穴空いてて、よくつながってたわね。防具もボロボロでダダのゴミになっちゃってたし。治すこっちの身にもなってよね。」
「すまなかったな」
「っ、わ、分かればいいのよ、分かれば。当分はそこで安静にしてなさいよ。魔法で治せるのも限度があるんだから。」
「わかったよ。」
「でも、あなたのおかげでこの国は救われた。あなたのことはあんまり広まってないみたいだけど、ありがとう。」
そう言ってカルメンは立ち去っていった。
それにしても、あの声は一体なんだったんだろうか。後継者とかいっていたが、さっぱりわからない。
何かを継いだ覚えはないのだが。
だが、あれのおかげで命拾いしたんだ。素直に感謝しておこう。
さて、あの声はなんだったんでしょうかね〜(棒)
その正体はおいおいわかります。
今回から次回予告的なのを入れていこうと思います。
ということで次回、
怪我人に無理をさせるな!
少なくとも100話までは行けます。




