一方的に
前回のあらすじ
ハッスルしすぎ。
はじめての衝突から1週間たった。
そろそろつぎの補給物資が来てもいい頃合いなので、俺の出番だ。
俺とシラトで早朝に出発、時間をかけるが、それでも急ぎで敵基地の裏にくる。
さらにその先にすすみ、補給に使っていそうな道を片っ端から岩で塞ぐ。
その間、シラトが周囲の警戒を行う感じだ。
あらかた塞ぎ終わり、ついでに補給部隊を襲うことにする。
少し待つと、補給部隊が岩に出くわし、困り果てる。
それを見計らって補給部隊を1人残らず地面に埋める。
といっても首までだ。
物資を奪い、そのまま立ち去る。
そのうち基地の奴らが掘り起こしてくれるさ。
ま、それまでにモンスターに食われないことを祈る限りだ。
あとはゆっくりのんびり帰るだけだ。
「でも、呆気なかったな。翔ちゃん一人でも良くなかった?」
「念のためだ。急遽勇者も同行とかになったらキツい。」
「去年の地獄みたいに担げと?」
「今ならもう余裕だろ?」
「いやー分からないですよー?」
そんな会話をしながら帰ってきた。
もう夜だ。
物資の中身からやはり食料が足りないことが見受けられる。
しかし、質が大したことない。
酷いまで行かないが、よほどこちらをナメているようだ。
「っと、空成、そろそろ仕事だな。」
「うん。わかった。」
と、シラトと空成が外に出る。
仕事、とは真夜中の目覚ましだ。
空成の作った花火矢をシラトが敵の基地の付近に飛ばすというもの。
割と計算された角度で射出するので敵の基地にはいい感じに火の粉も降り注ぐ感じだ。
第1射が放たれ、少しして爆発音がする。
その後も何発も撃つ。
1時間半につき1発。これを朝までやる。
その後日中には部隊を組み、戦場を行進し、相手に敵が来ると思わせ、臨戦態勢を取らせたら撤退。
これを繰り返す。
2日に1回リョウが偵察に出る。
これをひたすら繰り返す。
戦争が始まって三週間、俺らは同じことを繰り返してきた。
その最中、数回補給されたが、食料はその度に九割を
涼ちゃんが凍らせてくる。
完璧な仕事だ。
俺も毎晩寝かせないように花火をあげる。
つい昨日攻めてきたが、それはロボル達が淘汰する。
先週、将軍クラスが一人出てきたが、空成が燃やした。
いくら鎧を着込んでいても“内側”から発火すれば意味がない。
敵軍は士気はだだ下がり、空腹と寝不足でフラフラ、補給は定期的に阻まれるでボロボロだ。
そこで、一つ提案が出た。
「あの基地を奪えないか。」
たしかに今攻めれば難なく落とせる。
しかし、無駄な仕事は出来る限り避けたい。
そこで、手紙を送った。
「降伏し、寝返るなら高待遇で迎え入れよう。しかし、降伏後、叛逆すれば、先の将軍のようになる。」
と言ったものだ。
これは空成が書いた。
先の将軍は敵の前で火だるまになって死んでいった。
敵の兵士にはそれが焼き付いてるだろう。
降伏した兵士が続出した。
片っ端から牢屋に入れた。
しかし、食事としっかりとした睡眠を取らせた。
敵の指揮官はこちらの基地に入った瞬間に自爆しようとしたが、空成が妖術で魔法の発動を阻止。
書いた通り、“敵軍の基地に見えるように”火だるまにした。
向こうの基地はほぼもぬけの殻だ。
そういうことなので基地を奪おうとした時、敵が基地を捨てて撤退した。
こっちの軍の上層部は基地を取ろうとしたが、ストップをかける。
先に空成と涼ちゃんが偵察に出ると、案の定爆破系の魔法が仕掛けられていた。
それを解除した上で制圧、一歩前進ということだ。
それから、俺が高高度でさらにその先の偵察に行くと、先のよりもっと大きな基地があった。
あそこが本命のようだ。
「つまり、そこを落とせば。」
「うん。終わる。と、思う。勇者はいなかったけど、将軍やらがいっぱいいたからな。」
「同じ手で行くか?」
「あぁ、挨拶代わりだ。」
と、四人で出発する。
警備は万全。
かなり硬い。
先のことを受けてか食料庫はかなり硬い。
「涼太郎、辞めておこうか?」
「いいや、舐めてもらっちゃぁ困るぜ。こう見えて不法侵入は得意分野でね。」
警備はかなり硬い。
それこそアリスターの貴族の家なんて目じゃない。
しかし、この世に完璧なんて存在しない。
絶対にどこかに穴がある。
ショウ達は補給路を潰しに行き、味方の基地集合にした。
さて、時間は夜。
警備は硬い。
が、何も食料庫に入る必要はない。
“入れないなら、周りごとやっちまえばいい。”
この1年でかなり燃費も良くなった上、お札の分は浮く。
食料庫の外の各所に札を仕掛ける。
ここからが勝負だ。
威力的にも食料庫にほぼ触れた状態で撃たなきゃならない。
おそらく、使った後見つかる。
そこからの“逃げ”が肝心だ。
俺は食料庫の上に来て、お札含め、一斉に魔法を発動させる。
たちまち食料庫が氷山のようになる。
すぐに警鐘がなり、兵士が一斉に襲ってくる。
この1年。
育ったのは魔法だけじゃあないんだぜ。
魔法やら弓矢やらが飛んでくる中を縫って逃げる。
気分はさながらル〇〇三〇だ。
しかし、かなり逃げたが、結構な量の兵士がしつこく追ってきている。
と、逃げる先から火球が飛んできた。
「やっぱりこうなってる。」
と、3人が待っていた。
「賑やかだねー。混ぜてー。」
「基地まで持ってこられても面倒だからな。」
「だってもう100メートルは離れてるのに追ってくるとかおかしいじゃん!」
そこから、追っ手約200人。
全部殺った。
次回、長き戦争にも終わりが見える。