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ゲー4(元)  作者: 鬼雨
4人揃って?
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必殺

前回のあらすじ

勇者+黒魔石+木+その他=でっかい化け物




勇者だったものからは無数の木の根が出ており、それが絶え間なく襲って来ている。

「多けりゃ良いってもんじゃねぇーけどよ!」

空のミナトが叫ぶ。

「多過ぎる!」

クウさんも火炎で燃やして対応するも、どんどん湧いてくる。

俺も避けてはいるがさっきから掠っている。

そしてついにくらった。

横腹のあたりを木の根が抉り、そのまま吹っ飛ばされる。

お札を即座に使うが、このお札、傷なら早く治癒出来るが、欠損部位は痛み止め程度にしかならない。

「いったん距離とるぞ!」

ショウの声で全員前線を下げる。

ショウが土で壁を作り、クウさんが認識阻害の魔法をかける。

「涼太郎、見せて。」

「悪いな。」

クウさんに治療をしてもらう。

「だけどさ、どうする?やっぱり完全開放で押し切るか?」

「勇者が生き残った場合こちらの手の内をほぼ全て晒すことになる。その状態での長期戦はもっとキツイぞ。」

「でも、キリがないよね。燃やしても燃やしても際限なく出てくるし。」

ミナト、ショウ、クウさんが議論する。

「黒魔石を使ってる以上、あいつもかなり負担があるはずだ。」

3人がこっちを見る

「今まで、黒魔石を使って体がまともに残った奴はいない。勇者なら残るかもしれないが、ダメージはでかい筈だ。ここまで来たんだ。ありったけぶつけてやろうぜ?」

実際、1年の間に黒魔石の事件が何回かあったのだ。

「だが、リョウ、手の内を晒すのは…」

「この際全部晒してやれ。それくらいのハンデは必要だろ?」

「押されてるのこっちなんだけどなぁ…」

「でも、いいんじゃない?可能性はあるよ。」

決まりだ。

全員回復を済ませ、もう一度勇者のところへ行く。

「呑気に戻って来やがったか!」

「かかって来な!最終ラウンドだ!…多分…」

「涼ちゃんそこは消極的なんだね…」

超獣化して突っ込む。

木の根を交わしつつ懐まで突っ込む。

しかし、近づくにつれ、量が増える。

直撃の一瞬前でスイッチを入れる。

半獣化、超獣化は獣人族に近かった。

あくまで“人と獣の力を混ぜた”形態だ。

この先は、“完全な獣の力のみ”の形態。

純粋なウベルや姐さん、カラちゃんや玉さんの力オンリーの形態。

体毛が伸び、骨格が完全に獣そのものになる。

口が伸び、牙が伸び、手の形も変わる。

今までよりも加速する。

「おらぁ!避け切ってやったz…グヘッ!舌噛んだ…」

「まだその形態での喋りかたに慣れてないの?ま、俺クチバシだからあんまりだけど!」

と、空のミナトが喋る。

尾羽が伸び、足も完全な鳥足になり、腕が翼になりつつも手先は指のようになりつつ羽毛が生えていて、関節のついた大きな羽のようで、弓をしっかり携えて飛んでいる。

顔はもろカラスそのものでクチバシが伸びている。

「僕も慣れるのに時間かかったんだよね!」

と、爆炎を操りながら木の根を払うクウさん。

尻尾が5本に増え、全身がキツネ色の毛に覆われている。

「口じゃなくて体動かせ!」

ショウも完全な熊になり、合体剣を片手で振り回している。

左手が大きく、発達していて、岩石で盾を作っている。

「姿が変わったところで!!!」

木の根は止まることを知らない。

「湊人!」

「あいよ!」

ミナトが高高度まで一気に上がり、弓を構え、“詠唱”を始める。

普通、魔法には詠唱がいる。

無詠唱の魔法は詠唱した魔法より威力や効果は減衰するも、使い勝手が良い。

そのため、冒険者などは基本無詠唱だ。

戦場のど真ん中で長々と詠唱する余裕などない。

しかし、詠唱すれば、威力、効果は無詠唱の数倍に跳ね上がる。

そもそも、詠唱とは、魔法の術式を組み立てる儀式みたいなものだ。

詠唱と無詠唱の違いは、例えるなら証明問題か否かだ。

無詠唱は問題の答えだけを出すもの。

詠唱する方はしっかり説明をした上で答えを出すみたいなものだ。

そして忘れてはいけないのが、魔法にはそれぞれ“名前”が付いている。

ファイアボールとかそういう感じだ。

つまりは、詠唱する魔法とは、“必殺技”みたいなものなのだ。

[我射るは一つの矢、我操るは一陣の風、我舞うは百日の夜!]

「お前ら予定通り避けきれよ!【百矢夜行ひゃっしやこう】!」

放たれた1本の矢は2本になり、4本になり、どんどん増え、数百の矢が勇者と俺たちめがけ降って来た。

「多くねえか!?100じゃないの!?」

「サービスだ。」

「洒落になんねえ!」

しかし、そこはミナト、しっかり俺らの周りは数が少ない。

刺さった矢1つ1つから風がおこり、合わさり、旋風になって、木の根を一掃した。

「空成!次頼むぜ!」

[我が焔は楔、我が力は鎖、我が炎は汝の未来を焼き尽くす!]

「じっとしてもらうよ!【燼滅式じんめつしき炎鎖えんさ】!」

勇者の体(特大)を炎の鎖が縛り付け、木の根も生まれて1秒も経たず灰になる。

「シラト!上げてくれ!」

「いい加減自分で跳ぶこと覚えろよ〜名前も“翔”なんだから!」

ミナトがショウを足で掴んで飛び、高高度から1回転して勢いをつけて落とす。

[我が拳は大地を割き、我が剣は命を絶つ!]

「【ガイア・ディザスター】!防げるもんなやってみなぁ!」

空中から回転しながら勇者にショウが突っ込む。

いわば剣を持った状態での大車輪。

勇者も魔法で障壁を十何枚張る。

しかし、ショウの剣には特別なエンチャントがある。

名前はまだ考案途中なので無いが、魔力やスキルによる耐性、障壁を貫通でき、時間が経たないと再使用出来なくする。

勇者の障壁は紙切れのように散り、勇者の体(特大)に大きな裂け目を作り、そこからは本体の勇者の体と黒魔石が見えた。

「やっば…目回っ…ウップッ…リョウ、あと頼む…」

「だから辞めとけって言ったのに…」

と、ミナトが俺の上につく。

俺はありったけの脚力で跳ぶ。

「ミナト!」

「全く俺は昇降係かい!」

ミナトの手を踏み台にさらに上に跳ぶ。

刀を2本を飛ばし、氷で包み一本の長い槍にする。

【魂喰らうは第1の牙、凍てつく刃は第2の牙!]

「2つ合わせて第3の牙!貫き穿て!【アイシクル・ライザー】!」

槍をオーバーヘッドキックで蹴り出す。

槍は真っ直ぐに黒魔石を貫き、砕いた。

降りた俺はミナトとショウを担ぎ、下がる。

最近覚えた妖術で刀を手元に戻す。

「クウさん、回復。」

「ウップッ…すまん…」

「回りすぎだよ。」

「あれほど辞めとけと言ったのに…」

勇者の体(特大)は崩れ落ち、灰になった。

しかし、勇者本体はまだ生きているようだ。

「とどめ刺しに行くか。」

「出来ればもう死んでいてほしいけどね。」



次回、儀式は、急に、止まれない。


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@kisame_novelist

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