ヨーム戦
前回のあらすじ
ホットドッグがあった。
今回のヨームは前回のより厄介そう。
まず、腕が二本とも発達していて、ハ◯クみたいだ。
でも俺も前回とは違う。
レベルアップしたし、1人じゃない。そして、この刀がある。
手始めに首をもらおう。
そう思って俺は奴の肩の上を飛び越えついでに一瞬だけ、延刃、魔力強化を使って、奴の首を刎ねる。
手応えあり、そして着地。
さて、これで少しは隙ができるだろうからこの内に弱点を…
「リョウタロウ!後ろだ!」
は?後ろ?
と振り返ると奴が振りかぶってた。
「おおう!?」
とっさのバックステップで回避。危なかった。
ってそれよりも!
なんでさっき刎ねた首があるんですかね!?
は!これはあれか?新しい顔なのか?元気が100倍になるのか?前世の子供に人気のあんぱん系ヒーローなのか?何処だ!何処に顔を作ってる奴がいる!奴らを潰せば顔も…
とそんなことを考えながらフェリクスの元に撤退。
「俺外したか?」
「いや、ドンピシャだった。だが、すぐに生えたんだ。あの再生速度は厄介どころではない。」
なるほどピ◯コロの方だったか。
だが、前回のアダンにはそんな能力は無かった。
となるとこいつだけの特殊能力?
ともかく、今は時間を稼ぎつつ、弱点を。
というわけでもう一度接近、奴の攻撃は単調かつ大振りで、遅いので(そこは変わらないのな)難なく躱せる。そして奴の体をよーく観察する。すると体に3つの膨らみがあることに気づく。胸の真ん中、左右の脇腹、右が少し高めの位置にある。おそらくこれが黒魔石を刺したところ…って3つ!?多くない?
そこでエヴとフベルトの黒魔石についての会話を思い出す。黒魔石は言わば外部バッテリー。つまりその三個分の魔力であの再生速度を作っているのだろう。
仕方ない、一つ一つ潰していくか。
「ロボル、俺があいつの気を引いて避けるから弱点を一つ潰せ。」
「ワン!」
そう言ってロボルも刀を咥える。
俺たちは奴との距離を詰め、俺が奴の攻撃を避ける。そこで奴は右腕を大きく振りかぶる。その隙にロボルが咥えた刀で弱点を斬りぬける。奴の脇腹が大きく避ける。
それを見て、俺たちはもう一度距離を取り、様子を見る。
するとあろうことか次見た時にはもう傷がふさがっていた。
えー。そこにも適応されんの?萎えるわー。
弱点を突かれたことが気に障ったのか、奴は俺たちに向かって突進してくる。
俺たちは難なく避けるが、それは失敗だった。
奴の突進した先には、落し物を拾うためにその場に留まっていたコリンナかいた。
「やば!」
「へ?」
コリンナが奴に気づいたのはもう遅かった。
もうすぐそこまでヨームが迫っていた。
しかし
コリンナはヨルクに突き飛ばされ、射線から外れる。
だが、それは同時にヨルクがヨームの突進を食らうことでもあった。
ヨルクはまるで投げられたボールの様に飛ばされて、後ろの建物に突っ込む。
「師匠!!!」
コリンナはヨルクの元へ走る。
「ロボル!」
俺たちはアイコンタクトで、こっちに注意を引き続けなければならないとお互いに伝え合い、揃ってヨームへ突撃。
再生で斬っても意味はないがコリンナたちから注意を逸らすことは出来る。
そのまま注意を引いて、コリンナ達から10メートルほど離した。
そのタイミングでエヴとディアナが合流。
「ロボル!フェリクス!少し頼む!」
「わかった!」
「ワン!」
そして俺はエヴとディアナを呼び、コリンナ達のとこへ行く。
「何が起こってる?」
「見りゃわかるだろ、ヨームだ。その突進をもろに食らった。お前たちの魔法で回復を!」
「は、はい!」
ヨルクはかなりひどい状態だった。四肢がどれもへんな方向に曲がってる。おそらく体の骨の半分は折れてる。何せ隠居を考えてた爺さんだからな。
コリンナはヨルクをよびながら2人が治癒魔法をかけてるのを見守ってる。
だが、俺はそれどころじゃない。
戦った感じ、逃げ続けるのは簡単だ。だが、その過程で被害が大きくなってしまう。だが、倒そうにも再生速度が尋常じゃない。おそらく、魔力源の黒魔石を潰せばいいのだが、一つづつ潰そうにも、相互に再生効果がかかってるので、無理。
つまり"弱点3つを同時に潰さなきゃならない"。それも再生速度よりも速く。
そう、俺はその方法を知ってる。
さっき森の中で練習した。"燕返し"なら可能だ。
だが、今の俺の燕返しじゃ再生速度に追いつかない。
どうする?それでもやるか?もし失敗すれば俺は奴の懐で棒立ちの状態になる。その状態で攻撃をくらえばひとたまりもない。
だからといって、エヴ達に強化魔法をかけてもらっても、デメリットがある。
この世界の強化魔法は一時的に対象の実力をブーストするというもの。
しかし、例えば、その対象の器に合わない力になってしまった場合、反動がくる。
小さなコップに2Lの水を入れようとするのと一緒でもちろん溢れる。
俺はレベルに反して、速さについては化け物だ。
この世界の強化魔法はあくまで、元の実力にいくらか掛け算をするようなものだ。
1に2をかけるのと、100に2をかけるのとはわけが違う。
どうする…。
自分の体を犠牲に奴を倒すか、全員で逃げてより多くの被害を出すか。
俺は悪党になるつもりでこの世界にきた。なら逃げるべきだ。
だが、前世の本能がそれを妨害する。
人は誰しも子供の時にヒーローに憧れるものだ。そして前世じゃそれはすごいことだ。悪党目指すといってもまだ17歳だ。
選べ。自分か、他か。
…
「おい。」
嗚呼、まただ。また俺は悪党から遠ざかり、前世のように、善に走る。人はそう簡単に変われないってことか。
「エヴ、ディアナ、俺に強化魔法をかけて、存分に速くしてくれ。」
「え?それはいいが…いや、聞くまでもないな。で?勝てるのか?」
「知らん。負けたら全員揃ってあの世行きかもな。」
「ふふん。そうこなくてはな。」
「でも、どうするんですか?私たちの強化魔法じゃ、あげられる質もたかが知れてますし。そう長くは続かないですよ?」
「なに、ちょっと一発本番で勝負つけるだけだ。」
2人はこの世界の強化魔法が倍率制ということを知らない。
さっきも言ったが、1に2をかけるのと、100に2をかけるのとでは全く違うのだから。
2人に魔法をかけてもらって体の異変に気付く。
体が軽い。感覚が研ぎ澄まされる。
今ならいける気がする。
「ロボル!」
そう言って、こっちを向くロボルに刀を握りながら3本の指を立てる。
ロボルも理解したようで、フェリクスにひと吠えし、距離を取る。
約10メートル。助走距離には十分。
刀に延刃を目一杯かけ、日本刀より少し長いくらいにする。その上に魔力強化をのせる。
準備は出来た。
さて、燕を斬れるか否か、今一度、試してみようじゃないか。
ヤベェ、サブタイトルの熟語に限界が来た。




