求婚再び
鼻の調子がbadですたい
前回のあらすじ
体育の先生は大体いい人
僕はテオドル ヴェイケル
ある貴族の学校に通っている。
クラスの中では一番貧乏だけど、みんなと仲良くやっていけている。
そんな中、突然先生が変わった。
メイナード先生が用事でいなくなった。
その代わりに冒険者の人が2人来た。
メイナード先生からは安心していいと言われているけど、少し不安だ。
それはクラスのみんなと一緒だ。
なんせ片方は右目と右腕がないからだ。
片方は自己紹介を済ませてとっとと帰っていった。
副担任らしいけど、胡散臭いというか、なんというか。
次の日からそのイバラ先生が教えてくれることになったけど、案の定コンラートが勝負を持ち出した。
しかも、数学は教えないと言い出した。
理由もわかるけど、不信感が積もる。
そしてその日の4時間目。
クラスの1番の美人のイェレナのストーカーが来た。
それよりビックリしたのがイバラ先生がそいつらをねじ伏せたことだ。
動きも鮮やかだったし、一言で言えば凄かった。
冒険者だからというのもあるけど、とにかく凄かった。
それもあって、コンラートは勝負を持ち越した。
正直僕もビビった。
授業の時はひょうひょうとしていたり、めんどくさそうにしてるのに、いざ戦うとなったら人が変わる。
それは次の日も同じだった。
体育の剣術の時に、ハール先生とやりあって、またしても圧勝。
片腕とは思えない動きだった。
そんなこともあり、少しずつだが、イバラ先生への不安感は無くなっていった。
しかし、まだ消えたわけではない。
今は4時間目、数学の時間だが、宣言通り自習だ。
わからないところがあれば聞いていいと言っているが、聞きに行きづらい。
と、そんな中で、バゼーヌが質問に行った。
普段はクラスでも目立たないようにひっそりしているから驚いた。
「せ、先生…あの、ここ…」
「ん?あーそこなー。えっと、それはな?…」
と、イバラ先生がバゼーヌに解説を始めた。
みんな手を止めて耳をすます。
どんな解説なのか聞いてみると、意外と分かりやすい。
数名が驚いてヒソヒソ話している。
「これでいいか?」
「は、はい!あ、ありがとうございます…」
と、バゼーヌはそくささと席に戻る。
先生はまた椅子に座り、本を読んでいる。
みんなも薄々感づいて来たけど、この先生、本当に結構凄いし、信頼出来るかもしれない。
と、それから少しすると、外が騒がしい。
なにかと思って外を見ると、おとといのストーカー野郎とその父親らしき人物がと、私兵が二十数名、さらには衛兵と衛士長までいる。
みんなも驚いて窓際に集まる。
窓からイバラ先生も顔を出す。
すると、ストーカー野郎が父親らしき人物に何か言った。
「おい!そこの教師!降りてこい!」
と、イバラ先生は窓からほかの教室を見渡す。
「貴様だ!そこのキョロキョロしてるやつ!」
「あ、俺か。」
と、イバラ先生は窓から飛び降り、玄関前に向かう。
「えっと、何用ですかね?」
「お前だな!わしの息子をこんな目に合わせたのは。」
と、イバラ先生はストーカー野郎の顔眺める。
ストーカー野郎は傷が完治していないのか、体中まだ包帯を巻いていたりする。
「んー、どちら様ですかね。」
「おととい僕を痛めつけただろう!ー
「あー!あいつか!いやー前歯ないから分からなかったよ!ハハハ!」
「やはりお前で間違いないようだな!ヘーレン衛士長!こいつをひっ捕らえてくれ!」
と、衛士長が前へ出る。
「君が彼に暴力を振るったということで間違いないな?」
と、衛士長が尋ねる。
「間違いないけど、理由もちゃんとあるぜ?その前歯のない坊ちゃんがうちの生徒を拉致しようとしたからだ。俺は先生としてそれに対応しただけだ。あんたも訓練中の部下を拉致されたくはないだろう?」
「む?報告と違うぞ?どういうことだ。拉致とは一体何の話だ?」
「あれー?おっさんなんて話たのかねー?俺の話間違ってないよな?お前ら。」
と、僕らの方を向く。
すると当人のイェレナが叫ぶ。
「はい!確かに私は連れ去られるところでしたよ!そもそも求婚を何度もお断りしているのにずっと付きまとってくるんです!」
「だそうですよ?衛士長様?」
「ドマージュ公、報告と全く違います。どういうことか説明していただけますか?」
するとドマージュ公はイライラしたように叫んだ。
「貴様ら衛兵は私たちの命令に従っていればいいのだ!早くそいつを捕まえて拷問してくれ!」
「あははは、そいつは怖いなー。拷問は嫌なんでね。もちろん抵抗させてもらうぜ?」
そう言ってイバラ先生は空中で右手を2、3度握ったり開いたりすると、職員室からシラトリ先生が剣が2本ついたベルトを投げた。
イバラ先生はそれを受け取り、腰に巻くと、ベルトが魔法でそのまま装着された。
「拳、もとい実力で。」
すると職員室からシラトリ先生も出てきた。
シラトリ先生は弓のようなものを背負っている。
「ん?何で出てきたの。」
「最近体動かしてないからさー。」
と、2人とも準備運動を始めている。
「学校側の主張が正しいのであれば、少々やり過ぎですが、ほぼ無実です。それを裁くわけには行きません。」
「お!衛士長様は話がわかるねー!」
するとドマージュ公はついに痺れを切らした。
「お前たち!そいつを捕まえろ!」
と、私兵が先生方に襲いかかった。
イバラ先生は剣で私兵を切りつけるが、血は出ていない。
そういえば、ハール先生に聞いたことがある。
日の本区画の方には方などという武器があって、片刃の剣で刀というらしい。
一方シラトリ先生は魔力の矢を放っている。
こちらも矢じりは潰しているようで、当たると私兵が痛そうにしている。
しかし、そんなシラトリ先生に私兵が近づき、襲いかかる。
するとシラトリ先生は弓をしまい、そのままただ殴った。
すると私兵が数メートル吹っ飛んでいた。
「よーし、お前らの体で、新秘k…じゃなかった。新技のテストをしてやる!」
シラトリ先生が私兵を殴ったり蹴ったりするとたちまち吹っ飛んでいく。
「あれ何?」
と、ハンナが言った。
すると、魔法に詳しいバセーヌが答えた。
「風魔法…腕や脚に風を纏って、相手を吹っ飛ばしてる…あんなにうまくコントロールできるなんて…」
一方イバラ先生は躱しては斬り、躱しては斬りを繰り返している。
頭の後ろに目でもついているのかというくらい避ける。
しかも恐ろしく速い。
すると、あっという間に私兵達は倒されてしまった。
「さて、衛士長様?捕らえるのはどっちでしょうかね?」
するとドマージュ公がついにキレた。
「貴様ら三流貴族どもが!私に刃向かうのがわるいんだ!」
そう言ってドマージュ公はなにかを取り出した。
そしてなにかを唱えると、馬鹿でかい火球が教室目掛けて飛んできた。
みんな逃げようと後ろに下がるけど遅い。
すると、イバラ先生が地上三階の教室の窓の前に現れて、それを刀で弾き飛ばした。
「湊人!」
イバラ先生が叫ぶと、それをシラトリ先生が射抜き、離れた空中で爆発した。
もし当たっていたら教室がなくなっていたかもしれない。
シラトリ先生はそのままドマージュ公の右手を射抜いた。
今度はしっかり矢が刺さり、血が流れた。
ドマージュ公は痛さにのたうち回った。
「スクロールか。よくこんなもの持ってきたな。あんた。」
イバラ先生がドマージュ公の手から落ちたものを拾った。
「これは決定だな。お前たち!ドマージュ公をお連れしろ!」
ほかの先生方も、生徒たちも、ホッとした。
そして、生徒たちからは歓声が上がった。
「よし!お前ら授業に戻「キーンコーンカーンコーン」あー、授業終わっちまったじゃねえか。」
そう言ってイバラ先生は玄関から帰ってきた。
「よし!帰るぞーお前らー。」
次回、その頃、アリスターにて。
このように次回からちょくちょく涼太郎サイドと翔サイドで入れ替わっていこうと思います。
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