決着
前回のあらすじ
リョウタロウ、行きまーす!
俺は前世で超のつくゲーム好きだった。
RPGやFPS,TPSからストラテジーまで広く手をつけてた。
リアルで友人とサバゲーもやるほどだ。
中でもRPGはかなりやり込んでいた。
夜は電話しながら友達とやってたし、ランキングとかにもたまに載ってた。
そんな俺たちが最も好むプレイスタイルは、強い敵に勝てるかどうかのギリギリの装備とかスキルとかで戦ういわゆる縛りプレイってやつ。
そんな縛りの中でいかにして勝つか策を講じたり、立ち回ったり。
そして敵がこっちの作戦にまんまと引っかかって、勝った時の喜びがたまらなく好きだった。
そして今、俺は画面の中でなく、自らの身でその状況下にいる。
みんなもあるはずだ。例えば漫画やアニメのシーンに自分が遭遇したいとかそういうの。
だから今、俺はものすごく昂ぶってる。
これ以上ない幸せって感じ。
サバゲー程度じゃ味わえない命のやり取り。
勝算ギリギリの戦い。
知らず知らずの内に徐々に俺の策にハマる敵の顔。
ホント、最高だわ。
「はああああ!」
「グッ!」
戦闘が始まってまだ10秒も経ってないが、意外に圧倒出来てる。
理由としては、相手はどうやら近接戦が苦手なようだ。
最初にぶつかった瞬間、奴は距離をとって遠距離戦に持ち込もうとした。
だが、それをただ見守るほど、俺も優しくない。
むしろ、一回距離を置いてくれたのは、好都合だ。
距離をとった瞬間、奴は魔法の準備にかかる。
つまり、一瞬だけ隙ができる。そこで、一気に距離を詰めて、攻撃。
奴は自分の腕に防御魔法かけて、なんとか防いだ。
でも、一撃だけなんて寂しいよなぁ?
そこから、ひたすらラッシュを入れる。
だが、デタラメに斬るのでは意味がない。ほんの少しだけ、空いているところをめがけて撃ち込む。
奴の防げる上限の手数を超えて。
そして、体制が崩れた瞬間、脇腹に刀を峰打ちで叩き込む。
え?なんで峰打ちなのかって?そのうちわかる。
「どうした?そんなもんか?」
「クッ、人間ごときが生意気な!たかが一撃くらわせたくらいで粋がるな!」
「その割には結構効いたでしょ?」
「チッ。」
「たしかに叩っ斬ることはできないけど、でも嬲るには丁度いいでしょ?これ。てか、ナイフ咥えたまま喋るのムズイなぁ。鞘に入れとくより速いのはいいんだけど。」
「おのれ…、こけにしおって!」
そう言って奴は魔法で弾幕を張ってきた。
「俺弾幕ゲーも結構イケる口なんだよね!」
ゲームじゃできない避け方。
ゲームじゃ、前後左右にしか避けられないが、今なら上と下にも避けられる。
おまけに強化魔法のおかげで幾分か遅く見える。
これなら距離を詰めるのにそう苦労しない。
「なに!?」
「まだまだ足りないな〜。」
ナイフで二撃、刀で一撃。
奴の体からまたも鮮血が散り、刀が胴体にめり込み、鈍い音がする。
「ガハッ!」
「まだまだ!」
斬りかかると見せかけて、フェイントのバックステップからのナイフ二本の投擲、それぞれが奴の左肩、右太ももに刺さる。
「大将も大したことないな。」
「チッ。」
「このまま殺させてもらうぜ?」
「フッ、だが貴様は唯一の武器をこうして捨ててくれたんだ。もう勝ち目はない!」
「いやまだこいつがあるじゃん」
「そんな“打撃しかできない棒切れ”で何ができる!」
「そうとも限らないぜ?撲殺って言葉があるくらいだし!」
そう言って攻撃を仕掛ける。
「させるか!」
そう言って奴は防御魔法をはる。
今回のはさっきのより強固なもので、刀が弾かれる。
「チッ。」
「ハハハハハ!所詮貴様はその程度。我々魔族の前では無力なのだよ。」
そろそろ頃合いかな?みんなも結構近くまで来たし。
「貴様を殺した後、向こうの仲間たちもすぐにお前の元に逝かせてやる。」
俺は刀を峰打ちではなく、刃を向けて構える。
「あの壁の中の人間どもも、魔王様への土産にしてな!」
延刃と魔力研磨もかけて。
「1つ聞いていいか?」
切れかかってきた強化魔法で強化された体に力を込める。
「ん?」
地面を思いっきり蹴る。
「その人間ごときに殺されるお前は」
刹那、奴の顔から血の気が引く。
「一体何ごときなのかをね」
一撃目。
奴の防御魔法を切り裂く。
二撃目。
奴の右腕を刎ねる。
三撃目。
奴の左手が宙を舞う。
燕返しではここまでが限界。
これでは殺し切れない。
足りない。
奴の体を斬り裂く斬撃が。
足りない。
奴の命を刈る斬撃が。
足りないなら。
“増やせばいい”
簡単なことだ。
なぞる線を3から5に増やせばいい。
三角形が五角形になるだけだ。
それに
「いつまでもパクリ技じゃ格好悪いしな。」
四撃目
切り上げた手を返し、右下へ斬り下ろす。
五撃目
その勢いのまま下で小さな弧を描き右上へ斬りあげる。
まるで居合斬りのように。
ドワーフの町の時の俺じゃできなかったこと。
あのヨームを倒してレベルアップした俺だから出来ること。
燕返し改め、[桜返し]
センスないって?いいじゃんか別に。どうせこの世界でこのセンスのなさがわかる奴いないんだし。
奴は鮮血を撒き散らしながら後ろに倒れる。
「お前の敗因は主に2つだ。1つはこいつを打撃武器だと思い込んだこと。ま、そうなるように演技したんだけどさ。もう1つは、相手が弱いからと油断し、慢心したからだ。次までに治しておけよ?もっとも、次があれば。だけどな。」
そう言って俺は奴の眉間に刀を突き刺す。
「ま、今までの人型の敵よりは楽しめたよ。あんがとさん。」
そして俺はナイフを回収するのだった。
あー返り血結構浴びちゃったな〜アンスに謝っとこ。




