加齢と成長と異変
涼太郎のソロパートが1部、
前回までが2部だとすれば今回からは2.5部だ!
え?3部じゃないのかって?
それはこの先読んでからのお楽しみということで。
前回のあらすじ
勇麟が仲間になった。
風呂にも入り、ご飯を食べ、自分の部屋に向かう。
今日も一日疲れた。
台所からはリョウの片付けの音がまだしてる。
俺は少し早めに部屋に戻り寝る。
今日のトレーニングは少し張り切りすぎた。
瞼を閉じ、もう少しで寝れるというところで扉が開く。
そして勇麟が入ってきた。
「おーい、一人で寝る気かい?あたしも入れろよー。」
「外はもう春だぞー。暑いからどっか行けー。」
「ん?そんなに嫌かい?」
「うん。」
「そうかい…そんな悪い子は…」
と、ベッドに押さえつけられる。
「お仕置きに寝かせてやらないね。」
「ギャァァァァァァ!」
「はっ!」
と、ベッドから上体を起こす。
(夢か〜ったくリアル過ぎるんだよなぁー)
体が汗だくだ。あとで風呂に入ろう。
「なんだい朝からうるさいね。隣で寝てるあたしの身にもなって欲しいね。
と、横を見ると勇麟がやっぱり寝ていた。
「ギャァァァァァァァァァ!」
俺ことイバラ リョウタロウの朝は早い。
なぜならばご飯支度は俺の仕事だからだ。
キーラやクミナ達に任せても良いのだが、やはりあの3人の飯は自分で作りたくなる。
学校に通ってた時の弁当も全て俺が作っていた。
この世界に一人の時はあまり作らなかったので腕が鈍ってしまっていた。
だが、日に日に感覚は戻ってきて、直ぐに元通りだ。
親が旅館の料理人だったせいもあり、中学時代に技術を徹底的に叩き込まれた。
「ギャァァァァァァァァァ!」
と、昨日の晩に勇麟が入っていったきり扉が少し開きっぱなしの翔の部屋から悲鳴が聞こえる。
俺たち4人の部屋には防音加工が施されているが、扉が開いていては話にならない。
と、部屋からショウが半裸で飛び出てくる。
「朝からうるさいぞ。一時期ツイッターで話題になった叫ぶビーバーくらいにな。」
「すまない…夢だと思ってたら現実だった。」
「また勇麟か?もう“1年経ったんだぞ?”いい加減慣れろ。昨日が初めてじゃないだろ。」
そう、あの地獄(地下)から帰ってきてから1年経った。
これといった事件もなく、俺たちは日々のトレーニングで着実に力を高めていった。
あまり外出していないせいか、新しい仲間が増えることもなかった。
ついでに減ることもなかった…
「なんか…ね…慣れないんだよ。これが…」
「飯までまだ時間かかるぞ。風呂でも入ってこい。」
「そうする…」
と、ショウを境に続々と起床してきた。
エヴ達も和風の暮らしの部分に慣れ、また稲美さん達も洋風の暮らしの部分に慣れた。
そして何より年をとった。
俺は転生時17歳だったが、ショウが来る少し前、厳密には俺の誕生日は11月だが、11月が無いので8月39日に18歳に、そしてもう一年経ち、今は19歳だ。
俺は転生生活2年目だからな。
ショウは1月3日の誕生日を引き継ぎ、転生してまもなく18歳に、そして1年経ち19歳に、そして今日は3月10日、つまりついこの間20歳になった。
ミナトは現世で3月の上旬だったので2月40日に誕生日を移し、ショウと同じくこの間20歳になった。
クウさんも現世の誕生日を引き継ぎ、5月1日なので俺と同じ19歳。まだ20歳は先だ。
ただ、みんなに誕生日を明かしたのは割と最近だ。
なぜ?そんなの、『バカを超えたとんでもない騒ぎになりかねない』からだよ。
と、そんなこんなで朝食を済ませ、支度をし、地下の転移門(クウさん特製)に向かう。
今日は買い出しをする日だ。
俺たち4人組が行く。
午後からエヴが王城に戻る予定だ。
ほかの奴らは家でまったりしている。
それと、服も新しいものにした。
それなりに俺らがいた時の現世の流行を取り入れたつもりだ。
制作は織さんだが、素材の調達はポールさんだ。
転生初日に会ってから仲良くしている。
「なあ、武器どうする?翔ちゃんのは邪魔になるだろうけど。」
「あー、武器の類は置いていく。買い出しだけだし、いざとなれば己の体で。」
「僕は武器というかお守りなんだけどね。」
「俺の大きいからな…」
と、転移門をくぐり、アリスター王国の前の家に着く。
今はフベルトに頼んで騎士団の倉庫に偽装してもらってる。
外へ出ると、やたらと騒がしい。
「祭りかなんかあったっけ。」
「いや、僕の記憶だとないはずだけど…」
なにやら見慣れない兵隊が闊歩し、なにかを探しているらしい。
と、近くの人に聞いてみる。
「あれなんだ?」
「帝国の奴らさ!今朝急に現れては若い女を片っ端から攫ってるんだ!」
よくみると檻のついた馬車に何人もの女性が捕まっている。
そこで全員ピンと来た。
忘れちゃいない。
去年の神様(マシな方)から聞いた。
ついにこの時が来た。
「よし、植えよう。」
「待って、翔。相手は下手をすればアリスター王国よりも大国の帝国だ。やりすぎて戦争にでもなったら大変だよ。」
「俺はアリスターのおやっさんにどういうことか確認してくる。空成は一度戻ってみんなに外出禁止出して。あとは足止めよろしく。」
「具体的にはどれくらいまでやっていい?」
「あー、強めのつむじ風くらいで。」
「オッケー見せしめに一人くらい飛ばしとく。」
この日の覚悟はしてきたつもりだが、緊張するな…
しかし、日常が続かないのはどこも一緒だな。
全く仕事しない神様だな…やっぱ最終的にボコろうそうしよう。
次回、市民は不安よな。王様、動きます。
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