遭遇2
前回のあらすじ
初仕事が呆気ない。
帰る前に、奴らの野営地を潰しておく。
ほかのゴブリンが集まってきてしまっては依頼の意味がないな。寝床とかをしっかり潰しておく。
エヴリーヌの魔法で火をつけて魔法で消火。
これで大丈夫だろう。さあ帰ろう。帰ってゆっくりしよう。てかエヴリーヌに朝から振り回されたせいで疲れた。明日は1日ゆっくり買い物でもしてやる。
そんな予定を立てながら、元の街道を戻っていく。
なんなんだろうね。ここら辺の行商人はゴブリンに襲われる頻度が高いのかね。
今目の前にはおととい見たようなデジャヴを感じる光景があった。強いて言うなら数が違うくらい。
街道の真ん中で行商団が襲われてやんの。10匹くらいのゴブリンに。
はえーゴブリンはあれかい?ここら辺で網でも張ってんのかね。
見た感じゴブリンが有利そう。護衛も頑張ってるけど、装備が弓ばっか。距離を詰められてやられてる感じ。魔法も見えるけど、ゴブリンが持ってる盾に防がれてる。鑑定をかけると
ゴブリン レベル11 ×10
お、結構高いのね。通りでリーダーがいないのにそれなりに動けてる訳だ。負傷してる個体もいるが、被害は行商団の方が大きい。
「助けないと!」
はいはいそう言うと思ってたよ。もー面倒だなあ。
「お前は怪我人の手当てに当たれ。俺がタゲ引くから。」
「タゲ?」
「はぁ。注意を引くってこと。お分かり?」
「あっ。そういうことか、わかった。」
そう言って走り出すエヴリーヌを後ろから追う。
もっとも俺の方が倍速いけど。
抜いたナイフでガラ空きのうなじを走り抜けながら、縫うように斬りつける。
それで、5匹減って、残り5匹。急に現れた俺に双方ビックリしてるようだ。無理もないね。すると1匹が棍棒を横に振ってくる。
バック宙で躱し、着地の時に姿勢を落とす。そのまま地面を蹴って首を一閃。はい、いっちょあがり。盾を持ってたけど、横振りが躱されて意味を成さなかった。棍棒って打撃性能は高いけど、突きができないのがいたいよね。
残り4匹。
俺に注意を引かれて弓矢で呆気なく死亡。
腕がいいようで。
ふう。と一息つくと、弓を持った人たち5人のうち3人が森に走っていった。
それで訳を聞こうとして、あらビックリ。耳が長いしみんな美形。俗に言うエルフってやつだった。
たまに物語とかで女性だけの種族で描写されるけど、ちゃんと男もいるみたい。
「あの3人はどうしたんだ?」
「ああ。仲間が一人攫われてな。それより助けてくれてありがとう。」
「いや、いいんだけど、どうしてこんなことに?」
「我々はこの行商団のいた村と友好関係にあってな、それで護衛をしていたのだが、ゴブリンに襲われてな、最後尾のやつが、捕まって連れていかれてしまって、助けようとしたのだが、奴らに手間取ってしまってな。」
「連れていったゴブリンの数は?そして、攫われたのは男か?女か?」
「4匹で女だが。なぜ。」
女ということは殺害目的ではない。そしてその4匹が戦闘に戻らないことを考えると、待ち伏せしてるのは明白。そこで救助の奴らを仕留めて、戻ってきて完全制圧ってところかな?だいたい、あの頭の悪いゴブリンが10匹もいて統率のとれた動きが感じられたあたり、指揮官がいる。レベルが高いから統率が取れていたわけではない。となると、待ち伏せと指揮官の数考えると救助の3人も危ないし、このままだと俺たちも危ないな。
「エヴリーヌ!ここ任せた!」
「えっ!?あっ、ああ!」
そう言って俺は森に走る。少し先で野営地を発見。3人はすでに戦闘中。敵の数は指揮官合わせて8。
もちろん3人が劣勢、んで奥に倒れてるのが一人。攫われたやつだろう。
めんどくせぇー。奇襲はかけずらい、敵の数は多い、指揮官は相変わらずゴブリンリーダーだがレベルが14。
ここから導き出される最適解は…
ドンパチやるしかないんだよなぁ〜。
これ助けないと結局俺たちのところ流れてくるから戦闘は避けられない。
覚悟を決めて、延刃を発動。両手のナイフが魔力の刃で包まれ長くなる。あの3人をうまく使えば勝てる見込みはあるけど、俺の中でエルフって人を見下すイメージなんだけど、いうこと聞いてくれるかな?
そんな不安の中3人の前にでる。
「魔法で援護してくれ。前衛は俺が引き受ける。」
さて返答は?
「わかった。協力感謝する。」
意外とあっさりとしてるのね。それともさっきの戦闘で俺を信用したかな?誤爆だけは避けてくれよ?
かかってくるゴブリンの攻撃を片方のナイフでいなす。完全に受けるとパワー負けしそうなのであくまで受け流して、胴体を斬る。致命傷にならなくても、後ろの3人が追撃で倒してくれるだろう。
そのまま周りのゴブリンもいなしては斬り、いなしては斬りを繰り返す。反応速度は俺の方が速いので集中していれば何の問題もない。
リーダー以外に一撃与えた後、3人に任せて、リーダーにかかる。
装備は鉈のようなものに盾、お互い、構えたまま、相対する。さっきのを見てたのでおそらく自分からは仕掛けてこない。ならこっちから行くまでだ。
まず一歩踏み出し、振りかぶる。リーダーは盾で受けようとする。お陰で奴の視界は盾でいっぱいになった。それを見た後、踏み出した足をたたみ、もう片方の足でガラ空きのリーダーの足を払って一回転、リーダーは体制を崩して転倒。その横っ腹にナイフを突き刺し、そのまま斬りあげる。ナイフに沿って鮮血が弧を描き、リーダーは呻く。あまりの痛さに鉈と盾を落としたので、リーダーの上を飛び越えながら首を一閃。
リーダーの体から力が抜ける。振り返ると3人がちょうど魔法でゴブリンの集団にとどめを刺したところだった。
ふー。終わったー。リーダーといえど、フェイントには弱かったな。盾に頼るあまり視界塞いだのが決定的だった。
延刃を切って、ナイフを一振りして血を払い、腰の鞘に片方をしまい、もう片方で捕まった奴の縄を斬る。
目立った怪我はなさそう。
「ありがとう。お陰で助かった。」
「後でいい。他の奴らも心配してるだろうし、戻ろう。」
そう言って、行商団の方に戻った。もちろん野営地には瓦礫の山になってもらったけどね。
中耳炎になっちまったぜ。




