目覚め
前回のあらすじ
俺は、俺を、作った。
…知らない天井…じゃないな。うん。すごい綺麗な青空だわ。まるでアルプスの少女が出てくるかのようなのどかな風景だわ。あそこほど寒くないけどね。
試しに新しい顔…じゃなくて体を動かしてみよう。
ラジオ体操をした感想としてはあまり前と変わらない気がするなー。あっ、でも前より疲れづらくなった気がする。それじゃ腕立てとかしてみるか。前はろくに出来ないポンコツだったが今ならきっと…。
うん。これに関してはすごく差を感じる。なんて言うのかなあ。無理してるように思えるのに体は全然そんな事ないっていうか、なんというか。これは慣れるのに少し時間がかかりそう。
そんな感じで体をチェックする事約30分。わかった事がいくつかある。
まず一つ目は、身体能力の向上。これは予想の斜め上を突っ切っていったよ。もうねパワーアップどころの話じゃないのよ。仮面○イダーでいうところの最初から最終フォームだよ。だっておかしいもん。なにをどうしたら人間は木のてっぺんに立てるんだろうね。物理法則って言葉知ってる?みんなに分かりやすく説明するならね。身体能力が週刊少年ジャ○プの漫画レベルよ。銀○とかナ○トとかワ○ピースのレベルだから。
もう一つは五感。視覚、聴覚は分かりやすく向上。視力なら5.0くらいあるんじゃね?まぁそんな感じ。身体能力に比べれば大したことない。
次にスキル。これの使い方はマニュアルで予習済み。でも本当にやり方あってるのか不安になったので復習。
やり方はとても簡単。自分の使いたいスキルを念じるだけ。スキルとかいちいち覚えられなくね?と思ったけど、実際は違くて、まるで覚えた英単語のようにスッと出てくる。これ、便利。
あとは…装備類かな。これはダメ神と話し合って決めたもので服装はこっちの街に馴染めるような、それでいて最低限のレザーの防具。なんで金属じゃないのかというと単純に重いから。俺は速さを追求してこの体を作ったから少しでも速く動くためにこの選択をした。武器は刃渡り20センチほどのナイフが二本、腰のホルダーに入ってる。それと左手の腕あての中に刃渡り15センチほどの短剣一本。服の中の左脇腹のあたりに同じものがもう一本。あとは己の拳。これは『肩書き』の武官のお陰で素手ででも十分戦えるようになってる。強いてもう一つ挙げるなら足。俊敏に多くポイントを振っているので脚力はそれなりに強い。
余談だが前回から出てくるステータスのポイントの数値というのは実際に存在する。現にこの世界には「鑑定書」というかものがある。これはその巻物に手をつけるとその紙面上にその人のステータスが現れるというもの。ただ、ステ振りは本人の無意識を汲み取って自動で振られるらしい。と言っても、レベルアップしたときだけだけど。だがこのステータスのポイントはある「落とし穴」のようなものでもある。
それはステータスのポイントの数値はあくまで「平均値」ということだそれより下の力が出ることもあれば、上の力も出る。つまりその人の気合次第ってこと。でも平均値が上がれば必然的に出せる上限と下限も上がる。これがこの世界の「ステータス」というシステムなのだ。
それにスキルにもレベルがあるというのだから驚きだ。スキルレベルが上がればそのスキルの効果か上がるというなんともシンプルなもの。
これを知ったときは「この世界はかなりゲーム好きの神様に作られたんだなあ」と思ったものだ。まぁその方がやりやすいけどね。
スキル上げの方法はいたって簡単。そのスキルを使うだけ。そこに目を付けた俺は二つのスキルを取っておいた。
「鑑定」と「鑑定阻害」だ
鑑定は鑑定書と同じもの。見たもののステータス、状態なんかを見る事ができる。戦闘において情報は最大の武器になるからね。みんなもよく言われたでしょ?知ってると知らないとじゃ訳が違うって。
そしてもう一つの鑑定阻害だが文字まんま。鑑定の効果を阻害出来る。つまり鑑定を自分にかけ、鑑定阻害を使えば相乗効果で一石二鳥という訳だよ。いやーこのシステム思い付いた俺は天才だと思ったね。
さてやる事は粗方済ませたし、とりあえず街にでも行ってみるか!
そして俺は新たなる人生の一歩を踏み出したのだった。
5秒後。
街、どっち?
どうやら新たなる人生の一歩は微妙な空振りに終わったらしい。
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