表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲー4(元)  作者: 鬼雨
また離れて、再開を目指す
181/194

責任

世界設定に“和の街”について軽く触れておきました。

前回のあらすじ

現実は時として非情である。




その日の晩、みんなが下の街から戻ってきた。

みんな、かなり働いたらしくヘトヘトのようだ。

少し休憩させたあと、みんなを集めた。

稲美さんとお辰さんはまだ寝かせている。

空成は起きた。

「まず、みんな無事で何よりだ。話はキーラと勇麟から聞いた。肝心なときに守ってやれなくて、すまない。」

座ったまま俺と空成は頭を下げた。

「し、仕方ないですよ。お二人共、行かなきゃならなかったんですから。」

と、コリンナがフォローしてくれる。

「キーフトからの援軍だが、距離があるから到着まで結構かかる。だから、それまではみんなで大人しくして、怪我人の手当てに当たってくれ。俺と空成は偵察をする。必ずアリスターを取り戻す。」

みんなの表情に少し安堵が見えた。

しかし、まだ不安と、恐怖が残っている。

すると、エヴリーヌが口を開いた。

「どうして…」

みんながエヴリーヌの方を見た。

「どうして…どちらか片方残ってくれなかったんだ…?」

エヴリーヌの目には怒りが見えた。

たしかに、片方残っていれば、ここまで酷くはならなかっただろう。

すると、勇麟が怒鳴った。

「そんなもん仕方ねぇだろ!それを言い出したらキリがない。」

「だけど!…どちらか残っていれば…父上も…母上も…もっと沢山の人が死なずに済んだかもしれないじゃないか!」

現状、心に1番の傷を負っているのはエヴリーヌだ。

エヴリーヌ以外の家族はおそらく皆死んだ。

叫ぶエヴリーヌにさらに怒鳴ろうとする勇麟を抑える。

すると、奥の部屋から稲美さんがやつれた様子で出てきた。

「それは…私が説明します…」

近くにいた茶子さんが支える。

そして、稲美さんは空成の力の過剰適合のことを話した。

そこで、キーフトでの空成の暴走も付け加えた。

稲美さんはそれを聞いて、「やはり…」という顔をした。

遅かれ早かれ、ああなっていたということかもしれない。

「…すまなかった…怒鳴ってしまって…」

エヴリーヌはその話を聞いて、また黙り込んだ。

昔虐められた涼太郎や空成を見たことがあるからわかる。

エヴリーヌは今崖っぷちだ。

心が折れかけてる。

きっと心の中で「涼太郎がいれば…」と思っているのだろう。

それは俺も同じだ。

ここに涼太郎がいれば、まだ慰められるのに…

だが、居ない奴のことを考えても仕方がない。

その日はそれで解散した。

俺も布団で少し寝ることにした。

だが、考えてることは、アリスターをどうやって取り戻すかだ。

どうなっているかも分からない以上、明日行って見てみるしかない。

そして、眠ったとき、夢に呼び出された。


そこは普段姐さんがいる昔の俺の部屋。

だが、今回は、玉さんと空成もいる。

だいぶ前にこうやって夢の中で会えるようになった。

テーブルに座ると、空成が謝った。

「ごめん…その、キーフトのこと。」

「自分でもどうにも出来なかったんだろ?仕方ないさ。でしょ?玉さん。」

すると、玉さんも申し訳なさそうな顔をした。

「前々から空成さんには言っていました。その上、いざというときは私がブレーキになろうと思っていたのですが、想像以上で…。」

「姐さんの目から見ても、この組み合わせは凄いの?」

すると、姐さんは腕を組みながら言った。

「あぁ。正に奇跡ってやつだ。何がどうなったらこうなるのかは分からないが、全く別の魂がくっついた結果とは思えないね。元は1つだったと言われるほうがまだ理解できるよ。」

4人ともそれ以上言葉が出なかった。

「でもさ、もし、それを使いこなせれば。」

玉さんが目を逸らしながら答えた。

「ええ、たしかに、使いこなせれば、それこそ国の1つや2つ、簡単に滅ぼせるかもしれませんね。ですが、それには時間が要ります。1年や2年で習得できるものじゃありません。」

「そうか…」

流石に無理があったと自分でも後悔した。

やっぱり、キーフトの援軍をまって、侵攻作戦を立てたほうが…

と、思ったところで空成の口が開いた。

「翔、僕、やってみたい。」

「え?」

すると、玉さんが驚いた様子で止めに入った。

「ダメです!自分がどうなるかわかってるんですか!?」

「わかってます!でも、こうなったのは僕にも原因があります。体だけじゃなく、精神も壊れるかもしれない。二度と人に戻れないかもしれない。でも、ここでやらなかったら一生後悔する。それに…」

そう言って空成は、こっちをみて、笑った。

「メンバーが暴走したら止めてくれる頼りになるリーダーがいるから。」

俺は少し考えたあと、ため息とともに答えた。

「はぁ…分かった。ただ、死んでも埋葬してやらないからな?」

「あはは、それは困るな。はは。」

「あ、貴方達自分が何やろうとしてるか分かってますか!?」

「玉さん、僕らはさ、涼太郎と湊人から、みんなを任せられたんだ。なら、その責任を果たさないと。2人に叱られちゃうから。」

「で、でも…」

「玉さん、僕を選んだ以上、死ぬまでついてきてもらうよ。もっとも、当分死ぬ予定は無いけどね。」

姐さんも呆れた様子たが、笑っている。

俺も腹を括った。

空成にここまで言われたら、抵抗できない。

玉さんは3人を見渡し、何か言おうとしたが、諦めた。

「はあ、分かりました。ただし!無理は禁物ですよ!翔さんも!空成さんをあまり調子に乗せないで下さい!」

「はいはい。」

それから、少し玉さんの注意(?)が続いた。






次回、特攻野郎共


ツイッター

@kisame_novelist


ちょくちょく挿絵(お手製)を追加していきますぜ。

ちなみに早速涼太郎の刀の絵を[刀]の話の中に追加しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ