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ゲー4(元)  作者: 鬼雨
また離れて、再開を目指す
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ネクストステージ

前回のあらすじ

1人じゃない。




僕は、広い暗闇にいた。

何もない。何も感じない暗闇。

すると、頭に声が響いた。

いろんな声だ。

だけど、内容は一貫していた。

「お前がしっかりしていれば…」

涼太郎と湊人のことだ。

僕がしっかりしていれば、もっと力があれば、2人はあんなことにならずに済んだ。

僕のせいだ。

僕が…2人を…

そう思う内に、床が無くなり、体が落ちていった。

暗い暗いところに。


どれくらい落ちただろうか、どれくらい沈んだだろうか。

ただ、僕が2人を何処かへやってしまった。

その事実だけが、僕を暗闇にさらに引き込んでいった。

すると、頭に響く声に、違うものが混ざった。

何か言っている。

目を開けると、また暗闇に倒れていた。

立ち上がると、さっきよりなんだか明るく感じる。

歩いていくと、明かりが見えた。

そこへ向かってみる。

すると、明かりの中に、涼太郎と湊人がいた。

僕は後ろめたくなった。

申し訳なくなった。

つい後退りしてしまう。

2人はこっちを見て、何も言わない。

ただ、笑っている。

何も言わない2人だけど、こう言われた気がした。

「「気にするな。」」

たった一言。

口も動いていない。

言ってもいないのにそう聞こえた。

2人はそのまま明るい方へ歩いて行く。

ついて行きたい。

でも、足が動かない。

すると、2人が振り向き、手招きした。

「いいの?」

2人はただこっちを見ている。

その時、2人が僕の手を取り、引っ張り上げてくれた。




くそ!覚悟してはいたが、こいつ、勇者並みに厄介だ。

「せっかくだ。小話をしようじゃないか。」

「なに?」

「あの群勢が、どこからきたのかとかね。」

仕方ない。今は回復と作戦を練るためにも、話に乗るしかないか。

「帝国からだろ?人々に小さな黒魔石を仕込んだ。違うか?」

「大方正解だ。しかし、肝心なところが抜けている。」

「肝心なところ?」

「そうだ。この私が、その全てに火をつけたと言うところだ。普通、黒魔石は使用した時に即効果が出る。

しかし、私のものは、私が引き金を引くまでは効果は出ない。その上、あの範囲のものを一斉に起こすのも難しい。さらに、それらを率いることなど、いまだかつてできた者はいなかった!」

男は嬉々として語っている。

聞いてるだけで気分が悪いが、落ち着かないと、どうにかして状況を変えないと!

「私は完璧にやり遂げた。多くの人体実験を重ね、ついに、駒を作ることに成功したのだ!」

男は自分の自慢話に夢中だ。

(姐さん、なんとかならないか?)

『相手が予想以上だからね。空成がなんとか起きてくれれば良いんだけど…まだかかる。それに、あの剣が砕けるなんて…』

(完全獣化で、なんとか時間を稼ぐしかないか…)

と、考えてるうちに、話が終わってしまった。

「さて、そろそろ終わらせよう。君は処分するが、そっちの方は興味がある。」

「何?」

「古来より伝わる進化した獣たちの力、そしてそれに過剰に適合した人間など、最高の研究材料じゃないか。」

「命を何だと思って…!」

「それに比べて君は、その身に不相応な力、中途半端な体。無駄遣いにも程がある。」

姐さんはあまり言わないが、俺は力の器ではない。

なぜなら、転生のときのステータスをバランス型にしたからだ。

涼太郎、湊人、空成のように偏りを作らなかった。

そのせいで、中途半端になってしまっている。

だからといって、負けられない。

甘えてはいけない。

俺は立ち上がり、完全獣化形態になり、構える。

「あんたには分からないさ。無駄遣いの良さってのがな!」

剣はない。

だから、格闘で戦う。

完全獣化形態のお陰でダメージは軽減されてる。

だが、消耗が激しい。

だが、ここまで来たらヤケクソだ。

限界までやってやる。

「そんな不完全な状態で、敵うと思っているのか?」

頭に見事に蹴りをくらって、よろけてしまう。

さらに蹴り飛ばされる。

だが、今度は膝はつかない。

「なら、あんたは完全だとでも?」

「そうだ。完全なんだ。その私に勝てるわけがないだろう。」

「そりゃ残念だな。完全ってことはそこで終わりってことさ。俺はまだまだ未熟さ。まだまだ不完全さ。まだまだ中途半端さ。だけどな、その分伸び代ってのがあるんだよ。ちょっとずつでも、ほんの少しずつでも、進化を続けれるんだよ。自分で自分を終わらせてる奴に負けるなんてことは、万に一つもねぇ!」

格闘戦の練習はしていた。

が、相手のレベルが段違いだ。

一瞬でも気を抜けば攻撃を喰らう。

そろそろ体も限界が来ている。

正直次に、さっきみたいなクリティカルなやつ喰らって立っていられる自信はない。

「やはり君では私には勝てないなぁ!」

そしてついに喰らった。

柱にぶつかり、瓦礫に埋もれる。

獣化も解けた。

朦朧とする意識の中、空成を封じた岩に男が向かうのが目に入った。

守らなきゃならない。

この国は守れなかった。

だからこそ、次は守らなきゃならない。

「勝てる勝てないんじゃないんだ…」

両腕を立て、徐々に瓦礫ごと体を起こす。

「俺は不完全かもしれない。未熟で、まだまだ足りないかもしれない!でも!そんな俺でも、選んでくれたんだ。姐さんは…キーラも、勇麟も!」

両膝も立て、さらに瓦礫を押し上げる。

「…だから、やらなくちゃならないんだ…1人でも、無理でも、死ぬかもしれなくても!」

瓦礫をどけ、体を起こす。

「任せられてるんだ!みんなに!涼太郎と、湊人に!」

その時、なにかを感じた。

空成じゃない。

剣だ。

さっき砕け散った剣が、まだ“ある”気がする。

どこだ?どこに…

「なら…証明して見せろ!」

そこで男が襲ってきた。

男の拳を受け止め、その腕を掴み、そのまま投げ飛ばす。

大きな音をたてて、玉座ごと壁に叩きつけられた男は驚いていた。

そして、わかった。

わかってしまった。

剣は砕けて無くなってはいない。

そもそも、俺の力は、姐さんの力は大地を司っている。

剣も、元を辿れば鋼鉄、つまり鉱石だ。

それを操れるなら、司っているなら…

心の中で呼ぶ。

(頼む。来てくれ。お前はまだ折れてないってことを証明してくれ…)

男が立ち上がり、やや怒った様子で飛びかかってくる。

その瞬間、床に手を突っ込み、ソレを掴む。

そのまま振り上げ、男を凪ぎ飛ばす。

俺の手には形を変え、前よりも細くなった両刃の大剣が握られていた。

挿絵(By みてみん)

※画像はイメージです。

「おかえり。ありがとうな。」

「馬鹿な…完全な…この私が…こんな、ほんの数秒で…!」

「言ったろ?不完全の方が伸び代があるって。」

そう言って俺は、新たな剣を男に向けた。

「それに、俺の親友もそろそろ起きたらしいからな。」

「な!?」

岩が崩れ落ち、中から空成が出てきた。

「もう少し優しく包んでくれてもいいんじゃない?」

「もう少し早く起きてくれてもいいんじゃない?」

空成は一皮剥けたみたいだ。

髪の金のメッシュが増えてる。

「馬鹿な!精神干渉で、心が崩壊するはず…!」

「僕の友達は寛大なんだ。特にあの2人はね。やっと思い出した。」

「暗記科目得意だったんじゃなかったのか?」

「忘れることもあるさ。人間だもん。」

「そっか。さて!気を取り直して、いっちょ、喝を入れてやろうぜ?」

「そうだね。」

そう言って2人とも完全獣化形態になる。

「チッ、邪魔をするなぁ!」

男の攻撃を剣で弾く。

そこに空成が火球を十連発。

男は後ろに吹っ飛んだ。

「行くぞ。」

そう言って剣を分離させる。こんどは真ん中から2つに分かれるタイプで、形も2つとも一緒だ。

分離させると、長さも少し短くなり、前よりも軽く、剣というよりやや短い太刀に近い。

二刀流で連撃を叩き込む。

ついに男の回避を掻い潜り、一撃。

男の体から血が流れる。

「こんなのも出来たりして。」

こんどは剣を大剣とは違うように、柄の根元同士を合体させ、薙刀のようにする。

刀身が大剣のときのように伸び、リーチが長くなる。

体を回転させながら、斬り、突き、斬りを繰り返す。

そして、隙を見つけ、剣を分離、また合体させ、大剣にし、打ち上げる。

「空成!」

[我がほむらは楔、我がほむらは鎖、二つの火炎が交わり、汝の全てを縛りつける!]

「『燼滅式・煉獄アルカトラズ』!」

空成の炎の鎖が人型になり、男を空中で包み込む。

そのまま俺も跳躍し、剣を構える。

[我が拳は地平を裂き、我がつるぎは未来を断つ!]

「土に帰りな!『原初・滅・回帰』!」

男の体に剣を突き立て、そのまま地面に叩きつける。

男の体はボロボロと崩壊し、消え去った。

「前と違って漢字ばっかりだね。技名。」

「お前だって、カタカナ混じってるじゃん。」

2人でハイタッチを交わした。

男が消えたのと同時に、街のヨームの反応も消えた。

静かになった街を、明るい日の出が照らしていた。


次回、取り戻したぜ!アリスター!


4日ほど使って、4人の武器の挿絵を作ります。

ペース落ちますけど、出来る限り落とさないようにします!

涼太郎の刀はすでに書いて、第40話に載せたので、見てみてください!


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@kisame_novelist

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