俺のターン!
前回のあらすじ
生徒達の目標は達成できた。
ついでにチーターもさよならさ。
先生方の部門では生徒たちのよりも、より実践的なものになっている。
持ち込み制限はなく、基本なんでもあり、
殺害などは禁止。
あくまで気絶を目標としろ。
また、場外も失格、
とのこと。
参加者は生徒たちよりはもちろん少なめ。
俺は自分の刀二本(いい加減名前つけよ)を携え、試合に出た。
「ガンバレー(棒」
と湊人の心ない声援の中、初戦。
相手?知らない奴。
以上。
開始早々に頭部への上段蹴りでKO。
つまらん。
二戦目
先の戦闘を見たのか、速攻で魔法を使って防壁をはる。
回り込んで蹴りでKO
防壁は正面だけじゃ意味ないんだぜ。
三戦目
今度は逆に速攻で向かってきた。
その心意気は褒めよう。
しかし力不足
引き付けて躱して場外。
四戦目
ここからちょっと強くなっている。
しかし足りない。
顔面を掴んで地面に叩きつけてKO
今のところ刀は一回も抜いていない。
そして準決勝
相手は…何あれ。
全身甲冑の剣と盾を持った騎士様だ。
しかし、何か違う。
匂うのだ。
中身はおそらく相当の強者。
開始した瞬間、跳躍してライ◯ー◯ック
盾で防いだ騎士様は、すぐさまカウンターを仕掛けてきた。
それを躱して距離をとる。
カウンターのタイミングも完璧だった。
「おいあんた、ずいぶんやり手だな。どこの先生だい?」
聞いてみても答えない。
「だんまりか。なら、そのお面引っぺがせば分かるかもな。」
長い方の刀を抜き、構える。片腕がないのもすっかり慣れた。
距離を詰め、刀で斬りかかる。
騎士様は連撃を盾で弾き、反撃をしようと剣を振ってきた。
俺はそれを足で受けた。
普通に受ければもちろん痛い。
だが、服の下に氷の装甲をつければ問題ない。
俺の長刀がはじかれて宙をを舞うが、俺にはもう一本ある。
その短刀で鋼鉄のお面を切り裂いた。
その後、すぐさま下がり、妖術で長刀を呼び戻す。
そして、騎士様の兜は剥がれ、中の顔があらわになった。
それを見た観客が騒ぎ始めた。
どうやら有名人らしい。
観客の声を聞くと、どうやら魔王軍の将校だそうだ。
と言ってもおそらくそこまで上の者ではなさそうだが。
「さて、魔王軍の将校がなーんでこんな大会に出てるんですかねー。」
「はは、まさか剥がされるとはね。」
「ちょうどいいや。どこまで通用するか、試してみたかったからな。」
刀を構えて再度対峙する。
もう少しばかり力を出してみよう。
騎士様もだいぶやる気のようだ。
そういえば、本当の三次元機動を生徒に見せたこと無かったな。
「よし、お前ら!よーく見とけよ!これが本当の使い方だからなー!」
俺はフィールドの石で足場を空中に作り、そこに飛び移る。
そこから魔法による牽制射撃。
そして足場の石を蹴り、居合いの構えで突進する。
あんまりやりすぎると目をつけられるので少々手加減をして居合い斬り。
しかし、騎士様なかなかやりおる。
これもしっかり弾いた。
そこで俺は刀を手放し、短刀を抜き、鎧の継ぎ目に突き刺す。
あとちょっとで心臓というところでストップがかかる。
騎士様の剣が俺の首にぴったり付いている。
審判が騎士様の勝利を宣言した。
まあ、手加減で負けるならまあ良しかな。
本気だったらとっくに氷の像になってるだろうし。
刀を回収し、撤収する。
まあ、下の将校の実力は大方わかった。
さ、かえってご飯食べよっと。
準決勝後の裏にて。
「ビート様、お疲れ様でした。」
「ああ、正体もバレてしまったし、どうするか。」
「しかし、あの男、なかなかのやり手でしたが、やはりビート様には及びませんでしたな。」
「いいや。そうでもないさ。」
男が甲冑を脱ぐと、左胸のあたりの皮膚が少し切れている。
「彼はまだ本気じゃなかった。半分…いや、4分の1も出していないかもしれない。それでこれだ。」
「つ、つまりは…」
「戦場なら、死んでいたのは私だろうね。」
男は会場の方を見て笑った。
「決勝は棄権でいい。かえって魔王様に報告だ。」
「は!」
甲冑の男についていた部下の男はどこかへ走って行った。
「そして、あの方にも、いい話が出来るだろう。」
甲冑の男の顔は笑っていた。
次回、体育祭のあとは…え?修学旅行?
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