好奇心
前回のあらすじ
睡眠、大事
新しい家が出来て五日経った。
蓮子さんも馴染めたみたいで何よりだ。
相変わらず空成は夜うるさい。
しかし、壁に防音加工がなされたのでマシにはなった。
問題があるのはトイレに起きた時だ。
それは置いといて、蓮子さんが来たお陰で料理がより美味しく、より幅広くなった。
だが、洋食が恋しくなるのも仕方がない。
だが、料理は涼太郎のテリトリーなので作れない。
そうだ、今度会った時のために呼び方変えよう。
涼ちゃんくらいにしとこう。
すこし遊んでやろうということだ。
しかし、洋食…
(どうやったら食べれるか…)
そんなことを考えながら行きつけのうどん屋で天ぷらうどんを食べる昼下がり。
出勤しても大してやることがない。
カラちゃんの力の練習はしている。
なんなら翼生やして少し飛べる。
半獣化形態ってやつで。
ただね、まだ姿勢制御がなぁ〜
難しいのよ。
腹筋めっちゃ使うし。
お陰で筋肉痛よ。
よし、午後は本部で筋トレしよう。そうしよう。
午後二時頃
筋トレのはずがお使いを頼まれた茶子さんのところへ。
お茶っ葉とかが底をつきそうなのだ。
だからって俺に頼むかね。
「はい、ちょうどいただきましたよ。」
茶子さんにお代をわたし、帰ろうとすると引き止められた。
「ちょっとくらいお話しようやぁ。」
「あ、はい…」
「なんなん?元気ないねぇ。」
「御宅のお友達が夜うるさいのでね。防音魔法を軽く突き破るってどんだけでかい声出してるんだか…」
「元気そうで何より。」
「元気すぎるのも問題かと…」
そんな世間話をしてはや一時間。
午後三時半頃
神社に荷物を届け、一旦本部へ戻る。
軽く運動して由美華と将棋で数局。
今気づいたけどやってることジジイじゃね?
歳をとるのは早いって聞くけどここまでとは。
午後六時頃
帰宅。
“軽く”就寝。
相変わらず元気なこった。
翌日、少し遅めの起床。
時刻は午前九時半。
朝ごはんを食べ、軽く伸びをする。
午前十時、さて出勤とおもった矢先、由美華が飛んできた。
「文華がいなくなった。」
「つまり昨日から帰ってないと?」
「あぁ、うちのルールで外泊するとしたら必ず報告する決まりだが、帰ってこなかった。昨日からずっと街中探してるが、見つからない。」
「報告を忘れたということはないんですか?」
と、空成が質問。
普通そう考える。
「いや、まずない。記者という仕事柄、遅くなることはあっても報告を忘れるはずはない。」
「どれくらい探した?」
「夜勤の者達にも探してもらったが、見つからないんだ。なあ、どうにかならないか?頼む!」
と、頭を下げる由美華。
自分の彼女がこんな目にあっては俺も黙ってられない。
と、言っても粗方見当はついた。
「由美華、街中くまなく探したんだな?」
「あぁ、近所の人にも声をかけた。」
「なら答えは簡単だ。街にいないだけだ。」
「え?」
「本人の意思でないと考えるとおそらく誘拐。記者なら、良からぬことをしてる奴らを追っかけてる時に捕まったってのが妥当だろう。だが、これだけ治安の良い街で誘拐なんてまず出来ない。木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中だったか?そんな言葉があるが、ここなら逆効果だし、街から出るなら尚更だ。つまりは街にある東西南北の大門のどこから行商団か何かを装って出た可能性が高い。その上西と南側は出れば怪物も出る森だから十中八九北か東。その上で俺の想像だが、東より北だろう。東にも山があるが、高さが北より低いからな。勘付かれて総動員で探されれば流石に見つかる。北のサイズなら多少の時間は稼げるだろう。と、思うけど空成どう思う?」
と、不意に空成にふる。
「そこまで確立された推理語られた後に聞かれてもね。まずは北と東の門番に聞くのが一番じゃない?」
と、言うことで北と東の門番に聞いたところ、推理が当たったようで昨晩、北門から行商団が出て行ったらしい。
「よし!早く向かおう!」
と、意気揚々と行こうとする由美華を止める。
「ちょいちょい、少しは休め。徹夜だろう?目の下クマだらけでみっともないぞ?」
「しかし!」
「俺が行くから。お前は本部の方で人集めろ。後はなんとかするから。な?」
「…わかった。頼む。」
由美華を空成に任せて俺は単身で山へ向かう。
こういう時に限ってヤタってば寝ちゃってるのよね。
ま、なんとかなるでしょう。
というか、なんとかする!
次回、あれはなんだ!?鳥か?飛行機か?違う!俺だ!