中華サイド
前回のあらすじ
これまでをさらっと振り返った
修学旅行という名の見学旅行。
二泊三日で色々見て回ろうぜーって感じ。
しかし、一つの国の中で、税関通るとは思わなかった。
荷物検査やら身分証明やら色々。
そもそも区画別に壁で区切られてたんだな。
国そのものがでっかくて気づかなかった。
俺の剣や湊人の弓は湊人の能力で鳥を二羽ほど捕まえて壁を跨いでから高高度からの落下で受け取った。
その後は荷物に紛れさせた。
理由?
武器とか結構詳細に調べられるから変に目付けられると面倒じゃん?
まあ、密輸って奴だな。
そして中華サイドはというと、かなり面白い。
壁一枚挟むだけでここまで文化が違うところにくると違和感を覚える。
どこ〇〇ドアを使ったかのような感じだ。
雰囲気は、例えるなら横浜の中華街の数十倍ってところ。
服装がまず違うし、露店の商品も全く違う。
自由行動になったので、露店をめぐる
主に調味料の店。
「おっちゃん!それと、それと…あと、これ包んで!」
「とても先生とは思えないな。」
「食わせないぞ?」
「すいませんでした。」
そんなやりとりを湊人とやりつつ中華の街を巡る。
肉まんとか超久しぶりに食べた。
あれ作るの結構面倒なんだよな。
主に生地が。
先生なら生徒を見ておかなくていいのか?
と言われそうだが、心配ない。
これまた湊人の力で1人に1羽、湊人が風で作った鳥達で上空から監視してる。
しかも切り替え機能付き。
つまりは通常の視界と、右目の視界を使って鳥達の視界と切り替えれる。
たまに止まってみんなを見ているのだ。
「え、マジか。」
「ん?どうした?」
反射的に刀の入った背負ってるバッグに手が伸びる。
「いや、マドンナのイェレナいるだろ?」
「あー、ナンパ?」
「いや、その先。」
「は?」
「男と一緒に歩いてる。仲良くお手手繋いで。」
「へー、誰よ。クール系のヒューあたり?」
「これがなんとクラスでもパッしないテオドルなんよ。」
「あいつ“も”隅に置けねぇなおい。」
「“も”ってあたり悲しいな。」
「うっ…」
言われて地雷を踏んだことに気がついた。
「しかし、あの2人が付き合ってるのか。意外だな。って、うちのクラスって他にカップルいないの?」
「いやいないよ。ここだけかな。」
「そういえばさ、テオドルって割と魔法得意だよな。」
「あーわかる。バゼーヌ程では無いけど、素質ある感じだよな。なんか秘めてんじゃね?自分でも認識出来てないスキルとかそういうの。」
「ああいうのをダイヤの原石って言うのかねー。まあ、ダイヤまで輝くかは知らないけど。」
そんな話を店で八宝菜を食べながらする。
それからも色々なところを巡り、宿に戻った。
その後は生徒たちが続々と帰ってきて、夕食を食べた。
少し面倒だったのが、生徒と先生方の風呂の時間が一緒だったことだ。
「うわ、先生体傷凄いっすね!」
ロベルトが体を見て言った。
まあ、勇者との戦闘での傷跡とか、いつかのドラゴンにあけられた太腿の風穴の跡とか色々ある。アリスターのギルドのクエストをこなしていたときについた傷もある。
ウベルの力を持った俺でも怪我はする。
小さなミスや、慢心が原因で。
逆に湊人は援護役なせいか、傷が少ない。
しかし、勇者の爆発を受け止めた翼の傷跡が背中に出ている。
こう、火傷の跡みたいな感じで。
世の中いくら魔法が便利でも限界はあるということだ。
風呂上りはバスローブを着て買った本を読んだ。
中身は料理関係。
中華料理についての雑誌のようなもので、調味料の活用法や調理の時のコツなんかが書かれている。
しかし、左腕がないせいで、作る料理の質が落ちている。
そんな料理を両親に食われたらなんて言われるか。
「真の料理人たるもの、片腕が無いくらいで料理の質を落とすんじゃ無い!」
とか言われそうだな。
まあ、まず左腕がないことを心配してくれると思うけど。
心配されなかったらそれはそれで傷つくし。
しかし、実は最近練習していることがあるのだ。
それは氷での義手だ。
氷で左腕を生成し、それを能力で動かして左腕みたいに使うといったもの。
関節とかはプラモデルみたいな感じで作ったりしている。
取り外しは出来ないので、生成して壊れたら一度完全に壊してもう一度生成し直さなければならない。
これまた難しいのだ。
食材を抑えるくらいは出来る様になったが、まだフライパンを振ったりはできない。
まだまだ改良しなければならないな。
あ、そうだ。寝る前にさっきの夕食にでた回鍋肉のレシピ聞いとこ。
次回、修学旅行って大体何かしらの問題起きるよね。
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