久しぶりのパトロール
インフルで倒れて投稿出来ませんでした。
すいません!
前回のあらすじ
あったかい。
お辰さんが神社に来てから二日が経った。
稲美さんは改装の準備で忙しくしている。
一体どうやってやるのか気になる…
それはさておき、今日は久しぶりに俺と空成の二人で見回りだ。
街の人からすれば空成はご無沙汰だったからよく声をかけられる。
お陰で昼のうどんが値引きだった。
今後もちょくちょく連れ出そう。
「そういえば、玉さんから説明あった?」
あの火柱事件のときの突然の変身についての説明だ。
「それが…お辰さんが…活発で…ね?」
「夢も見れないってか。」
「いくらなんでも二人同時は…はぁ…体の節々が痛くて痛くて…」
「現世だったら贅沢すぎる悩みだがな。」
「アニメや漫画の主人公はみんな体力ありすぎだよ!」
「いや、全員が全員女を喰ってる訳でじゃないだろう…」
そんな話をしていると、珍しく事件だ。
しかも割と身近な。
連絡を受け、向かった先は織さんの服屋。
立てこもり事件だ。
織さんが人質で、犯人の武器は小刀。
動機はわからないが、要求は人。
なんでも友人に色々されたらしい。
現場は割と大騒ぎ。
「どうしよう…下手に刺激して織さんに被害が及んだら…」
「舘さん。その友人は見つかったの?」
「現在連行中だ。もう少しかかる。」
犯人は割と切迫詰まってるみたいだ。
数分後、その友人さんが到着。
犯人は織さんを盾にするように表へ出てきた。
話を聞くと、友人に貸した金は戻ってこないわ、家から物がちょくちょくなくなるわ、しまいには犯人の奥さんといい関係だとか。
「なるほど。NTRね。」
「いや、そこを冷静に分析しても…」
犯人と友人の口論は続く。
友人が言うには、金を返していないのは申し訳ないが、物がなくなる件は奥さんからもらったもので盗んだ訳ではなく、犯人は賭け事にお金を使い、家庭そっちのけで遊んでるらしい。
「泥仕合だね…」
「なぁ、空成、いい案が浮かんだぞ。」
「ん?そうなの?」
「あぁ、カクカクシカジカコレコレウマウマって寸法よ。」
「うまく行くの?」
「俺がこれ関連で外したことあるかい?」
そう言って手を銃の形にする。
「わかった。識さんの方は任せて。」
相変わらず口論が続く中、湊人が割ってはいる。
僕は少し横で待機。
「あー争ってるとこ悪いんだが、犯人さん?要求は満たしただろ?人質をいい加減解放してやってさ。お二人でゆっくり話し合うなり殴り合うなりしてはいかがかな?」
(殴り合うは余計だよ!)
と心の中で叫んだけど、確かに。
「う、うるせぇ!それより、人の妻に手出したこいつをひっ捕らえてくれ!」
「そうかいそうかい…んじゃ、力づくだ!」
そういうと、湊人は指先から風の弾を犯人の顔に当てる。
湊人曰く、威力は強めのドライヤーレベル。
犯人も思わずぶふぅ!っとなってしまい、織さんから手が離れた。
そこで僕が織さんを妖術で引っ張ってキャッチ。
勢いが強すぎてよろけたけど、なんとか救出完了。
「舘さん!やっておしまい!」
「だから俺のほうが先輩だって!」
舘さんが犯人を取り押さえ、事なきを得た。
「大丈夫でした?」
「は…はい…」
織さんも疲れているみたいだ。
早く休ませてあげよう。
「っとこんなことがあった訳です。」
時は進み、夕方の五時ごろ。
今は神社で、僕と湊人とお辰さんと稲美さんで談笑している。
「ふむ。よくやったぞ。空成。妾も妻として鼻が高い。」
「俺のほうが働いた気が…」
「まあまあ、良かったじゃないですか。」
確かに湊人のほうがやってることは大きい。
実際僕は引っ張っただけだし。
「あら、噂をすればなんとやらですね。」
と、稲美さんが顔を向けた先には織さんがいた。
「こんばんは…」
「ほう、こやつが話にあった服作りの。」
「はい…お初にお目にかかります。織です…」
「それで、なんか用事ですか?」
僕も聞こうと思っていた。
前は食料なんかを届けにここによく来ていたらしいけど、見た感じ荷物もなさそうだし、どうしたのだろうか。
「あの、近々ここを改築するそうで…」
「ええ、お辰さんもきたし、少し広くしようかと。」
稲美さんも久しぶりなのか、嬉しそうだ。
「それで、空成さんに、折り入ってお話が…」
「僕ですか?」
織さんはあまり喋らない人だけど、何か重大なことを話そうとしているのがわかる。
空成もそれを感じたのか、正座で聞く。
「あの!三番目でもいいので、嫁に貰ってください!」
俺は口に含んでいたお茶を盛大に吹き出した。
空成は開いた口が塞がっておらず、稲美さんとお辰さんも驚いている。
「え?ちょ、え!?」
「ねえ、織、どういうこと?」
稲美さんがストレートに聞いてくれて助かる。
「実は、前々から目はつけていたんですけど…このままだと置いてかれそうなので…」
しかし、お辰さんが許すわけがないだろう。
「はっはっは! 良いぞ! 我が夫ならば、三人は囲っておらねばな! はっはっは!」
前言撤回。アウトだこれ。
というか、この世界は一夫多妻が普通なのだろうか。
その日の夕食は盛大に盛り上がった。
次回、万屋狸ちゃん。