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前回のあらすじ
アジ、うまい
金髪、まずい(性格)
コンコンッ
んあ?朝…見知らぬ天井…じゃないな、見知ってるわ。正確には2回目だわ。
コンコンッ
誰だよ朝早くからよお。まだ昨日の疲労が残って体が重いのにー。
コンコンッ
カミラさんは教会(病院)だし、知り合いがくる予定もない。消去法からして、奴か〜。
コンコンッ!
わかったから、開けるから待てや、まだ7時だぞ?この世界1日が27時間なんだから結構早いほうなんだぞ?ったくよ〜。
「朝から一体なんだ。」
「早く支度しろ。ギルドに行くんだろ?私が案内してやる。」
「不要だし、一人で行ける。じゃあな。」
「まっ、待ってくれ。ちゃんと事情があるんだ。」
「知らん。」
「おい!女の子が困ってるんだぞ?話くらい聞いたらどうだ!」
「別に。だいたい昨日の戦闘の疲労が残ってるんだ。後にしてくれ。」
「朝の方が人が少なくていいんだ。」
「ああ。もう。しつこいな。で、話って?」
「お前に私のパーティに入って欲しいんだ。お前今日登録に行くんだろ?」
「何故俺なんだ。しかもパーティってお前一人だろうが。昨日チラッとギルドを見たが、女性だけのパーティがいくつか見えたから、そこに入れてもらえばいいだろう。なんで会って3日の俺なんだ。」
「ん?おかしいな。私たちが出会ったのは昨日の朝では?」
しまった。寝ぼけてた上に、イライラして口が滑った。
「ふふん。やはりお前だったのか。マントの男。装備を見て薄々勘付いていたがな。」
「だったらなんだ。」
「お前に興味が湧いてな。昨日の戦闘を見る限りなかなかの手練れ。これは誘わない手はないだろう。」
「いらん世話だ。」
「頼む!この通りだから!」
そう言って頭下げられてもな。
「にしても安直すぎる。ほかに理由があるだろう。それ次第だな。」
「むむむ。実は私は田舎の生まれでな、一人は心細いし、何より父上が縁談を持ってきてな。それを断る為に冒険者になったのだが、相手が諦めてくれそうになくて。」
「…わかった。いいだろう。」
「!本当k「ただし!」「?」
「縁談が消えるまでだ。それまではお前の彼氏役兼パーティメンバーをしてやる。だがその後は一切縁を切ること。いいな!」
「ありがとう!この恩は忘れないぞ!」
「縁談が消えたら忘れろ。」
こいつの性格上、こうと決めたら曲げないタイプだからな。断るのも疲れる。だったら最低限の妥協案で納得させる。これ以外に手段がない。
はぁ…、俺の悪党ライフがまた遠のいた。
そして現在、俺たちはギルドに来ている。結局朝飯は適当に買い食いすることになった。
んでそのギルドだが、イメージはでっかい役所。正面は扉も壁のないので開放的。窓口がいくつもあり、朝だから少ないがそれなりに人がいる。
その窓口の1つに行き、登録をする。
「すまない。新規で登録したいのだが。」
「かしこまりました。ではこの紙に名前を。」
そう言われて出された紙に名前を書く。
「イバラ リョウタロウ様ですね。少々お待ちください。」
受付嬢は紙に魔法を唱える。するとそれは橙色の金属のカードになった。
「これがギルドカードです。再発行は出来ますが、手数料と多くの手続きが必要となりますので、管理は徹底してください。最初のランクはカッパーの4です。ではお気をつけて。」
この世界の冒険者にはランクが存在して、下からカッパー、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ダイヤと5つの区分けがあり、それぞれ1,2,3,4,と分けられてる。ダイヤは1しかないが、今までここまで上がった人はいないらしい。
俺は最初なのでカッパーの4だ。上げるのは大変そうだな。だがランクが上がると、ギルドからそれなりの支援がもらえたり、それなりのクエストがくるし、王都でも、それなりの扱いを受けられる。
クエストは、ギルドの中のでっかい掲示板に紙が貼り付けられていて、そこから選ぶ感じ。
エヴリーヌは記念すべきクエスト第1号をどうしようか、カッパー4のところを見ている。
が、正直中身はガキの使い。庭掃除を手伝ってとか、そのレベル。エヴリーヌもなんでそこで悩むかな〜。
まあ、子供が小遣い稼ぐのにはもってこいだろうがよ。
俺が倒したゴブリンの討伐依頼はブロンズのところにある。
それを確認した俺はその方へ歩いて行き、ブロンズの3のゴブリン6匹の討伐依頼を選ぶ。前回と違ってエヴリーヌもいるし、大丈夫だろう。
すると男の集団に絡まれた。
「おいおい、にいちゃんや、さっき登録したのに、もうチタンの依頼をやるのかい?ちと調子に乗ってるんじゃないのかい?」
よくある初心者狩りか。鑑定をさりげなくかけると、リーダーの男はレベル8、うん。勝てるね。
「ん?そうか?少なくともお前たちよりはマシだと自負しているが?」
「んだとコラ!」
そう言って俺の胸ぐらを掴んでくるが、俺はさっき顔合わせた瞬間にマントの中でナイフを抜いている。男が拳に握って振りかぶった時には、右で喉に、左で脇腹にナイフが突きつけられてる。
「お前の拳が俺を殴るのと、俺がお前の喉笛掻っ捌くの。どっちが速いか、試すかい?」
男も急に出てきたナイフに驚いたのか、動きが止まる。そして顔に動揺の色が浮かび、手を離す。
舌打ちをしながら、去っていくその背中はひどくかっこ悪かった。
うん。近々シルバーか、ゴールドまで上がれるなこれ。
そう考えながらエヴリーヌの元へ歩き始める俺だった。
ちょっとペース落ちるかもです。
ちなみに男たちのランクはカッパーの2。
いるよねこういう奴ら。