疑問
今回は短め。
前回のあらすじ
俺の腕が戻った。魔法、便利。
「ではまず1つ目、あの黒魔石ってのは何か」
「アレは最近出回ってるものでな。かなりの魔力が入っていて、人が使うと君が見たようなモンスターになってしまう。」
「なぜ?」
「人の体が耐えられる魔力の量には限度がある。それを超えた魔力が体に流し込まれると、体が耐えられず、肉体は変化し、その人の一番強い感情で動くただのモンスターになってしまうということさ。我々はその変化した人間をヨームと呼んでる。」
なるほど。要するにキャパオーバーで暴走するってことね。ヨームの語源は知らないけどゲームに出てきたような覚えがある。まぁ野蛮な化け物っことね。
「では2つ目、ヨームになった人間は元に戻らないのか?」
「わからない。調査はしているんだが、君も見たように、ヨームは死ぬと蒸発してしまう。残るのは空の魔石のみ。それから得られる情報もごく限られるからな。」
確かに奴は蒸発した。俺の服の返り血も含めて。洗濯の手間が省けるのはいいが、調査に限度があると。
「3つ目だ。黒魔石の出所は?」
「それも分からん。さっきも言ったが、ヨームは死ぬと蒸発する。つまり出所の情報もそいつらと一緒に蒸発してしまうからな。」
前の世界の麻薬みたいなものか。となると完全になくなるのは俺がこの世界で老死したもっともっと後だな。なにせ前の世界でも未だに根絶できないんだから。
「なるほど。ありがとう。疑問がいくつか消えた。」
「最後に1ついいか?君はどうやってヨームを倒した?」
「ああ。心臓が肥大化してたからそこに短剣を投げつけると、反応があったからな、そこが弱点と踏んでナイフで一刺ししたら死んだ。まぁ延刃でナイフは長くしたけど。」
「彼は黒魔石をどこに刺した?」
「そういえば、心臓のところだったな。ということはほかのやつも?」
「ああ。刺したところが肥大化し弱点になった。」
つまりどんなヨームでも頑張れば殺せるってことか。まぁ二度とごめんだけどね。
「今回はありがとう。奴らの弱点の特定方法が確定しただけでも、大きな進歩だ。これは謝礼だ。」
そう言ってフベルトは3ゴールド出した。
「エヴリーヌにはないのか?」
「私は大したことはしてないからな。」
そう言われると俺も受け取り辛いんだが…
「ではこうしよう。2ゴールドは宿の修繕、1ゴールドは貰う。フベルト、頼めるか?宿のテーブルいくつか俺が吹っ飛ばされたせいでダメになっちまったからな。」
「あれは、リョウタロウのせいではないだろう。」
「俺が自分の筋力でやつを貫けないとしっかり予測していれば出なかった被害だ。それにまだ泊まる宿だしな。」
「わかった。では大工にはこちらから依頼しておく。お釣りはどうしたらいい?」
「自分の財布にでもいれておけ。それが嫌なら適当に処理しとけ。俺は一度手を離れた金を追いかけるのはあまり好かないのでね。」
「わかった。出口までお送りしよう。エヴはどうする?」
「そうだな。カミラの様子を見てから宿に戻る。」
「カミラ?」
「宿の受付の人だよ。頭を打ってしまってな。意識はあるが念のためにな。ああそうだ。今日は彼女、教会で寝るから、晩御飯は厨房を使って自分で頼む。と。」
「わかった。じゃあ買い出しでもしてくか。」
そんな話をしながら騎士団の兵舎を出た。
「ところで、何を作ってくれるんだ?」
「そうだな…って俺のを貰うつもり満々だな。」
「仕方ないだろ私は料理が出来ないのだからな。」
「そんな自身満々で言われてもなぁ…」
あーはよこいつと縁切りてー。